内田隆三社会学を学ぶ』(ちくま新書527、筑摩書房、2005/04、amazon.co.jp)#0344


内田隆三(うちだ・りゅうぞう, 1949- )氏の新著。内田氏がいかにして社会学徒となったかという読書遍歴に重ねながら読者を社会学の方へ案内する一冊。なぜ、どのように社会学を学んだのか(学ぶのか)。以下のような構成。

序章 社会学を学ぶ人のために
第一章 社会学以前
第二章 社会学入門——行為理論を学ぶ
第三章 マルクス——物象化論の射程
第四章 構造主義——あるいは主体の不安
第五章 ミシェル・フーコー——系譜学のまなざし
第六章 現代社会の理論——システム論と極端現象
 1.現代社会とシステム論
 2.システムの超成長と極端現象
第七章 習俗の思考——柳田国男の挑戦
第八章 ヴァルター・ベンヤミン——あるいは社会記述の方法をめぐって

二〇世紀の社会学の大きな流れは、「形式化」された水準に志向し、「反省」という要素を加算していく。自分を抽象化しつつ、自分の上に折り重ねるようなかたちで、社会についての知が求められるのである。そこで社会学の知は二重構造をしている。二〇世紀の社会学は何かある対象について研究しながら、同時にそういう研究をする自分自身の正当性を問題にし、自己言及をはじめるからである。社会学の知は、1)何かある経験を一定の形式のもとに思考するだけでなく、2)そのように思考する自分自身の問題構成そのものを思考するというかたちで、その可能性を領野を踏破していく。


このような踏破の果てに、社会学の現在の局面がある。それは社会学が自分で自分を根拠づけようとして、結局、自分を宙吊りにしていく過程でもあった。それは現在の社会学の理論的精緻さへの志向と同時に閉塞感にもつながっている。

(同書、p.25)


「自分を根拠づけ」る手法にはどのようなものがあるのか。という観点で(も)、社会学の仕事を眺めてみたいと思うにいたった。


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