★『ユリイカ』第37巻第6号、2005年6月号(青土社、amazon.co.jp)#0421
「カエターノ・ヴェローゾ」(2003年02月号)、「Jポップの詩学」(2003年06月号)、「はっぴいえんど」(2004年09月号)、「ポストノイズ」(2005年03月号)と、音楽関連のテーマにも意欲的な同誌の最新号の特集は「ムーンライダーズ――薔薇がなくちゃ生きてゆけないんだってば!」。
誌面にして40ページに及ぶ7時間インタヴュー「Kの受難〔パッション〕——複製技術時代の純粋芸術家の29年間の冒険」は、よき聴き手/聞き手(『ユリイカ』編集部)を得て鈴木氏の履歴を総ざらい。ここのところクレイジー・キャッツとトニー谷ばかり聴いていたのだけれど、しばらくはライダーズに乗り換えることになりそうだ。愛のあるインタヴューはすばらしい。聞き手の言葉のなかに「厨房のころ、『マニア・マニエラ』(82年)のレコーディングの……」と書いてあるのをさらりと素通りしそうになる。
対照的(?)なのが、栗原裕一郎(くりはら・ゆういちろう)氏の司会・構成になる「ヤング座談会 (ほぼ)十代にムーンライダーズを聴かせる」で、こちらは「火星の人類学者」(via オリヴァー・サックス)にライダーズを聴かせたのかというおもしろさ。最後には編集部が現在の鈴木慶一氏の顔写真をヤングたちに回覧して感想を求め、彼/彼女たちから「音楽家についての質問じゃないですよ(笑)」とつっこまれる場面も。さらにはちゃんと(?)若いころの写真が掲載された雑誌(しかも半ズボン姿)も用意してある周到さで、参加者のヤングから微妙な反応を引き出しているのが可笑しい。同趣旨でぜひ、「十代にXXを観せる」「十代にXXを読ませる」の特集を組んでいただきたい。
次号の特集は、「小劇場再進撃!」で、長塚圭史+ケラリーノ・サンドロヴィッチ対談ほか。
⇒青土社
http://www.seidosha.co.jp/
⇒おまえにハートブレイク☆オーバードライブ > 2005/05/31
http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20050531#1117505189