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★渡邊二郎『はじめて学ぶ哲学』（ちくま学芸文庫ワ3-4、筑摩書房、2005/04、amazon.co.jp）#0368

渡邊二郎（わたなべ・じろう, 1931- ）氏による哲学入門書。親本は、放送大学の教材『哲学入門』として刊行されていたもの。

初学者向けに書かれた教科書なのだから当然といえば当然のことながら、哲学という営為の内実が検討に付されており、いまいちど哲学について考え直してみたいという向きにも有益な書物であると思う。限られた紙幅のなかで哲学とはどのような営為であるかという検討から、その方法、東洋思想との比較、哲学史の流れ、その諸問題、と充実した内容になっている。

哲学の原理と方法のみならず哲学史的な知識も一冊のうちに含まれており、現地（原典繙読）に向かうまえにおおまかな地図を頭にいれるといった使い方にも適している。お薦めの入門書。

・第1章　哲学という言葉
・第2章　「愛知」としての哲学
・第3章　人生観・世界観の根本知
・第4章　哲学の方法（その1）
・第5章　哲学の方法（その2）
・第6章　哲学の分野
・第7章　東洋の知恵（その1）
・第8章　東洋の知恵（その2）
・第9章　西洋哲学史の基本的構図（その1）
・第10章　西洋哲学史の基本的構図（その2）
・第11章　西洋哲学史の基本的構図（その3）
・第12章　西洋近現代哲学の生成と動向（その1）
・第13章　西洋近現代哲学の生成と動向（その2）
・第14章　存在と知識
・第15章　現実と実存
・文庫版あとがき
・人名索引
・事項索引

なお、渡邊氏の著作のうち、ちくま学芸文庫（と講談社学術文庫）所収の作品にはほかにつぎのものがある。

★『構造と解釈』（ちくま学芸文庫、筑摩書房、1994/11、amazon.co.jp）
★『芸術の哲学』（ちくま学芸文庫、筑摩書房、1998/06、amazon.co.jp）
★『英米哲学入門』（ちくま学芸文庫、筑摩書房、1996/12、amazon.co.jp）
★『歴史の哲学』（講談社学術文庫、講談社、1999/11、amazon.co.jp）