★日比野啓+村山敏勝+三浦玲+吉原ゆかり編『からだはどこにある?――ポップカルチャーにおける身体表象』彩流社、2004/05、amazon.co.jp


身体をいかにとらえるか? ポップカルチャーはいかにとらえているか? 構築主義的な身体概念から出発することでポップカルチャーのさまざまな局面を見ること――というのが本論文集の目論見であるとの由。


構築主義」(Constructionism)とは、簡単にいえば、ある概念やフレームは文化のなかで社会的・歴史的に作り出されるものだから、時代とか文化を超える普遍性はもたんのだよ、という「主義」。対置されるのは「本質主義」。


ようするに世界を眺める二つの流儀があるとして、この本では前者でやってみるぜ、という次第。


俎上にのぼせられるネタは、マドンナ(音楽・パフォーマンス)、ロック(音楽)、安野モヨコ(漫画)、阪妻(映画)、曾我廼家五郎(喜劇)、指輪ホテル(演劇)、バロウズ(小説)、ロス・マクドナルド(小説)と多彩。


個々の論文が描き出すトリヴィアルな論点はおもしろい、のだが一冊の本にまとめられている意義はいまひとつ感じられなかった。って、それをいっちゃあおしめえよ、ですね。失敬。