読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる


ここのところ、漱石の『文学論』を読み解くために、漱石関連書や文学理論書の類いばかり入手している。いろいろな人が『文学論』をどう読み、評価したかということがもっぱらの関心事である。それにしても漱石研究の分厚さにはいまさらながら恐れ入る。


★『明治大正文學研究』季刊第七號 續「夏目漱石」特集(東京堂、1952/06)
 目当ては太田三郎漱石の『文学論』とリボーの心理学」。第六號も漱石特集号で、やはり太田三郎が『文学論』に関わる論文を寄稿しているので入手して読みたいと思う。というか、この雑誌は通して読んでおきたい。


★『國文學 解釈と鑑賞』第29巻第3号通巻346号昭和39年3月号「夏目漱石研究図書館 付精神医の診た漱石の作品と病跡――戸籍からみた漱石幼時の複雑な家庭環境」(至文堂、1964/03)
 漱石に関する作家論、作品論を要約しながら紹介する特集号。目下取り組んでいる『文学論』読解という関心からも、読むべき文献とそれに対する各項目の執筆者による評価を窺うことができてありがたい。また、この号では特集とは別に上記した太田三郎による「比較文学」という連載にも遭遇。太田は、漱石の『文学論』を読み解くにあたって、その横に並べて比較対照する文学理論書のひとつ、ルネ・ウェレックとウォーレンの『文学の理論』(筑摩叢書、1967)の翻訳もしており、なにかと縁がある。日本比較文学会を創設したメンバーでもあるとか。


江藤淳吉田精一編『夏目漱石全集 別巻』(角川書店、1975/02)
 角川書店漱石全集の別巻は漱石論集。『文学論』の観点からは、江藤淳とともに編集を担当している吉田精一の「夏目漱石の文芸理論」が目当て。ただし、収録された論文の出典などについて解題の類いは記されていない。そもそもこの巻がどのような意図で編まれたのかといった解説もない。ひょっとしたら月報などがついていて、そこになにか書かれていたかもしれないが、私が手にした本には月報のようなものは入っていなかった(角川書店1975年1月の新刊案内ははまさっていた)。この角川版全集では第14巻が『文学論』に充てられており、加賀乙彦が作品論を載せているとのことなので、これも読んでみよう。と書きながら、筑摩書房から出ていた漱石全集の別巻も見ていないことに気づいた。注文しよう。


★栗原信一『漱石の文藝理論』(帝國圖書株式會社、1944/11)
 『文学論』を含む漱石の文学に関する議論全般を見渡して分析する書物。上で触れた『國文學 解釈と鑑賞』特集号では、赤塚行雄が本書を解説している。そこでは、この本が『漱石の人生観と芸術観』と改題されて昭和22年(1947年4月)に日本出版から刊行されたと述べられている。「異版・内容は一字一句もちがわないので」とのこと。知らないままそちらも入手するところであった。本書は1944年(昭和19年)の刊行だが、敗戦前後の時期に刊行された本は、紙の劣化が激しいものが多く、私のような素人でも手にした瞬間「あっ」と気づくほどである。こうした本は、いつもの調子で読みながらボールペンで書入れをすると紙が破れてしまうので、先を尖らせていない柔らか目の鉛筆を使うことになるのであった。



wikipedia > 太田三郎(1909-1976)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E4%B8%89%E9%83%8E