駅のホームでぼけっと何を見るでもなくあたりを眺める。
どこかに焦点を合わせるというよりは、むしろ焦点を合わせないような感じで。
すると、あれはなに、これはそれ、といったモノに貼りついている意味のようなものが霧散する。
いや、より正確にはモノに意味が貼りついているのではなくて、わたしが貼りつけているんだけど。
それはなんというか、つかの間、この世界からちょっとズレた場所に移動するような気分で、意味と関係のない状態にたゆたうのです。
そういうとき、駅のホームから見える向こう側の壁などはなかなかいいものです。
いえ、本当は森のなかや川のほとりや原っぱならなおよいのだけれど、そこはそれ。
無理を言わず、日常生活のなかでも手軽にズレたい。
というのでご覧のような壁の表面を眺めたりするわけです。
(ただし写真は、ひとしきりぼけっとした後で撮ったもの)
似たような状態を楽しむやり方は他にもいくつかあって、例えば、シャツにアイロンをかけたり、食器を洗ったり、シューティングゲームで遊んだり、楽器を弾いたりしていると、頭のなかが真っ白になって、意味を考えない時間に漂えるのでありました。調理や掃除もいいですね。
というわけで、今日も今日とてぼけっとしているのでした。