渡辺京二『逝きし世の面影』平凡社ライブラリー552、平凡社、2005/09、amazon.co.jp


渡辺京二(わたなべ・きょうじ, 1930- )氏が1998年に葦書房より刊行した『逝きし世の面影 日本近代素描1』の文庫化。


近代化によって滅んだ日本の「逝きし」文明を、来日した異邦人たちが書き残した文献の渉猟から浮かび上がらせるという試み。

滅んだ日本文明の在りし日の姿を偲ぶには、私たちは異邦人の証言に頼らねばならない。なぜなら、私たちの祖先があまりにも当然のこととして記述しなかったこと、いや記述以前に自覚すらしなかった自国の文明の特質が、文化人類学の定石通り、異邦人によって記録されているからである。

(同書、18-19ページ)


目次は以下のとおり。

・第一章 ある文明の幻影
・第二章 陽気な人びと
・第三章 簡素とゆたかさ
・第四章 親和と礼節
・第五章 雑多と充溢
・第六章 労働と身体
・第七章 自由と身分
・第八章 裸体と性
・第九章 女の位相
・第十章 子どもの楽園
・第十一章 風景とコスモス
・第十二章 生類とコスモス
・第十三章 信仰と祭
・第十四章 心の垣根


・あとがき
平凡社ライブラリー版あとがき
平川祐弘「解説——共感は理解の最良の方法である」
・参考文献
・人名索引