すばる望遠鏡の天体画像

国立天文台が、すばる望遠鏡の天体画像データを閲覧できるヴューワーを公開しました。

いくらでも見ていられるわね、これ……。

すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC(注1))が撮影した本格的な天体画像データを、誰でも自由に楽しめる「HSCビューワ」サイトを公開しました。2014年から始まったHSCによる大規模戦略枠プログラム(HSC-SSP)の第1期データ(注2)をご覧になれます。

(下記リンク先から)

 

『學鐙』に「言葉の組立て」を寄稿しました

丸善のPR誌『學鐙』の最新号(第115巻第1号、2018年春号)に寄稿しました。

「組み立てる」という特集に、「言葉の組立て」と題して、文字の組み合わせである言葉の組み合わせである文の組み合わせである文章と読者の組み合わせから生じる出来事について書いたものです。

これはかつて『文体の科学』(新潮社)でいくつかのジャンルの文章を題材に検討し、最近『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)で漱石の『文学論』を読み解きながらさらに考えてみた課題に通じるものです。

つまり、人が文章を読むとき、なにが生じているのか、という課題です。

今回の「言葉の組立て」では、フレドリック・ブラウンの短編を題材にしています。

この文章を書きながら、私はプログラムを読み書きするように自然言語を読み書きしているのかもしれない、と改めて思いました。これがどういうことかについては、機会があればまた述べてみたいと思います。

 

⇒『學鐙』
 https://yushodo.maruzen.co.jp/corp/gakuto/index.html

 

新著『高校生のためのゲームで考える人工知能』できました

三宅陽一郎さんとの共著『高校生のための ゲームで考える人工知能』(ちくまプリマー新書296、筑摩書房、2018/03/05発売)ができました。

編集は吉澤麻衣子さん、イラストはしましまいぬさん、装幀はクラフト・エヴィング商會さんです。

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コンピュータ上に知能のように振る舞うキャラクターをつくってしまいたいと本気で考えているマッドプログラマーの三宅陽一郎さんと、デジタルゲームの世界で活躍する人工知能のつくり方やそのために必要な考え方について解説しました。

目次は次のとおりです。

旅のはじめに

第1章 キャラクターに知能を与えよう

第2章 環境のなかで人工知能を動かそう

第3章 メタAIでよき遊び相手を目指す

旅のおわりに

これに加えて六つのコラムを入れてあります。

理解を助けるための図をたくさんご用意しましたので、読みながら、見ながら、考えながら理解を深められると思います。

 

ゲームキャラクターの人工知能をつくるというと、アルゴリズムやプログラムのつくり方に目が行きがちです。でも、ちょっと考えてみるとお分かりのように、ゲームの目的は、なによりも遊ぶ人を楽しませることにあります。

つまり、デジタルゲームの人工知能をつくるということは、プレイヤーを楽しませる仕組みを考えることなのです。ということは、アルゴリズムやプログラムのことばかり考えていても、よいゲームAIはつくれない道理。そう、遊ぶ人間のことを考慮する必要があります。いうなれば、人間のよき遊び相手となるゲームAIをつくるためには、コンピュータやアルゴリズムと並んで、人間についての洞察も重要なのです。

今回の本では、そうした観点も含めて書いてみました。ゲームに限らず、これから先、コンピュータをつかって人を楽しませたり、サーヴィスしたりする場面について考える際にも、本書はお役に立つと思います。

来週3月5日に刊行予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

三宅さんの近著には、『人工知能のための哲学塾』の東洋篇が3月末に予定されています。こちらもたいへん楽しみです。

 

 

後藤明生『引揚小説三部作』

4月上旬につかだま書房から刊行予定の後藤明生『引揚小説三部作』に「解説」を寄稿しました。

同書は、植民地時代の朝鮮で生まれ、敗戦とともに日本へ引き揚げた経験をもつ後藤明生が、失われた故郷とその記憶を巡って書いた三つの小説「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」を一冊にしたものです。

解説では、この三部作がどのような文体と方法で書かれているかという点に着目して、それを読む醍醐味を論じております。ブックデザインは、ミルキィ・イソベさん。

 

 なお、つかだま書房では、同書に先立って何冊かの後藤明生作品を刊行しています。

・『アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】』

・『アミダクジ式ゴトウメイセイ【座談篇】』

・『壁の中』

また刊行が近づいたらお知らせいたします。

プロムナード「収容所のプルースト」

「日本経済新聞」夕刊の「プロムナード」欄に寄稿しました。

2018年1月から始まったこの連載も8回目。

今回は「収容所のプルースト」と題して、ジョゼフ・チャプスキの『収容所のプルースト』(岩津航訳、境界の文学、共和国)をご紹介しました。

共和国から刊行されている「境界の文学」シリーズはどれもよい本ですが、ここに書かれていることには、本当に驚きました。そして、プルーストを読みたくなります。

 

「プロムナード」の先週分(第7回)は、「体は勝手に連想する」と題して、東京国立近代美術館で開催中の「熊谷守一 生きるよろこび」展(3月21日まで)について書きました。

 

それ以前のバックナンバーへのリンクは以下のとおりです。

第6回「火星で働く」(2月13日)

第5回「教室のノーガード戦法」(2月6日)

第4回「プログラム習得のコツ」(1月30日)

第3回「アイロンになる」(1月23日)

第2回「書店こわい」(1月16日)

第1回「遊びか仕事かはたまた」(1月9日)

 

ところで、ときどき「読みたいのですが電子版を購読していなくて読めません」とおっしゃってくださる方がいます。「日本経済新聞電子版」は、無料プランの登録でも月に10本まで読むことができますので、拙稿に限らずご関心のある向きはご検討あれ。

 

「人生がときめく知の技法」第24回

吉川浩満くん(id: clinamen)との連載「人生がときめく知の技法」(webちくま)、第24回が公開されました。

 

同連載では、エピクテトス先生の教えを中心にして、人生をときめかせるための哲学を学ぼうではないか、ということで吉川くんと私の二人が対話をしながら進めております。

目下は、エピクテトス先生のバックグラウンドでもあるストア派と呼ばれる哲学流派の考え方について検討中。

彼らの哲学は、論理学、自然学、倫理学の三大柱からなると整理されますが、そのうち自然学を検討しているところ。

2017年の2月にはじめたこの連載、気づけばもう1年が経ちました。

予定している全行程のうち、残すは1/3といったところでしょうか。

ご笑覧いただけましたら幸いです。


いまから読むぞー、という方はこちらからどうぞ。


ガリレオ・ガリレイの手紙

ヴァチカン教皇庁図書館のデジタルアーカイヴ Digita Vaticana のツイートから。

 

 

ガリレオ・ガリレイの手紙のようです。