■000:はじめに


しばらくゲーム開発の現場で働いていたこともあって、ときどき、「どうやったらゲーム開発者になれますか?」とか「ゲーム開発者になるためには何を勉強したらよいですか?」といったご質問を頂戴する。


たしかにこれは外から見ているとわからないことかもしれない。


もちろん、ゲーム開発の現場にいる人々には、それぞれに異なる動機や理由や経歴がある。だから、一概に「こうすればいい」という答えはないのだけれど、私が知っている範囲でゲームはこのように開発するということはお話しすることができる。「このように開発する」という一連の作業の総体が見えると、そのために必要なスキルや知識、経験がわかるかもしれない。


というわけで、これからしばらく、ゲーム開発者になりたい人のためのゲーム開発作法についてあれやこれやと述べてみたい。話の流れによっては、ゲームの歴史や作品や分類、関連資料についても言及してゆきたいと思う。半分は自分がやってきたことの整理をしてみたいという気持ちから書くのだけれど、これからゲーム開発の世界に進んでみたいひとにも役立つことがいくらかはあるかもしれない。


ときに、ここで「ゲーム」と呼んでいるのはもっぱら「ヴィデオ・ゲーム」を指している。つまり、モニターとコンピュータとソフトウェアから構成されるゲームのことだ。


(次回につづく)