★鍋島俊隆『脳と心に効く薬を創る』(岩波サイエンスライブラリー98、岩波書店、2004/04、amazon.co.jp


薬学者による脳に効く薬の解説書。脳をケミカルマシーンとして眺めると、どういう仕組みになっているかをミニマムに解説している。ときおりあらわれる内輪向けのエクスキューズに苦労がしのばれる(読者には少しも関係ないことだが)。それと終わり近くにおかれた「5 心の病を乗り越えるために」という章は、それまでの薬学的な話からうってかわって「社会がストレスに満ちているのがいくない。でもそれって政治の問題だよね。てゆうか心の病の原因って政治じゃん」(大意)という話になっており、「生き方を変えよう」「心の病をもつ人は心やさしい人」「心は毎日ゆれるもの」「心がふさいでいるときは太陽に向かって歩こう!」といった提言が提出されている。かと思ったら、また唐突に「でも薬でなおることもあるし」と、薬の話にもどってゆくのであった。