ジャック・デリダ『生きることを学ぶ、終に』 (鵜飼哲訳、みすず書房、2005/04、amazon.co.jp)#0378
 Jacques Derrida, APPRENDRE À VIVRE ENFIN: Entretien avec Jean Birnbaum (Éditions Galilée, 2005)


ジャン・ビルンバウム(Jean Birnbaum)による、ジャック・デリダJacques Derrida, 1930-2004)へのインタヴュー。初出はル・モンド2004年8月19日号に掲載された「私は私自身と戦争状態にある」《Je suis en guerre contre moi-même》


対話は、マルクスの幽霊たち』(Spectres de Marx)(1993)に記された「私は生きることを学びたい、終に」という言葉を手がかりに、生きること/死ぬことを知ることをめぐって開始される。

私は〈生きることを学んだ〉ことはけっしてありません。実に、まったくないのです! 生きることを学ぶとは、死ぬことを学ぶことを意味するはずでしょう。絶対的な死滅可能性、(救済もなく、復活もなく、贖罪もない——自己に対しても、他者に対しても)死滅可能性を、それを受け入れるべく、考慮に入れることを。

(同書、23ページ)


ここから生き残りとしての生、作者の死後も生をもつ書物、言葉や書物が置かれた環境、フランス語、イスラエル、ヨーロッパ中心主義と脱構築、婚姻、世界政治主義、来るべき大学へとデリダの読者には馴染みのある諸問題・諸概念の方へと対話は進む。

この〔デリダエクリチュールの〕読者は、よそからは受け取ることに慣れていないこのものを、読むこと(「生きること」)を学ぶことになるでしょう。読者が、そこから、別様に規定されて生まれ変わることが期待されます。(中略)一冊一冊の本が、その読者を形成するための教育なのです。報道界や出版界に溢れている大量生産物が読者を形成することはありません。それらはすでにプログラム化された読者を、幻想的で幼稚な仕方で想定しています。その挙げ句に、あらかじめ前提したこの凡庸な受信者をフォーマット化するのです。

(同書、33ページ)


この言葉を念頭に、いまいちどデリダが遺した仕事に触れなおしたいと思う。


みすず書房 > 『生きることを学ぶ、終に』
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