ジョン・デューイ『経験と教育』(市村尚久訳、講談社学術文庫1680、講談社、2004/10、amazon.co.jp
 John Dewey, Experience and Education (The Macmillan Company, 1938)

子どもの才能と個性を切り拓く教育とは?
子ども自身の経験が好奇心を喚起し、独創力を高め、
強力な願望や目的を創出し、能動的成長を促す。
経験の連続性と相互作用という二つの原理を軸に、
経験の意味と教師の役割を深く分析した本書は、
デューイの教育思想を凝縮した名論考であり、
生きた学力をめざす総合学習の導きの書でもある。

(裏表紙より)



大塚英志物語消滅論――キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』角川oneテーマ21 C-83、角川書店、2004/10、amazon.co.jp

この本では大雑把に言って二つの大きなテーマを話すことになります。一つは小説やコミック、映画やゲームといった物語を創作・消費していく過程で、作者や読者のあり方、ソフトとしての物語のあり方が、現時点でどのように変わってきてしまったのか、あるいはこの後どうなっていくのかということについて、つまりぼくの『物語消費論』の続編として、1990年代以降の事態を概略的に捉えていこうと思います。そこではコミックでも小説でもいいのですが、ソフトしての「物語」が、もはや旧来のソフトとしての形をとれなくなっていっており、その中で作者も読者も大きく揺らいでいるという事態があります。「物語消滅論」というタイトルは、そのような意味での「変容」をやや刺激的な「消滅」という語で形容しているわけです。


マルクス主義的な社会設計が挫折したあとで、世界を説明するイデオロギーは不在。この状況でかつてのイデオロギーを代行しつつあるのは大塚氏の見立てによると「物語」(=「大きな物語」とかの「物語」ではなくって、物語の文法によって制御されている、ストーリーラインや内的な構造のあるものの謂いとのこと)であるらしい。それはどういう見立て、問題意識なのか。