本とコンピュータ第二期第15号(2005/03、amazon.co.jp)#0318
☆特集=出版再考——このままでいいのか、わるいのか。それが問題だ!


次号第16号で終刊を迎える本とコンピュータの第二期第15号は、「出版再考——このままでいいのか、わるいのか。それが問題だ!」と題した総まとめ特集。通読すると、業界関係者たちの認識——このままではよくない——が伝わってくる。


神保町の喫茶店でお茶を飲んでいると、しばしば近所の出版社の人々が「どうしてよい本が売れなくなったのか?」と嘆くのを耳にする。冗談のような話だけれど、私は去年だけで十社近くの出版社の方が喫茶店でそう嘆いているのを耳にした。ここで「よい本」と言われているのは、多くの場合、いわゆる人文書である。


そうした席でのお決まりの推測は、教養崩壊と娯楽の充実によって若者が本を読まなくなった、だから、私たちが作るよい本が、かつてに比較して売れなくなった、というものだ(そういえばゲーム会社に勤めていたころ、ゲームの売り上げ本数が下がった原因を、インターネットとケータイの普及に帰す議論をしばしば耳にした)。


本当に昔に比べて若者が本を読まなくなったのか、私にはわからない。ただ、一人の読み手として言えることは、単位時間あたりの新刊点数が多すぎるために、読み手(=買い手)の手がまわりきらないという事情はある。


いま現在どの程度の本が刊行されているのか。本号の座談「新刊を売るだけが、書店の仕事じゃない」のなかに、「新刊の年間刊行点数は、一九八〇年代初頭の二万点からどんどん増えていて、現在では七万点を超えている」とある(86ページ)。


とすると、仮に私が年間千点の新刊書を手にとったとしてもカヴァーできるのは全体の1/70に過ぎない(全体をカヴァーする必要はないのだが)。しかも新刊書目数は年々増えている。これではせっかくよい本をたくさん出してくださっても読むほうがとても追いつかない。刊行数を減らすか、価格を下げるかしていただけたら、もうすこしおつきあいできるのだが。


とはいえ、読み手としては、より多様な刊行物が出版されることはありがたいと思ってもいる。読者として困難を感じてることがあるとすれば、新刊の網羅的な情報(つまり或る本が存在することを知るてがかり)がないことだろうか。『これから出る本』のような役立つ新刊情報パンフレットはあるけれど、掲載する出版社が部分的であるうえに情報の鮮度が出版社によってまちまち(たとえば平凡社の本は前月分が今月号に掲載される)なので、PR誌やウェブサイトから自分で収集するほかにない。書評新聞もありがたい情報源ではあるものの、ほとんどの場合新聞に書評が掲載される前に読了しているので情報としては役に立たない場合のほうが多い。


と一見文句を述べているように見えるかもしれないけれど、実際には情報を集める過程も含めて楽しんでいるのだから文句を言う筋合いではない。


本とコンピュータ・ウェブサイト
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