鈴木邦男『新増補版 新右翼——民族派の歴史と現在』彩流社、1994/06、amazon.co.jp)#0354


これまで左翼運動史にまつわる書物はそれなりに集め読んできたのだけれど、対する右翼については積極的に調べてこなかった。過日、たまさか通りがかった古本屋の露台にて現・一水会代表・鈴木邦男(すずき・くにお, 1943- )氏が書いた新右翼入門書である本書を手にいれた。


鈴木氏は、かつて筑紫哲也が『朝日ジャーナル誌上に連載したインタヴュー「若者たちの神々」にも登場している。同インタヴュー・シリーズはその後全4巻にまとめられている。総勢50人近くの人びとが「若者たちの神々」としてインタヴューを受けている。なかには、浅田彰糸井重里中沢新一糸井重里北方謙三中上健次橋本治坂本龍一などがいたはずだ。同書は1980年代の空気を垣間見るのにも有益な本だと思うので、機会を改めてその内容についてメモを作ろう


ところで本書についてはとりあえず構成を紹介しておこう。

・はじめに
・第一章 新右翼私史
・第二章 新右翼新左翼
・第三章 新右翼天皇
・第四章 新右翼の現在
・増補 昭和の終わりと平成時代の民族派運動
・新増補 野村秋介・出会いと別れ
・資料篇
・対談・反共右翼からの脱却 野村秋介鈴木邦男
新右翼運動関係年表
・あとがき
・増補版あとがき
・新増補版あとがき


本書は、1988年2月に初版が発行され、1990年に増補版が、私が手にした新増補版は1994年の刊行。最近になってさらに改訂増補版が刊行されたようだ。彩流社のサイトを見ると、「改訂増補 9・11同時多発テロ以降の新右翼運動」「改訂増補・新右翼運動関係年表」が増補されているようだ。

「こういう本も珍しい。1988年2月に初版を出して、17年になるが、4年おき位に増補版を出している。「新右翼」運動そのものが生きて動いているからだ。本も成長し、どんどん頁も増えていく。増補の書き下し、資料、年表の追加で、今や初版の倍近いのではないか。そして、僕が書き続けている本、というだけでなく、右翼運動の「資料」になっている。……これからも、自分のライフワークとして書き続けていきたいと思う。」(改訂増補版「あとがき」より)

(同社ウェブサイトより)


彩流社
 http://www.sairyuusha.co.jp/


一水会
 http://www.issuikai.jp/