『PTU』(88min, 2003)


ジョニー・トー(Johnnie To)監督、2003年の作品。



組織犯罪課の刑事は街のチンピラを追うなかで拳銃を失くすという失態を演じる。彼の友人である特殊機動隊PTUのリーダーとその部下は失われた拳銃を探す手伝いに乗り出し、夜の香港を捜索する。他方で刑事が対峙したチンピラたちのリーダー(組織のボスの息子)が敵対組織の手によって殺害され、この殺人事件の捜査に特捜課CIDが乗り出す。報復に乗り出す組織。夜の街を自転車で走る子供……。香港の街で起こる一夜のサスペンス。


思わせぶりな演出、ご都合主義全開の脚本、みなまで言わずともわかっとるね? という(フィルムノワールという)ジャンルにもたれた暗黙語りの設定、カタルシスのために強引につくられる銃撃シーンと解決。以上が非難に見えず、むしろワクワクする人にはたのしめる一作(ちなみに私はそういう作品が嫌いではない)。


人気〔ひとけ〕のない深夜の香港の街をさまようカメラ。街灯に照らし出される車。脚本なんぞとってつけでもいい。ジョニー・トーがこの映画で撮りたかったのは、夜が明けるまえでの数時間を支配するこの街の闇と空気なのではなかろうか、と思う。たしかにその点では成功している(でも選曲のセンスはちょっと買えない)。


⇒PTU
 http://www.pan-dora.co.jp/ptu/