そんなわけで、本日手にした書物たちについてのメモランダム。
★エリー・フォール『美術史3――ルネサンス美術』(森田義之+小林もり子訳、国書刊行会、2004/12、amazon.co.jp)
Élie Faure, Histoire de l'art: L'art renaissant(1914)
『美術史1――古代美術』、『美術史6――形態の精神1』につづく、エリー・フォールの『美術史』第三回配本。邦訳版は全7分冊。美術に関心のある向きは必読の一冊。
⇒国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/
★高橋悠治『音の静寂 静寂の音』(平凡社、2004/11、amazon.co.jp)
『高橋悠治/コレクション1970年代』(平凡社ライブラリー)につづいての刊行。11月にはエイベックスからバッハの『ゴルトベルク変奏曲』(amazon.co.jp)を出している。本書は、高橋がウェブサイト「水牛」で公開しているテキストを編んだもの。あとがきにはこんな説明がある。
「音楽の反方法論序説」を書いたあとは
消費文化にまきこまれ すぐに返品断裁されるような
紙の本を出すのはやめようと思った
たのまれてあちこちに書く文章をあつめて
インターネット上に上げておく
あるいは ネット上に再開した水牛のサイトに書く
楽譜もおなじように公開する
こうすれば いつでもダウンロードしてよむことができ
コピーし 引用し 転送し
音楽を演奏することもできるだろう
フリーウェアとしての作品は
そのサイトがつづくかぎり そこにある
ちいさいものが ちいさいままで ひろいつながりをもつ
多くの作品は、上に引用した「あとがき」と同じように詩のように短く改行されてゆく言葉でつづられている。そのことについては、平凡社のPR誌『月刊百科』no.506、2004年12月号(平凡社)に掲載された特別インタヴュー「記憶に残したいことを、残るように書く」(同書を編集した浜野サトル氏によるインタヴュー)に述べられている。というか、このインタヴューの題に端的にあらわれているので説明は略します。
⇒水牛 > 高橋悠治
http://www.ne.jp/asahi/kerbau/kerbau21/kerbau(j)/yujij.html
★ガストン・バシュラール『夢想の詩学』(及川馥訳、ちくま学芸文庫ハ14-4、筑摩書房、2004/12、amazon.co.jp)
Gaston Bachelard, La poétique de la rêverie(P.U.F., 1960)
バシュラールの著作としては『空間の詩学』『新しい科学的精神』『夢みる権利』につづいて四冊目のちくま学芸文庫入り。本書の親本は、1976年06月に思潮社から刊行されている。
★石崎浩一郎『光 運動 空間――境界領域の美術』(商店建築社、1971/04)
現代美術批評書。読了したらも少し詳しいメモをつくります。
★Rollo H. Myers, ERIK SATIE(Dover Publications, 1947)
エリック・サティの評伝。今年(2004年)は、アンヌ・レエの評伝が新書化(白水uブックス)したり、オルネラ・ヴォルタの『エリック・サティの郊外』』(昼間賢訳、早美出版社)が邦訳されたりしましたね。本書については中身をみたらまた書いてみます。
★デヴィッド・ブレスキン『インナーヴューズ――映画作家は語る』(柳下毅一郎訳、大栄出版、1994/12、amazon.co.jp)
David Breskin, Inner Views: Filmmakers in Conversation(Faber & Faber, 1992)
映画作家へのインタヴュー集。訳者の柳下さんもあとがきに書いているけれど、映画作家のインタヴューはほんとに面白い(ちゃんとしたインタヴュアーがやれば)。本書でインタヴューを受ける映画作家は、フランシス・コッポラ、デイヴィッド・リンチ、オリヴァー・ストーン、スパイク・リー、デイヴィッド・クローネンバーグ、ロバート・アルトマン、ティム・バートンといったお歴々。これがおもしろくないわけがない。原書はもともと、ローリング・ストーン誌に連載されたものらしい。
★アーネスト・ヘイコックス他『駅馬車――西部小説ベスト8』(三田村裕訳・編、ハヤカワ文庫NVヘ5-1、早川書房、1973/04)
ジョン・フォード監督作品『駅馬車』(Stagecoach)(1939)の原作となったアーネスト・ヘイコックスの小説 Stage to Lordsburg (1937) ほか、全8編の西部小説集。これを読むとまたぞろ西部劇映画を観たくなる。
★ジャック・シェーファー『シェーン』(清水俊二訳、ハヤカワ文庫NVシ7-1、早川書房、1972/09)
Jack Schaefer, SHANE(1949)
ジョージ・スティーヴンスが映画化したジャック・シェーファーの第一作。これを読むとまたぞろ(以下略)
★崔銀姫+申相玉『闇からの谺――北朝鮮の内幕』(上下巻、文春文庫、文藝春秋社、1989/03)
香港から北朝鮮へ拉致されて8年間の抑留生活を余儀なくされ、その後脱出に成功した韓国の映画作家と女優の手記。
★『美術手帖』第859号、2005年1月号(美術出版社)
☆特集=ART BOOK GUIDE 2005――プロが読んでる美術の本 27テーマ300冊
★『ユリイカ』第6巻第5号、1972年5月臨時増刊号(青土社)
☆総特集=現代世界文学入門
★『ユリイカ』第6巻第6号、1972年5月号(青土社)
☆特集=エリック・サティの奇妙な世界
★『ユリイカ』第6巻第8号、1972年7月号(青土社)
☆特集=現代イタリアの詩と映像――パヴェーゼ/フェリーニ/パゾリーニ
★『ユリイカ』第7巻第1号、1973年1月号(青土社)
☆特集=武満徹――ことばと音楽
★『ユリイカ』第8巻第9号、1974年8月号(青土社)
☆特集=映画の美学――ゴダールから溝口健二へ
★『論座』通巻116号、2005年1月号(朝日新聞社)
☆特集=笑うブッシュと黙り込む世界
同誌書評執筆陣による「2004年の収穫――私が選ぶこの三冊」も掲載。
★『ダカーポ』第25巻第1号、2005年1/5・19合併号(マガジンハウス)
☆特集=今年最高!の本
ブック・リスト(2004年ベスト本)の特集にひかれて手にとる。永江朗さんと編集部による(?)選書リスト「いろいろあったね、2004年イラク戦争、冬ソナブーム、本で今年をひと巡り」の18冊に拙著が掲載されていてビクーリ(販売部数つき)。このような場所でなんですがありがとうございます。>『ダカーポ』編集部御中。