ぼけっとする技法

f:id:yakumoizuru:20170922105059j:plain

駅のホームでぼけっと何を見るでもなくあたりを眺める。

どこかに焦点を合わせるというよりは、むしろ焦点を合わせないような感じで。

すると、あれはなに、これはそれ、といったモノに貼りついている意味のようなものが霧散する。

いや、より正確にはモノに意味が貼りついているのではなくて、わたしが貼りつけているんだけど。

それはなんというか、つかの間、この世界からちょっとズレた場所に移動するような気分で、意味と関係のない状態にたゆたうのです。

そういうとき、駅のホームから見える向こう側の壁などはなかなかいいものです。

いえ、本当は森のなかや川のほとりや原っぱならなおよいのだけれど、そこはそれ。

無理を言わず、日常生活のなかでも手軽にズレたい。

というのでご覧のような壁の表面を眺めたりするわけです。

(ただし写真は、ひとしきりぼけっとした後で撮ったもの)

似たような状態を楽しむやり方は他にもいくつかあって、例えば、シャツにアイロンをかけたり、食器を洗ったり、シューティングゲームで遊んだり、楽器を弾いたりしていると、頭のなかが真っ白になって、意味を考えない時間に漂えるのでありました。調理や掃除もいいですね。

というわけで、今日も今日とてぼけっとしているのでした。