『未来』 No.463、2005年4月号(未來社)


「読書特集2005」と題して、読書をめぐる各種テキストを掲載している。

★世界の書店から
酒井隆史「ニューヨーク、ラディカル書店ツアー」
丸川哲史台北書店めぐり」
森元庸介「指し示される自由——リブラリールのこと」


・座談会「営業・販売の現場から考える本作り」


・「「未来」ができるまで——印刷所・製本所を訪ねる」


「営業・販売の現場から考える本作り」は、小林浩(月曜社)、樽本周馬国書刊行会)、丸尾素子(大月書店)、柳瀬徹浅川書房)といった出版関係者による座談会。出版社の編集・営業と書店のあいだでどのようなコミュニケーションが行われているか/いないか、について議論されている。国書刊行会の樽本氏が語っている営業体験——ハイエースに箱を四〇ほど積み込んで一人で営業してまわる「地獄の行商」の話——は涙なくしては読めない。


この「地獄の行商」のエピソードを読んで思っただけなのだが、いっそのこと、書店もサオダケ屋のようにワゴンに本を積んで「本はいらんかね」と巡回販売してみてはどうか。あるいはかつての百科事典みたいに(とは、『モンティ・パイソン』にしばしばあらわれる百科事典の訪問販売員を想像している)戸別訪問販売をしてみてはいかがか。ってそれは単価が高くないとペイしそうにないですね。


でも、個別訪問販売なら、読書アドヴァイザーとして「ああ、そういうご関心でしたら、いまはこの本が必読ですよ」、「それをお読みになったのでしたら、これもきっとおきに召しますよ」だなンていろいろな本を薦めることもできそう。


といってもそんな風にして本を買ってくれるお客に行き当たるまでがたいへんか。じゃあ、会員登録制にしておいて、登録した人の家に月一回個別訪問するのはどうでしょうか。え? 欲しい本くらいネットや書店で買うですって? いえいえ、ご自分が欲しい本をいつも自分で見つけられるとは限りませんからして。欲しい本を知るためには、世の中にどんな本があるかを知っている必要がありますから(存在を知らない本を欲しがることはできない)。


⇒未來社
 http://www.miraisha.co.jp/