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◆単行本


☆菅啓次郎『オムニフォン——〈世界の響き〉の詩学岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥2800)

グローバル化の中で言語や文化を越境し,胎動しつつある新たな知の姿.著者はこれをオムニフォン(オムニ=多 フォン=響)と呼び,アメリカ,カリブ,ブラジル,東アジアなど,文化的混交の現場から近代の知や歴史を問い直す.多文化状況におけるコミュニケーションの可能性を問い,新たな世界像を構想する.

(同サイト紹介文より)


☆荒井献『イエスと出会う』岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥2500)【宗教】

イエスとの出会い,信仰をもって現代に生きるとは.信仰者として見た同時代の風景と聖書の光を,熱く語りかける.生い立ちと学問の形成,忘れ得ぬ故郷の人々,学友と教友と論敵の肖像.隣人とは誰か,信仰のうちにあって「小さくされる」とはどういうことか.知に賭け,信に生きた半生の記録.説教・エッセイ集.


☆荒井献『「強さ」の時代に抗して』岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥2500)【宗教】

信仰の人として,同時代に警鐘を鳴らす.イラク派兵,国旗・国歌法制定など現れた日本社会の右傾化を,イエスに拠って立つ目の位置から問う.渦中にあった60年代末大学闘争の記録,韓国民主化闘争に発したメッセージ,フミニスト神学からの告発と応答¥¥戦後史,もう1つの証言.社会思想としてのキリスト教の原点へ.


デニス・アルトマン『グローバル・セックス』(河口和也+風間孝+岡島克樹訳、岩波書店、2005/02/16、amazon.co.jp、¥3600)【思想】【セクシュアリティ

グローバル化の急激な展開は,セクシュアリティをどのように変容させているか.遺伝子工学エイズ,サイバーセックスの拡大により,われわれの身体は個人の領域を超え,すでにグローバル化のなかに位置づけられている.政治,経済,文化構造におけるグローバル化セクシュアリティのダイナミックな相互作用について分析する注目の論.


☆ピーター・H.ウィルスン神聖ローマ帝国 1495-1806』(山本文彦訳、岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥2100)【歴史】

明確に定まった境界も,単一の言語や国民集団ももたないまま,千年以上にわたり中央ヨーロッパのほぼ全域に支配をおよぼした神聖ローマ帝国国民国家の枠組が揺らぐ現在,この帝国像をめぐる新たな歴史的見直しの気運が高まっている.研究動向を紹介しつつ,帝国のたどった歴史と主要制度を簡潔・的確に解説する.


☆佐藤康邦『カント『判断力批判』と現代 目的論の新たな可能性を求めて』岩波書店、2005/02/25、amazon.co.jp、¥6200)【思想】

哲学における〈目的論〉概念を今日に生かすべく,『判断力批判』を考究する研究書.ときに内在的な読解を越え,現代の哲学や科学との接点をとらえることで,一層重要性を増しつつある同書の新しい読み込み地点を示す.


ベルンハルト・シュリンク『過去の責任と現在の法 ドイツの場合』岩波書店、2005/02/10、amazon.co.jp、¥2400)【法学】

冷戦時代,ベルリンの壁を乗り越えようとした者を射殺した東ドイツ兵士の罪責を,統一後のドイツで問うことは可能か??.『朗読者』の著者として日本でも知られるベルンハルト・シュリンクの本職は憲法学者である.その彼が「法による過去の克服」をめぐって考察を繰り広げる.著者の深い学識が冴えわたる法学論集.


杉田敦『境界線の政治学』岩波書店、2005/02/10、amazon.co.jp、¥2300)【思想】

グローバリゼーションと「9.11」によって私たちが直面することとなったポレミックなトピックを通して,幻想にもとづく同質性を単位とする政治秩序がもつ問題と限界を考察する.主権の絶対性と,境界線内部の最適化を志向する伝統的な政治概念をラディカルに更新し,現状に対して新たなパラダイムを切り拓く理論的跳躍.


☆ステュアート・シムデリダと歴史の終わり』ポストモダン・ブックス、amazon.co.jp)【思想】


☆竹内章郎『いのちの平等論——現代の優生思想に抗して』岩波書店amazon.co.jp


V.S.ナイポール『ミゲル・ストリート』小沢自然小野正嗣訳、岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥2500)【小説】

「名前のないモノ」ばかり作る大工,「世界でもっとも偉大な詩」を書いている詩人,父親が違う7人の子どもを生んだおっ母さん──少年の眼を通して語られる「ミゲル・ストリート」の17の人生の物語は,みな風変わりで,そしてちょっと切ない.ノーベル賞作家ナイポールの実質上の処女作,40年の時を経て,ついに邦訳!


★中地義和ランボー——自画像の詩学岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥3000)【文学】

ランボーの詩には自分を架空の人やものとして思い浮かべ,自分との類似性を前提としない自画像を描くことからその形を取り始めるものが多い.10歳の頃のノートから『酔いしれた船』『地獄の一季節』そして『イリュミナシオン』へ——詩をたんなる夢想として終わらせずに実存をめざすランボーの詩の歩みをたどり,詩人の内奥に迫る.


☆兵藤裕己『演じられた近代——〈国民〉の身体とパフォーマンス』岩波書店、2005/02/25、amazon.co.jp、¥3000)【思想】

盆踊りのリズムや哀調をおびたヨナ抜き音階に「懐かしさ」を感じる「われわれ日本人」.そうした身体感覚の成立こそが国民国家形成の基盤であり,その実相をもっとも鋭く表象したのが演劇,ことに役者の身体であった——川上音二郎小山内薫の実践を具体的に追う中に「近代の成立」過程を読み解く画期的な試み.


プラトンプラトン全集第2巻 クラテュロス・テアイテトス』(水地宗明+田中美知太郎訳、岩波書店、2005/02/24、amazon.co.jp、¥4800)【哲学】

「名前」の本性をめぐって対立するヘルモゲネス説とクラテュロス説を徹底的に検討する『クラテュロス』は,プラトンの言語論を伝えるほとんど唯一の著作.さらにプラトンは,『テアイテトス』において,知覚や記憶といった認識論の根底的問題を通して,古の大哲学者パルメニデスヘラクレイトスと正面から対決してみせる.

⇒哲学の劇場 > 作家の肖像 > プラトン
 http://www.logico-philosophicus.net/profile/Platon.htm


守中高明『法』(思考のフロンティア第II期、岩波書店、2005/02/15、amazon.co.jp)【思想】
⇒哲学の劇場 > 作家の肖像 > 守中高明
 http://www.logico-philosophicus.net/profile/MorinakaTakaaki.htm


☆R.W.B.ルイス『ダンテ』(三好みゆき訳、ペンギン評伝双書、岩波書店、2005/02/15、amazon.co.jp、\2500)【評伝】

激動する歴史のなかで政治抗争に巻き込まれ,流浪亡命という波乱の生涯を送りつつ,不滅の古典『神曲』を完成させたヨーロッパ最大の叙事詩人ダンテ.日常語による文学を誕生させて,文学史に新しい時代を切り開いた詩人政治家の軌跡を,時代背景と作品とを関連付けながら描き出した,伝記文学の泰斗による初のまとまった伝記.