★『國文學 解釈と教材の研究』第49巻第10号 2004年9月号(學燈社、2004/08)
・特集=翻訳――翻訳とは何を翻訳するのか
柄谷行人「翻訳者の四迷――日本近代文学の起源としての翻訳」
・五十殿利治「モダニズムの翻訳――大正期新興美術運動の実践」
柳父章「兆民は『民約訳解』を漢文で訳したか」
・飯塚恵理人「和漢朗詠集から謡曲へ」
柴田元幸+和田忠彦「翻訳と文学」
山田潤治「16世紀日本の切支丹の翻訳」
関井光男「翻訳の言語と貨幣――物語の言語交換」
・小林千草「しぐさがセリフを超える時――能・狂言に見る演劇の”翻訳”」
・岡村民夫「逐語訳者の系譜学のための序文――ボードレールマラルメベンヤミン
野谷文昭「翻訳――情熱と冷静、ことばの置きかえによる魔術」
四方田犬彦「ドゥルシネーア――イスラエルにて」
・鈴木正美「内なるものと鏡の向こう――ロシア詩の/への翻訳」
野崎歓「翻訳理論と翻訳のはざまで――フランス文学の場合」
十重田裕一「感触的北京日本現代文学翻訳の現在」


大岡昇平『ルイズ・ブルックスと「ルル」』(中央公論社、1984/10、ISBN 4120013294)


大岡昇平が『海』に掲載した「あるアンチ・スター」(1983年1月号)と「ブルックスふたたび」(1983年3月)をあわせたテキストに、『パンドラの箱』(Die Büchse der Pandora, 1929, 監督=ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト)のスチル多数、それにルイズ・ブルックスの文章「ギッシュとガルボ」、「パプストとルル」(いずれも四方田犬彦訳)を併載した一冊。「私自身の文章は、長い長い溜息の記録です」(大岡昇平) 小生も読みながら長い長い溜息をつきました。嗚呼。



★デイヴィッド・ボードウェル『映画の様式――その変化と連続性』(小町眞之訳、鼎書房、2003/03、ISBN 4907846185)
 David Bordwell, On the history of film style (Harvard University Press, 1997, amazon.co.jp)


「映画様式の研究は、我々の映画への態度形成に大きな力となった。様式によって映画は、伝統、古典、改革の先駆けに分けられる。デイヴィッド・ボードウェルは本書で、映画史における様式上の連続と変化を、研究者がどう説明してきたか解明する。
ボードウェルは、アンドレ・バザン、ノエル・バーチなどによって始められた様式の理論を精査する。……」(裏表紙より) 様式(style)の観点から映画を分析する一冊。