★齋藤了文『テクノリテラシーとは何か——巨大事故を読む技術』講談社選書メチエ323、講談社、2005/02、amazon.co.jp)#0315*


限定された知(限定合理性)しか持ちようのない人間が、どうしたら複雑性が高く決定論的に予測しつくせない状況のなかに安定した機構をつくりだせるのか? 実際に起こったさまざまな事故を例にとりながら、諸テクノロジーを工学的に考察する一冊。


下記目次のとおり、扱われる事故は、飛行機・新幹線・車といった交通手段から薬害、医療事故、原発、食、銀行システムなど、ひとごとでは済まされない事例ばかり。勉強になりました。


著者・齋藤了文(さいとう・のりふみ, 1953- )氏は、工学の哲学と倫理を専門とする関西大学社会学部教授。著作に『〈ものづくり〉と複雑系講談社メチエ、講談社)、『はじめての工学倫理』(共編著、昭和堂)、『誇り高い技術者になろう』(共著、名古屋大学出版局)などがある。

・プロローグ——テクノロジーを読み書きする力
・第一章 事故とエンジニアという問題領域


第一部 人工物が生まれるとき
・第二章 コメット空中分解事故——事故調査と新規開発
・第三章 サリドマイド——新薬の開発と副作用のリスク


第二部 人工物の成熟期
・第四章 ピント車追突事故——人工物の安全性と製造物責任
・第五章 スリーマイル島原発事故——ヒューマンファクター
・第六章 慈恵医大青戸病院医療事故——専門家の位置づけとリスクマネジメント
・第七章 牛肉偽装——表示に関わる情報問題
・第八章 みずほ銀行システムトラブル——情報システムの開発とメンテナンス


第三部 人工物の衰退期
・第九章 新幹線トンネル崩落事故——施工管理と維持管理
・第十章 ボパール=産業事故の起きた町——管理の時間的・空間的拡がり


・エピローグ——エンジニアの目


関西大学齋藤了文研究室
 http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~saiton/