ポール・ヴァレリー『ヴァレリー・セレクション(上)』(東宏治+松田浩則訳、平凡社ライブラリー528、平凡社、2005/02、amazon.co.jp

人間がつくる作品の価値は、作品そのものにあるのではなく、その作品が後になってほかの作品や状況をどう進展させたかということにあるのだ。

(「言わないでおいたこと」より)

批評というものは、その気分や趣味にしたがって意見を述べたにすぎない——つまり作品を語っているつもりで実は自分を語っている——のでないかぎり、またいやしくも何かの判断をくだしているのであるかぎり、作品の著者が意図したことと、実際に行ったこととを比較検証するところにあるだろう。

(同上)

わたしが評価するほとんどすべての本、そして何らかの意味でわたしの役に立った本は、例外なく、読むのが相当むずかしい本だった。

(同上)