書きすぎるにもほどがある?



新潮社の季刊誌『考える人』2008年夏号は、「小説より奇なり! 自伝、評伝、日記を読もう」という特集(ISBN:B001BELD1E)。今回も読みごたえがあります。


その特集の一環である「自伝・評伝をたのしむブックガイド」というコーナーに、科学分野担当として「知りたがるにもほどがある? 科学者という人たち。」を寄稿しました。


見本誌を読んでちょっとびっくり。同コーナーの執筆者のみなさんは、見開き2ページで各ジャンルの気になる自伝・評伝を紹介しているのですが、拙稿は見開き6ページ分あるのです。ゲラの段階で自分の原稿がそのくらいの分量であることは知っていたものの、他のジャンルの筆者も同じくらい書くのだろうと勝手に思いこんでいたのでした。


喩えるなら、学校の催しもので、5分くらいのちょっとしたスピーチを求められたのに、30分以上しゃべってしまう来賓のようなふるまいとでもいいましょうか。お恥ずかしい限りです。


その代わり(というのもヘンは言い草ですが)、博物学エコロジー生態学、生物学、精神科学、物理学、数学、科学哲学といった各分野から数冊ずつの自伝・評伝を紹介しています。今回の原稿では泣く泣く落としたもの(田中館愛橘、津田仙、ウォーレス etc.)については、別途なにかの機会にご紹介できればと思います。


特集記事の目次は以下のとおり。読みたい本がごっそり増えて、うれしい悲鳴をあげています。

・インタビュー 丸谷才一「伝記はなぜイギリスで繁栄したか」(聞き手・湯川豊
・インタビュー 橋本治「日本人にとって日記とは何なのだろう」
・インタビュー 最相葉月「ノンフィクションと本格評伝のあいだ」
中井久夫「伝記の読み方、愉しみ方」
永江朗「「自伝」を支える幽霊仕事」
・アンケート「私の好きな自伝、評伝、日記」


★エッセイ「この一冊」
 ・荒川洋治高見順「敗戦日記」
 ・養老孟司ツヴァイク「昨日の世界」
 ・小池昌代/「オコナー書簡集」
 ・横山貞子/ディネセン「アフリカの日々」
 ・千葉成夫/堀田善衛ゴヤ」四部作
 ・武藤康史中野好夫「蘆花徳冨健次郎」
 ・水野忠夫/ドイッチャー「トロツキー」三部作
 ・鹿島茂獅子文六「娘と私」
 ・坪内祐三/山下恒夫「石井研堂
 ・大井玄/「ミルン自伝」
 ・若島正/「ナボコフ自伝」

★「自伝・評伝を愉しむブックガイド」
 ・小谷野敦「日本の作家」
 ・鈴木淳史「音楽家」
 ・山本貴光「科学者」
 ・青山南「アメリカ」
 ・北康利「巨人たち」
 ・津野海太郎「女優」


⇒新潮社 > 考える人
 http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/mokuji/25.html