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2013年秋の近況

work


ご無沙汰しております。油断しているとあっという間に日が経ちますね。


日本女子大学での講義「情報社会論」と最終レポートの採点、成績についての問い合わせへの返信などを終えて、関連の仕事は完了しました。半期14回ほどでしたが、遠藤知巳先生にお招きいただき、「情報」や「社会」について、そんな機会でもなかったら、こんな具合に検討することもなかったことを、いろいろ考えさせていただきました。毎週の講義に参加してくださった学生のみなさんにも感謝いたします。


大学事務局からお送りいただいた授業評価アンケートの結果も拝見しました。概ね好評をいただいたなかで、2点ほど目立ったのは、講義内容が難しかった、パワーポイントのスライドをめくるのが速かったということでした。


講義全体を通じて、なにかを分かったこととして教えたり、教えられたりするというよりは、むしろ「情報」や「社会」という言葉を、よく分からないものとして考えてみようという趣旨でした。始終「分からなさを抱きしめて」ということを、繰り返したのはそのためであります。などと申せば、言い訳めきますが、ロンドン・ロイヤル・ソサエティの雑誌『Philosophical Transactions』の誌面を原語のまま出したり、情報理論を検討した箇所などは、ハートレーやシャノンによる数式のように抽象度の高い話もできるだけお茶を濁さず話したので、辟易とした向きもあろうかと思います。


また、パワーポイントのスライドをめくる速さについてですが、講義内でもお断りしたように、スライドに提示した文章を書き写すことを推奨していませんでした。もしメモをとるなら、見たまま書き写すのではなく、そこで話された講義の内容を要約して書くとよいでしょうとお勧めしたのも、このためです。以上は補足のコメントでございます。


それはさておき、「他の講義とはちがうタイプのものだった」というアンケートのお言葉(複数)は、褒め言葉として受け取っておきたいと思います(前向き)。くまモンのイラストもありがとうございました。心残りは、遠藤先生のご講義を拝聴できなかったことです。女子大学ということもあり、こっそりもぐって聞くというわけにも参らず……



目下は、吉川君との共訳書 Settegastの Plato, Prehistorian の翻訳(朝日出版社)、『考える人』(新潮社)で連載させていただいた「文体百般」の単行本化作業、夏目漱石の『文学論』に関する単著(水声社)の執筆などに取り組んでいます。今年の夏までは数学と放射線三昧の理系モードでしたが、秋からは人文系のテーマが多くなりそうです。そうそう、三省堂ワードワイズ・ウェブで連載中の「「百学連環」を読む」(毎週金曜日掲載)も、ようやく終わりが見えて参りました。この秋から冬にかけて、連載完結の見通しです。


ゲーム方面では、11月12日に、東京大学駒場キャンパスで開講される「メディア想像ワークショップ」にてゲストレクチャーを担当させていただく予定です。同講座は、藤本徹さんと中原淳さんが担当されるもので、参加する学生がシリアスゲーム(社会問題をテーマとしたゲーム)を開発するという内容です。私は、いわば前座として、そうしたゲームを企画するにあたって、どんなことを考えたらよいかといった検討をする所存です。専門学校東京ネットウエイブでは、引き続きゲームデザインなどの講義を担当させていただくことになろうかと思います(たぶん)。


また、この秋は、『井筒俊彦全集』(慶應義塾大学出版会)、『アリストテレス全集』(岩波書店)、『ボラーニョ・コレクション』(白水社)などの刊行が始まる予定で、たいへん楽しみにしています。すでに刊行が始まっている『宗教学名著選』(国書刊行会)、『水木しげる漫画大全集』(講談社)、『円朝全集』(岩波書店)、『フェルディナン・ド・ソシュール「一般言語学」著作集』(岩波書店)も、出るつど仕事を放り出して読んでいます(言い過ぎました。仕事の合間に、です。あとクッキーを焼く合間に……)。