新企画に向けて

大学の講義が終わって、ホッと一息つく間もあらば、打ち合わせが重なる日々でございます。

今日は新宿と神保町で、以前から企画していたものの着手できずにいた本と、新規連載についてそれぞれお話しをして参りました。目下仕掛かり中のものを終え次第、順次とりかかります。

ここからはモブキャストでのゲームに関わる仕事と、各方面の執筆・翻訳をどしどし進めて参る所存です。

引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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そうそう、国書刊行会の「レム・コレクション」も、とうとう最終刊が出て完結したそうですね。既刊分をそのつど読んでいたはずなのですが、すでにどこにあるのかも分からんようになっております。完結を記念して、もう1回全巻入手しますか。

www.kokusho.co.jp

田川建三訳著『新約聖書 訳と註』全巻完結

田川建三訳著『新約聖書 訳と註』(全7巻・8冊、作品社)、とうとう最終第7巻が刊行されるようですね。

ぜひ本文を集めた一巻も出していただきたいところであります。

なにはともあれ、田川建三先生、おつかれさまでした!

 

以下は作品社のウェブページから。

田川建三訳著 『新約聖書 訳と註』(全7巻・8冊)


一語、一句原文を精査校訂、 現代の「日本語訳・新約聖書」の 定本となる画期的訳業!
明治以来、新約聖書のさまざまな日本語訳の試みが行われてきました。日本聖書協会に限っても、文語訳、口語訳、共同訳そして新共同訳と、何回かの改訂がなされています。現在最もスタンダードな聖書として流通している「新共同訳」は、プロテスタントとカトリックとの共同作業によるものですが、諸所に護教的な「解釈」が盛り込まれていること、そして古代文献の翻訳に必須の訳註がついていないこと等の欠点があります。
 そうした背景のもと、今回の「田川建三個人訳」は、いわゆるキリスト教会のドグマから完全に自由で、かつ、徹底した正文批判がなされ、一つ一つの語義・語釈についても詳細な註釈が施されています。本書により、名実ともに世界に通用する日本語訳「新約聖書」が誕生したこととなります。


●本叢書の特徴
*不要な解釈や護教的読み込みを排して、できる限りギリシャ語原文そのままに日本語に移し替えた。
*既存の訳と異なる場合は、「註」において、どういう理由で異なる訳が生じるのか、そのつど丁寧に記した。
*できる限り多く、正文批判に言及した。また、正文批判の実例も紹介するべく努めた。
*異なった解釈が可能な場合は、それぞれの解釈の長所短所(文法的、語義的、歴史的な妥当性)をすべて 列挙するようにした。
*一つの訳語では原語の意味を正確に表現できない場合は、それぞれの単語本来の意味を丁寧に説明した。
*各文書の書かれた時代的状況、背景に関する最小限の解説を付した。
*固有名詞については最小限の説明を付した。
 【第一巻】マルコ福音書/マタイ福音書(既刊)
 【第二巻上】ルカ福音書(既刊)
 【第二巻下】使徒行伝(既刊)
 【第三巻】パウロ書簡 その一(既刊)
 【第四巻】パウロ書簡 その二/擬似パウロ書簡(既刊)
 【第五巻】ヨハネ福音書(既刊)
 【第六巻】公同書簡/ヘブライ書(既刊)
 【第七巻】ヨハネ黙示録(2017年夏刊行予定)
*【第五巻】は当初「ヨハネ福音書/公同書簡」の予定でしたが、註の分量が大幅に増えたため「ヨハネ福音書」のみとなります。これにより、「ヘブライ書/ヨハネ黙示録」の予定だった【第六巻】が「ヘブライ書/公同書簡」に、「ヨハネ黙示録」が【第七巻】になりました。また、それぞれの刊行も当初予定より遅れることになりました。読者の皆様にはご迷惑をおかけし、たいへん申し訳ありません。(2012年10月29日)
*【第七巻】ヨハネ黙示録は、2017年夏刊行予定となりました。再三の延期、申し訳ありません。

 

■関連ウェブ

 

■関連文献

新約聖書 訳と註 第七巻 ヨハネ黙示録

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はじめて読む聖書 (新潮新書)

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書物としての新約聖書

書物としての新約聖書

 

 

コレクションから浮かび上がるもの――Instagram / Pinterest

ご機嫌いかがお過ごしでしょうか。

お知らせしたことがあったかどうか失念してしまいましたが、少し前からInstagramに写真を投稿しております。

といっても、ご覧いただくような暮らしをしているわけでもなく、日々手元に届く本の一端を記録する蒐書記録のようになっております。

本の表紙などを打ち眺めるのがお好きな方には、ちょっぴりお楽しみいただけるかもしれません。

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画像ということでは、Pinterestのほうにも、ゆるゆるとピンしております。

こちらは、自分で撮った写真ではなく、ネットで見かけた画像を切り抜いてピンで留めるようにコレクションするサーヴィスであります。(とはご案内かもしれません)

ときどきそんな話をするのですけれど、折々に「これはいいなあ」と思ってピンしているつもりが、量が増えてくると、徐々に自分でも気づかない自分の趣味のようなものが浮かび上がってきて、これはこれで面白いものですね。

こんなことでもなかったら、そのつど「いいな」と思ってもそのまま忘れ去られたものが、目に見える形で集積してゆくわけです。わたくしも、Pinterestを使ってみて、我がことながらぼんやりとしか自覚していなかった好みのようなものを、画像のコレクションから教えられつつあります。

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なにかを選んで集めると、そこに選んだ人が現れる。とは、書棚でもレコードでもなんでもそういうものかもしれません。『本の雑誌』の巻頭に毎号載っている「本棚が見たい!」などは、その好例。

それこそ目には見えないけれど、人が脳裏に蓄える語彙なんていうのも、そうしたものの一つでありますね。最近翻訳が出たジョン・R・テイラーの『メンタル・コーパス――母語話者の頭の中には何があるのか』(西村義樹+平沢慎也+長谷川明香+大堀壽夫編訳、古賀裕章+小早川暁+友澤宏隆+湯本久美子訳、くろしお出版、2017)〔John R. Taylor, The Mental Corpus: How language is Represented in the Mind, 2012〕は、そういう観点でも興味ある議論をしている本でした。

 

ちょうどいま、あるインタヴューのゲラに手を入れていたところなのですが、そこでコレクション/セレクションということが話題になっていて、こんなことを連想したのでありました。

 


 

 ■関連文献

本の雑誌410号2017年8月号

本の雑誌410号2017年8月号

 
メンタル・コーパス ―母語話者の頭の中には何があるのか

メンタル・コーパス ―母語話者の頭の中には何があるのか

  • 作者: ジョン・R.テイラー,西村義樹,平沢慎也,長谷川明香,大堀壽夫,古賀裕章,小早川暁,友澤宏隆,湯本久美子
  • 出版社/メーカー: くろしお出版
  • 発売日: 2017/07/06
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 
The Mental Corpus: How Language Is Represented in the Mind

The Mental Corpus: How Language Is Represented in the Mind

 

 

『ゲンロンβ16』に寄稿しました

東浩紀さんが編集するメールマガジン『ゲンロンβ16』に、吉川浩満くん(id:clnmn)との連載書評「人文的、あまりに人文的」第14回を寄稿しました。前回までは毎号掲載でしたが、今回から隔号掲載です。

 

加熱する人工知能ブームを冷静に見るための本と、現在私たちがとりまかれている情報技術環境について大きな文脈でとらえ返すための本を選んでみました。

 

本編は「対話する哲学」と題して盛りだくさんの内容です。

 

つながりβ 斎藤環/國分功一郎×東浩紀特別対談/観光客の哲学の余白に 東浩紀/大山顕/『映画 山田孝之3D』論 渡邉大輔/二上英朗/【新連載】トゥルーエンドを探して 西島大介

 

お楽しみいただければ幸いです。

 

■関連文献

ゲンロンβ16: 対話する哲学

ゲンロンβ16: 対話する哲学

  • 作者: 東浩紀,斎藤環,國分功一郎,大山顕,渡邉大輔,山本貴光,吉川浩満,二上英朗,西島大介,藤城嘘
  • 出版社/メーカー: 株式会社ゲンロン
  • 発売日: 2017/07/20
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る
 

 

■関連ウェブ


東京工芸大学での講義は最終回

東京工芸大学での講義「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」がすべて終了しました。
お引き受けして以来、多くても3回までというつもりでいたのですが、4回目の登壇となりました。そして、今年をもって最終回とする所存です。

大学/大学院での講義は、2009年に武村知子先生にお呼びいただいて一橋大学大学院で講義を担当したのが最初で、気づけば断続的に今日まで、足かけ8年ほど非常勤講師を務めて参りました。

2006年から2016年まで、東京ネットウエイブという専門学校でも非常勤講師を務めましたので、かれこれ10年ちょっと先生めいた仕事をした勘定です。自発的に先生になりたいと思ったことがないわりには、さまざまな巡り合わせの妙で思ったより長いこと続いてきました。

この間、他のだれより自分が一等勉強になった、というのが偽らざる感想であります。講義の準備や学生のみなさんとのやりとりを通じて、そんなことでもなかったら自分では考えなかったかもしれなかったことをたんと考える機会を頂戴しました。
たいした講義でもなく申し訳ない限りですが、学生のみなさんにもなにかちょっぴりでも得るところがあれば幸いです。

それを言うなら、普段交わることのない年齢のみなさんと話す機会は貴重でした。自分が知らないことをこれもたくさん教えてもらったのでした。

一時は専門学校と大学とで、どうかすると週に15コマ強(+週末の体験講座)を担当していた時期もありますが、いまとなっては一体どうやったらそんなことができたのか、皆目見当もつきません。ひまだったのでしょうか……

それはともかく、これにて定期的に講義をする非常勤講師の仕事を(すくなくとも一旦)おしまいといたします。機会があったら、またどこかでお目にかかりましょう。ありがとうございました。

一区切りということで、学校方面でのこれまでの講義の履歴をまとめてみました。とは、自分用のメモであります。

 

講義歴

・2006-2016 東京ネットウエイブ「ゲーム企画」「ゲーム史」「プログラム」「ゲームのための物理・数学」「制作指導」「インターネット概論」「コンピュータ概論」「作文法」など
・2009 一橋大学大学院「新たなる百学連環――学術篇」
・2010 一橋大学大学院「新たなる百学連環――芸術篇」
・2010 一橋大学・大学院「映像文化論」
・2011 一橋大学・大学院「映像文化論」
・2013 日本女子大学「現代社会論VII 情報社会論」
・2014 東京工芸大学「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」
・2015 東京工芸大学「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」
・2016 東京工芸大学「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」
・2017 東京工芸大学「ゲーム学I」「シリアスゲーム論」


ゲストレクチャー

・2009 「シリアスとエンターテインメントの境界」(馬場保仁と登壇、東京工芸大学、2009/06/18)
・2009 「新たなる百学連環」(一橋大学、2009/07/22)
・2011 「世界を異化するゲームデザイン」(慶應義塾大学SFC、2011/06/09)
・2012 「文字による人体改造のすゝめ」(武蔵野美術大学、2012/06/11)
・2012 「仕事としてのゲームデザイン」(京都精華大学、2012/06/28)
・2013 「社会のモンダイを遊びに変えるゲームデザインの考え方」(東京大学、2013/11/12)
・2013 「「意味ある遊び」を生み出すルールとデザイン――『ルールズ・オブ・プレイ』で学ぶデザインの発想と方法」(Ludix Lab公開研究会、東京大学、2013/11/29)
・2016 「視覚デザイン論特別講義」(長岡造形大学、2016/07/22)
・2017 「情報産業論実験実習II」(吉川浩満と登壇、東京大学情報学環、2017/01/11)

「人生がときめく知の技法」第11回

「webちくま」に吉川浩満くん(id:clnmen)との連載対談「賢人エピクテトスに学ぶ人生哲学 人生がときめく知の技法」第11回を寄稿しました。

 

今回は「「心像の正しい使用」とは?」のその二です。 

ここ数回、少し込み入った話をしていますが、吉川くんと私との対話をつうじてときほぐしております。

 

ついでながら、筑摩書房方面では、三宅陽一郎さんとの共著のほか、単著の新しい企画(記憶論)も進行中です。

 

これまで筑摩書房から刊行した本は次のとおり。3冊ともちくまプリマ-新書ですね。 

・『問題がモンダイなのだ』(吉川浩満との共著、ちくまプリマ-新書、2006)

・『ゲームの教科書』(馬場保仁との共著、ちくまプリマ-新書、2008)

・『世界が変わるプログラム入門』(ちくまプリマ-新書、2015)

 

 


 

語録 要録 (中公クラシックス)

語録 要録 (中公クラシックス)

 

 

文字入力はつらいよ

WORDに関する不具合について、将来(同じ目に遭ったとき)の自分のためにメモを残す。

 

Office 365のWORDで文書作成中、日本語入力の挙動がおかしくなった。

使っている仮名漢字変換ソフトはATOK2016。

 

生じる現象は、次のようなもの。

例えば、「前ゲーム的目標を達成する努力」と入力する。

このとき、キー入力はこうなる。("_"はスペース)

 

zenge-muteki_mokuhyouwo_tasseisuru_doryoku

 

何も問題が生じていないときは、このように入力して変換すれば、

 

前ゲーム的目標を達成する努力

 

と表示される。

 

ところが、時々こんなふうになる現象が生じる。

 

zえんゲーム……

 

という具合に、文字列の最初の文字がおかしくなる。

また、文字列の最後に意図しない改行が入ることもある。

 

はじめは、私のタイプミスだろうと思っていた。

(↑プログラマとして身についた、まず自分を疑う姿勢)

 

あまりに頻発するので、「おやおや今日は随分ミスするなあ」と思いつつ、念のため、WORDではないエディターで入力を続けたところ、タイプミスは生じない。というか、ミスも含めて、自分が入力した通りに文字が入力される。

 

現象だけ見ると、私が意図しないタイミングでEnterキーの入力が生じているようだ。しかもそれは、入力初めと終わりで生じることが多い。

 

おやおや。これは、WORDかATOKか両者の組み合わせでなにかが起きているのかもしれないな。

 

そう考えて、調べた結果、原因は不明のままだが、Microsoft Communityで次のようなやりとりを拝見した。

 


対処法だけ書けば、ファイルの保存形式をデフォルトのdocxではなく、docにしてみること。

 

試してみたら、上記の現象はなくなった。

結果オーライといえばオーライなのだけれど、原因が分からないのは気持ちが悪い。

 

ちなみにWORDは、これとは別に、作業中に画面に小さなウィンドウが開いて、文字入力のフォーカスを勝手に移動されてしまい、結果として入力した文字が、WORDファイルの中ではなく、画面上部の小さな入力窓に表示されるという現象もときどき生じている。

これはあちこちで報告されている現象のようだ。

これもアップデートなどでは解消されず、いまでも時々生じる。ひょっとしたら、別のアプリケーションとの関係かもしれない。例えば、別のアプリケーションがバックグラウンドでなんらかの作業を行う際に、そのタイミングでこの現象が起きるなど。とはいえ、これは推測もいいところなので、実際には何が起きているのか不明である。

対処としては、面倒だが、Alt+tabなどでフォーカスを移動しなおすと一応直る。

 

とまあ、こんな具合にちょっとした邪魔でも、文章を書いているときの意識の状態が邪魔されて、うまく行かないものである。少々いらだたしくもあるけれど、文句を言っても始まらないので、時間を決めて対処法を探し、その範囲内でなんとかなる場合はなんとかする。そうでない場合は、問題が生じているWORDの使用を諦めて、他のエディターなどで作業をする。

 

WORDには随分お世話になっているし、初期のヴァージョンに比べたら使えるソフトになってきたけれど、思えばWORDの不具合と戦う人生だった。

いまさらながら、自分にとって理想の文書作成ソフトを空想してみようかしらね。

はてさて。