読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

人文とは何か



明石陽介さんが主宰する雑誌「Divagation」の第5号に、「人文とは何か 01 問い」を寄稿しました。


「人文」という馴染みのある、しかしながら、自分にとってはよく分からない言葉について、古今東西の先達に導かれながら、整理してみようという試みです。今回は、初回ということもあり、問題設定や、さしあたっての目標などを記しています。


メールマガジン「αシノドス」に連載中の「思想誌空間」では、思想という言葉を追跡していますが、今後とも機会があれば、こうした言葉や概念の洗い直しをしてみたいと思っています。例えば、「文学」なんていうのも、日頃は分かったような顔をしていますが、私自身、実はよく分かっていません。


さて、「Divagation」誌の第5号は、「翻訳者の使命」と題して、特集を組んでいます。といっても同誌最厚の151ページの大ヴォリュームには、特集以外にも、坪内祐三氏のインタヴュー「雑誌彷徨」や、月曜社・小林浩さんの連載「人文書について、語りうること」第2回他、盛りだくさんの内容です。


同誌については、下記サイトをご覧ください。


⇒Divagation
 http://d.hatena.ne.jp/divagation/


ときに人文といえば、(しばらく前のことになってしまいますが)月曜社の小林浩さんから、「人文会ニュース」第105号(2009年5月)を賜りました。


同誌は、人文会という出版社の集まりが刊行している冊子です。以前から、読んでみたいものだと思いながら、非売品ということもあり、入手もおぼつかなかったため、大変ありがたく拝読しました。


上で、「人文」という言葉がよく分からないと言ったのですが、ここで言う人文書とは、簡単に言ってしまえば、自然科学に対する文系の書物というほどのとらえ方でよいと思います。


目次を掲げておきます。

・鎌内宣行「人文会創立40周年記念東京合同研修会について」
・特別講演 竹内洋教養主義の没落と人文・社会科学」
・パネルディスカッション「人文会の40年と人文書の可能性」
ケーススタディ「人文書販売の現在と未来」
・パネルディスカッション「人文書の最前線」
・フリーディスカッション「人文書販売の未来をデザインする」
・東京合同研修会参加者アンケート


小林さんがパネリストとして参加されているのは、「人文書の最前線」です。出版の営業人、編集人としてのご自身のキャリアや書店店頭での人文書の状況を踏まえながら、「製本された本は、今度は市場という本の海の中に投げ出されます。本の海の中に投げ出された時に、一冊一冊の本は、他の本とつながりの中で生きたり死んだりする」(同誌、71ページ)と指摘しています。


書物を、常に相互に連環しあう網目のなかで捉え、提示してゆく小林さんのこの言葉は、書物が構想され、書かれ、編集され、製本され、搬送され、陳列され、購入され、読まれ、蔵されるというさまざまな場面のなかで、それぞれの文脈に応じて大きな意味を持つ事柄であると思います。


書物や情報が掃いて捨てるほど巷間に溢れている現在、そうした混沌のなかにどのような「つながり」をつくり、見いだし、提示し、活用してゆくのかということが、これまで以上に意味を持つようになるのではないかと、この冊子を読みながら考えさせられたのでありました。


⇒人文会
 http://www.jinbunkai.com/


⇒ウラゲツ☆ブログ
 http://urag.exblog.jp/