『at』0号(太田出版、2005/05、amazon.co.jp)#0394
☆特集=グローバリズムを遠く離れて


2005年秋に創刊が予定されている季刊雑誌『at』の創刊準備号が書店に並んでいる。おもな目次は以下のとおり。

柄谷行人「革命と反復 序説」
上野千鶴子「生き延びるための思想」
田中優「未来バンク、そして ap bank——おカネを使う市民運動
・岩崎ゆう子「コミュニティシネマのもたらす革命」
・堀田正彦「民衆交易は、「オルタナティブユニクロ」になれるか?」
市橋秀夫フェア・トレードは、いま」
・中村尚司「天災と戦禍の、スリランカ・リポート」
・吉岡忍+吉田司「対談——ニート竹島ホリエモン騒動から改憲までを斬る!」


◆1:柄谷行人「革命と反復 序説」


柄谷氏の新連載「革命と反復」は、1990年代以降の現在を120年前との比較から考察する(「歴史と反復」では1990年代は1930年代の反復としてとらえられていた)。なぜ現在を過去の反復としてみるのか?

私がこうした資本と国家の歴史的な反復構造を考えるのは、ただ歴史を解釈し理解するためでない。そうではなく、このような反復的事態を何とか回避し変えていくための実践的な知恵を得るためである。


不毛な反復を避けるために、もし反復するように事態が起きているのだとすればその構造を理解しよう、という企てであるとの由。次回創刊号以後の展開を待ちたい。


◆2:上野千鶴子「生き延びるための思想」


「女性革命兵士という問題系」(『現代思想』2004年6月号「特集=フェミニズムの最前線」、青土社、所収)を糸口に、優勝劣敗・自己責任の論理に抗して生き延びるための思想を模索するインタヴュー。「命より大事な価値がある」というマッチョでロマンティックな(?)イデオロギーに対して「命より大事な価値なんてない」と言い続けること。当事者としてボキャ貧(自らの置かれた状況を語るための言葉の道具立てがない状態)を克服するために、思想と言葉を鍛えること、等々。


◆3:パラグラフの本


編集室パラグラフの広告ページに、大西巨人氏の新作(ネット連載)『縮図・インコ道理教』太田出版、6月下旬予定)と、インタヴュー『未完結の問い』の近刊予告が出ていた。後者はおそらく週刊読書人に連載された鎌田哲哉氏によるインタヴューではないかと思われる。