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『第1巻 主権と自由』



★責任編集=川出良枝『岩波講座 政治哲学1 主権と自由』岩波書店、2014/03/26、ISBN:4000113518


2014年に刊行が始まった「岩波講座 政治哲学」(全6巻)の第1巻。この講座は、書名にそうと明示されてはいないものの、要するに「近現代欧米政治哲学」をテーマとしている。各巻の巻頭に置かれた「刊行にあたって」から一部を抜粋すると、こんな具合。

 この講座は、近代西洋政治思想史と現代政治哲学を総合的に提示し、今日の日本の政治哲学・政治思想研究の最前線を鳥瞰する試みである。
 近年、「政治哲学」への関心が高まっているといわれる。そこには、一九七〇年代以降、あー廉と、ハーバーマスフーコーといった思想家たちやとりわけロールズの『正義論』に触発されて活発化した、政治哲学の「復権」という大きな学問的動向が存在する。さらにその背景には、経済的分配の問題をめぐる矛盾・対立や、アイデンティティの政治、そして政党政治の行き詰まりやポピュリズム現象といったデモクラシーの変容/危機などの現実を受けた、政治の規範的・価値的要素への実践的関心の高まりがある。そしてそれにともなって、自由、平等、正義、公正、同意、民意といった政治的な観念の内容が、さまざまな場面で意識され、改めて問い直しを求められている。このような学問的動向と政治的・社会的背景の両者が結びつくところで、政治哲学への関心と期待がかつてなく高まることになっているといえよう。
 この講座はこうした政治哲学への関心の高まりに応えるために、今日の研究の動向をより広い読者に提示することをめざしている。この講座の大きな特色の一つは、政治思想史の研究と現代政治哲学の研究を、最新の研究状況を踏まえつつ網羅することで、両者の関係性の再構築をめざしているということである。
(略)
 この講座のもう一つの特色は、ヨーロッパおよび北アメリカの一六世紀以降の思想に焦点を当てていること、とりわけ二〇世紀以降の思想や理論に重点をおき、全体の半分の巻を充てていることである。


 こうした「網羅」への意志に弱い私としては、全巻を通読せずにはいられないという次第であります。


■目次

刊行にあたって


川出良枝「序論」


I 国家像の変容


「1 マキァヴェッリ――自由と征服の政治学」鹿子生浩輝
「2 ルターとカルヴァン――近代初期における新体制の政治神学」田上雅徳
「3 サラマンカ学派――「野蛮人」と政治権力」松森奈津子


II 主権国家の成立


「4 近代自然法論――普遍的な規範学の追究」太田義器
「5 ボダン――主権論と政体論」川出良枝
「6 ホッブズ――神、国家、科学」梅田百合香


III 自由の諸条件


「7 イングランド革命期の政治思想――ピューリタニズムとリパブリカニズム」大澤麦
「8 寛容論の系譜――イングランド革命期の苦闘」山田園子
「9 ロック――宗教的自由と政治的自由」辻康夫
「10 デスポティズムと反デスポティズム――絶対君主政下における権力と自由」井柳美紀


■全巻構成


第1巻 主権と政治(2014/03/27、ISBN:4000113518
第2巻 啓蒙・改革・革命(2014/04/25、ISBN:4000113526
第3巻 近代の変容(2014/05/28予定、ISBN:4000113534
第4巻 国家と社会(2014/02/27、ISBN:4000113542
第5巻 理性の両義性(2014/01/30、ISBN:4000113550
第6巻 政治哲学と現代


■リンク


岩波書店 > 「岩波講座政治哲学」
 https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/011351+/top.html