植草甚一植草甚一スクラップ・ブック5——サスペンス映画の研究』晶文社、2005/03、amazon.co.jp)#0334


植草甚一植草甚一スクラップ・ブック22——ぼくの大好きな外国の漫画家たち』晶文社、2005/03、amazon.co.jp)#0335


植草甚一植草甚一スクラップ・ブック35——ジャズ・ファンの手帖』晶文社、2005/03、amazon.co.jp)#0336


晶文社から復刊中の植草甚一スクラップ・ブック(1976-1980)、海外の文物やそれについての情報が溢れる現在の目で読むと、文章の内容そのものよりもむしろ植草さんがそこにあらわれる諸作品にどのように触れるにいたった経緯や関心の持ち方がおもしろい(と言っても本書からはあれやこれやについての知らないことをたくさん教えていただいてもいる)。


ネットによる情報流通のおかげもあって、海外文化事情を教えてくれる人の価値が相対的に下がったのではないか、という議論をある場所で読んだ。


しかし実はそんなことはないのであって、どれだけ情報の流通がようなろうとも、結局のところ、情報を選び取る選択眼と蒐集した情報を既存の知や文脈と結びつけてパッケージングする編集能力がなければ、目のまえにどれだけデータがあってもなんにもならない。インフラストラクチャーが整えば自ずと情報は得られると思う人は、日本語を母国語としていれば自ずと日本語の本が読め、日本語の文が書けると思い込んでいる人に似ている。日本語を母国語としていることは、よく本を読み、よい文章を書く必要条件であっても十分条件ではない。


ところで、2005年04月02日(土)に、同スクラップ・ブックの第一期完結イヴェントが催されるようだ。二部構成で、「第一部 新宿・ジャズ・植草甚一」は、坂田明中村誠一による演奏に、中平穂積を交えた座談会。「第二部 60年代〜70年代のサブカルチャー雑誌と植草甚一」は、矢崎泰久(評論家・元『話の特集』編集長)+津野海太郎(評論家・元『宝島』発案者)+高橋章子(作家・元『ビックリハウス』編集長)+高平哲郎(元『宝島』編集長)というメンバーによる座談会。


晶文社 > 「植草甚一スクラップ・ブック」第一期完結記念イベント
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