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book 栗原信一 漱石の文芸理論 帝国図書株式會社 book 栗原信一 漱石の文芸理論 帝国図書株式會社


★栗原信一『漱石の文藝理論』(帝國圖書株式會社、1944/11)


「後記」を見ると、戦時中の出版であり、用紙節約のために章節間を極端に詰めてあり、読みづらいが辛抱してほしいと添えてある。奥付によれば初版は5000部を刷ったようだ。なお、以下の目次は、原文の漢数字をアラビア数字に、旧字体を新字体にかえて転写してある。


■目次

緒論
1. 漱石研究文献の種々相
2. 本書の意図


第1章 漱石の根本信条
1. 岡崎教授の漱石文芸理論の解釈
2. 漱石は当初より「則天去私」の原則に立脚せしや
3. 「文学論」「猫」等の解釈に関する疑義
4. 漱石文学は脱線的産物なりや
5. 漱石の文芸理論と作品は矛盾したか
6. 岡崎教授の解釈の矛盾


第2章 漱石と明治文化
1. 輸入文化の雰囲気内に養育された漱石――海陸両棲的な時代の産物
2. 漱石の受けた明治時代の初等教育
3. 漱石の専攻学の選択と明治時代精神
4. 二元的文化生活の悩み――漱石文学の特質


第3章 漱石と明治文学
1. 明治文学史の概観
2. 漱石の文壇に出た時期
3. 日本主義的反動と漱石
4. 外国文学追随傾向の排撃――日本的趣味に基づく日本文学の力説
5. 趣味の独自性と鑑賞の独立性を高調す
6. 文壇出陣の時を得た漱石


第4章 「自己本位」の人生観
1. 「道草」の健三に見る漱石の性格
2. 文学報国の責務
3. 「自己中心」の悟り――日本国民的自覚への展開


第5章 「自己」の認識論的解釈――形質的自我観
1. 漱石に於ける「自己」の諸相
2. 根本経験論的な自我解釈――心理学的立場
3. 時間空間、因果性の漱石的見解
4. 自我の認識論的基礎
5. 意識の分化、統一、放射の作用
6. 漱石の価値学観の概括と批評


第6章 「自己本位」に一貫せる漱石の生活――実質的自我観
1. 意識の創造性に立脚せる漱石の人生観、世界観、文芸観
2. 「自己本位」は文芸的倫理観、倫理的文芸観である
3. 人気投票当選拒否――価値的優劣決定は大衆的に非ず
4. 博士辞退に見る漱石の性格
5. 形式主義に対する反抗
6. 理想主義哲学の統一病に対する感感――堺講演


第7章 文芸の型に対する「自己本位」的反抗
1. 「イズムの功過」と「創作家の態度」の序論
2. 漱石の文芸史観
3. 文芸上の主義、流派の批判――作家、作品の内容中心的分類
4. 外国文学の影響に対して――自分は自分であるとの信念に行動す


第8章 形質的文芸理論――文学の心理学的基礎
1. 文学の科学的把握
2. 文学的内容の公式F+f
3. 感覚――感情――文学
4. 文学内容の分類――感覚F、人事F、超自然F、知的F、
作者の態度と読者幻惑――1、環状転置法 2、感情拡大法 3、感情固執法
5. 表出法の種々――文芸に於ける直接的経験と間接的経験――自己関係の抽出――善悪の抽出
6. 真に対する科学と文芸との差異
7. 文芸上の技巧と心理学――1、投出語法 2、投入語法 3、自己と隔離せる連想 4、滑稽的連想 5、調和法 6、対置法 7、写実法 8、間隔論


第9章 実質的文芸理論――文芸の哲学的基礎
1. 文芸の価値論的建前
2. 文芸の四理想――真、善、美、壮
3. 漱石の理想主義
4. 「文学論」と「文芸の哲学的基礎」の相違点
5. 真を目的とする文学、自然派の批評
6. 文芸上の理想の意味
7. 技巧の問題――人生に触れるとは何か
8. 文芸の還元的感化
9. 批評学の構想


第10章 創作家の態度
1. 朝日講演
2. 講演に於ける漱石の意図
3. 創作家の態度とは何か
4. 主知主義と主感主義の態度
5. 浪漫派と写実派
6. 漱石の文芸観の基調――真を目的とする文学――自然主義文学
7. 客観文学の必要
8. 主知主義文学の時代的任務


第11章 文芸と道徳の関係
1. 漱石の作家的信念
2. 非道徳的文芸観
3. 漱石の道義性
4. 明治以前の道徳と明治時代の道徳
5. 浪漫的道徳と自然主義道徳――向後は自然派道徳時代


第12章 文芸批評家としての漱石
1. 批評とは何か
2. 作品の釈義学的才能
3. 作品の鑑賞
4. 批判的鑑賞
5. 自己の芸術観を必要とす
6. 優劣の価値判断
7. 批評の規準
8. 好悪の昇華


第13章 則天去私
1. 則天去私は晩年の心境なり
2. 主我的漱石の心境推移
3. 心理主義的立場を貫く漱石――「自己本位」より「則天去私」への推移過程――「私」の内容、焦点の変遷――作意、技巧の到達点――批評の規準の考察より――経験による自然的変化


後記