2019年の展望/2018年の回顧

自分のための覚え書きとして、2019年の展望と2018年の回顧を記してみました。

■2019年の展望

2018年は、専門学校に続いて大学での講義もいったんおしまいにして、モブキャストゲームスへの定期的な通勤も一区切り(プロ契約は継続)。というわけで、2019年は文筆と翻訳を中心にとりくむ予定です。

 

目下、次に刊行する予定で集中して書き進めているのは

★『日本語文法小史(仮題)』

であります。日本語の文法は、どのようにしていま私たちが知っているような形になったのか、そこではどんな試みがなされてきたのかを日本語以外の言語も視野に入れて辿る本です。

 

翻訳では吉川浩満くんと『MiND』『先史学者プラトン』に続いて3冊目となる共訳を進めています。

★アンソニー・グラフトン+ダニエル・ローゼンバーグ『時間のカルトグラフィ』(吉川浩満との共訳、フィルムアート社)

 

また、『ルールズ・オブ・プレイ』の新版をニューゲームズオーダーから刊行予定で訳文の見直し中です。

★ケイティ・サレン+エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎』(ニューゲームズオーダー)

 

まずは上記3冊の刊行を目指します。

その後、予定している本の執筆・翻訳に順次とりくむ所存です。

 

次の二つの連載は今年もつづきます。

★「マルジナリアでつかまえて」(『本の雑誌』、本の雑誌社)

★「文態百版」(『文藝』、河出書房新社)

「マルジナリア」は、書き込みされた本のページの写真などをじっくり見られるような体裁で本にまとめられたらと念じているところ。

上記の他にもう一つ、連載を準備中です。

 

2019年は、仕事と関係なくものを読んだりぼんやりしたりする時間をつくりたいと念じております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

■2018年の回顧

2018年は、ゲンロンカフェでのイヴェント「「人文的、あまりに人文的」な、2017年人文書めった斬り!」に始まり、「「人文的、あまりに人文的」な、2018年人文書めった斬り!」(いずれも斎藤哲也+吉川浩満+山本貴光の鼎談)で終わりました。

それにしてもなんだか時間に追われる年だった気がしていたのですが、こうして並べて数えてみたら、都合40回ほどの講義・講演のほかに対談を21回行っておりました。週に二度モブキャストゲームスに勤務していたことを考えると、落ち着いてものを書く時間もないわけですヨ……。

2018年で最も印象に残っている仕事のひとつは、NHK BSプレミアムの番組「天国からのお客さま」の漱石編のために「文学論」講義の脚本執筆を担当したのと、収録時に漱石(アンドロイド)として講義を行ったことでしょうか。

★書籍(単著・共著・共訳)

2018年は共著1冊、共訳2冊(うち1冊は文庫化)、単著1冊の都合4冊を刊行しました。中でも引き受けてからとても長い時間をかけてしまった『先史学者プラトン』を無事に刊行できてほっとしております。

 01. 共著:『高校生のためのゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎との共著、ちくまプリマ-新書、03月05日)

 02. 共訳:メアリー・セットガスト『先史学者プラトン』(吉川浩満との共訳、朝日出版社、04月08日)

 03. 単著:『投壜通信』(本の雑誌社、09月03日)

 04. 共訳:ジョン・R・サール『MiND』(吉川浩満との共訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、11月10日)

 

★書籍(その他)

その他、解説や推薦などで以下の本に携わっております。

 01. 解説:「帰る場所のない人類学者」(後藤明生『引揚小説三部作』、つかだま書房、04月02日)

 02. 推薦:「マーカス・デュ・ソートイ『知の果てへの旅』推薦文」、新潮社、04月26日)

 03. インタヴュー:『ゲームクリエイター育成会議3』(インタヴュアー=小野憲史、聖地会議、07月06日)

 04. 寄稿: 『旅する本の雑誌』(本の雑誌社、07月26日)

 05. 再録:『ちくま科学評論選』(筑摩書房)

 

★連載

五つの連載のうち三つが完結しました。

 01. 「プロムナード」(『日本経済新聞』1月から6月まで連載)

 02. 「人生がときめく知の技法」(吉川浩満との共著、Webちくま、連載完結)

 03. 「人文的、あまりに人文的」(吉川浩満との共著、「ゲンロンβ」、連載完結)

 04. 「マルジナリアでつかまえて」(『本の雑誌』、本の雑誌社、連載中)

 05. 「文態百版」(『文藝』、河出書房新社、連載中)

このうち01は、『投壜通信』(本の雑誌社)に収録されています。

02と03はそれぞれ本にする予定で作業中です。

 

★寄稿

雑誌やウェブに掲載されたその他の文章です。

 01. 「言葉の組み立て――物質と言葉と人間」(『學鐙』第115巻第1号2018年春号、03月05日)

 02. 鈴木一誌+山本貴光「アイデアNo.379 鈴木一誌特集 刊行記念トークイベント」(『アイデア』No. 381、誠文堂新光社、03月10日)

 03. 「千葉俊二『科学のなかの文学』書評」(『週刊読書人』03月23日号)

 04. 「ミニマル文学としての人工知能」(『群像』2018年05月号、講談社、04月06日)

 05. 「過ぎ去ろうとしない過去とのつきあい方」(宮内悠介『ディレイ・エフェクト』書評、『文學界』2018年05月号、文藝春秋、04月06日)

 06. 「知の果て、至上の時」(マーカス・デュ・ソートイ『知の果てへの旅』書評、『波』2018年06月号、新潮社、04月27日)

 07. 「教養の更新のために」(大澤聡『教養主義のリハビリテーション』書評、『ちくま』2018年06月号、筑摩書房)

 08. 「「自己本位」という漱石のエンジン」(「αシノドス」Vol. 246、06月15日)

 09. 「円城塔『文字渦』書評」(『新潮』2018年09月号、新潮社、08月06日)

 10. 「知の連環、思考の装置としての本――マルジナリアを読み解く」(『アイデア』第383号、誠文堂新光社、09月)

 11. 「世界を変えた書物展タブロイド判プログラム」(09月08日)

 12. 「ランディ・オルソン『なぜ科学はストーリーを必要としているのか』書評」(「日本経済新聞」09月08日号)

 13. 「永遠に普請中の大伽藍」(『図書』臨時増刊号、岩波書店、09月23日)

 14. 「ゲームと図鑑――世界を生成する図鑑/世界を蒐集する図鑑」(『ユリイカ』2018年10月号、青土社、09月25日)

 15. 「天国からお客様」(NHK BSプレミアム、漱石パートの台本+漱石アンドロイドとして講義)

 16. 「天文をいかに象るか」(『天文学と印刷』図録、印刷博物館、10月20日)

 17. 「ゲーム原論序説」(『ゲンロン9』、ゲンロン、11月09日)

 18. 「サピエンスともあろうものが」(ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』書評、Web河出、11月08日)

 19. 円城塔+山本貴光「科学書だからって正しいと思うなよ!」(『本の雑誌』2018年12月号、本の雑誌社、11月12日)

 20. 「僕の好きな(映画史の)先生」(フィルムアート社、11月16日)

 21. 「読書という経験――平面を手と目で辿る二つの方法」(『すばる』2019年01月号、集英社、12月06日)

 22. 「世界の謎と学術ワンダーランド」(『おすすめ文庫王国2019』、本の雑誌社、12月06日)

 23. 「松永伸司『ビデオゲームの美学』書評」(「日本経済新聞」12月08日号)

 24. 「2018年の収穫」(「週刊読書人」12月14日号)

 25. 「古典再訪」第3回(『しししし』第2号、双子のライオン堂、12月25日)

 

★講義・講演

 01. 「デザインとことば」(寄藤文平との講義全4回、ミームデザイン学校)

 02. 「ゲームデザイン講座」(全24回、よよこー)

 03. 「クリエイター入門」(TNW)

 04. 「好きな事は将来に繋がる? 「新しい関係の作り方」――「子どもとより良く付き合う方法」(わかあゆネット主催、02月10日)

 05. 「文学問題(F+f)+ものがたり問題」(ISISフェスタ、イシス編集学校、02月17日)

 06. 「人はなぜ遊ぶのか?」(桐光学園、06月13日)

 07. 「視覚デザイン特別講義」(長岡造形大学、07月06日)

 08. 「現代思想とクリエイティブ」(事業構想大学院大学、07月12日)

 09. 「とある蔵書のインデックス」(ブックファースト新宿店、10月26日)

 10. 「天文学の文体」(「天文学と印刷」展関連講演、印刷博物館、11月11日)

 11. 「上妻世海『制作へ』を読む」(マルチスピーシーズ人類学研究会、立教大学、11月18日)

 12. 「代々木高校東京本部保護者会勉強会」(12月08日)

 

★対談・鼎談

 01. 斎藤哲也+吉川浩満「「人文的、あまりに人文的」な、2017年人文書めった斬り!」(ゲンロンカフェ、1月5日)

 02. 安田登「見えないものを見る能のちから」(『能 650年続いた仕掛けとは』新潮新書刊行記念、B&B、01月21日)

 03. 斎藤哲也+吉川浩満「紀伊國屋じんぶん大賞ランキングを見ながら2017年の人文書についてあれこれ語らう会」(紀伊國屋書店、01月24日)

 04. 松岡正剛:「文学問題(F+f)+ものがたり問題」(ISISフェスタ、イシス編集学校、02月17日)

 05. 三中信宏「マニュエル・リマ『THE BOOK OF CIRCLES』(BNN新社)刊行記念対談」(青山ブックセンター、04月12日)

 06. 井庭崇「言葉を編む、世界をつくる」(「創造社会論」、慶應義塾大学、04月27日)

 07. 三宅陽一郎「デジタルゲームから人工知能を考える」(『高校生のためのゲームで考える人工知能』刊行記念対談、青山ブックセンター、05月12日)

 08. 吉川浩満「本棚会議 Vol.2」(『先史学者プラトン』刊行記念、ジュンク堂書店池袋本店、05月25日)

 09. 三中信宏+吉川浩満「知はいかに体系化されるのか?――『系統体系学の世界』『統計思考の世界』刊行記念イベント」(ゲンロンカフェ、07月20日)

 10. 安田登「文字とからだの密かな関係――AR(拡張現実)としての『論語』」(青山ブックセンター、08月05日)

 11. 三宅陽一郎「プラトンvs人工知能――『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』刊行記念」(双子のライオン道、08月18日)

 12. 円城塔「文字の起源、文字の未来」(la kagu、08月31日)

 13. 橋本麻里「[世界を変えた書物]展を巡ろう」(ニコニコ生放送、09月07日)

 14. ヒロ・ヒライ「歴史学と科学から読み解く錬金術」(B&B、09月08日)

 15. 荻上チキ+南部広美+橋本麻里「世界を変えた書物展」(Session-22、09月21日)

 16. 荒木優太+吉川浩満「人間問題(F+f)+、あるいは科学・文学・人間の運命

(B&B、09月22日)

 17. 酒井潔「theoria cum praxi ライプニッツは私たちに縁遠い天才か?」(紀伊國屋書店新宿本店、09月24日)

 18. 円城塔「『文字渦』『投壜通信』刊行記念対談」(HMV&BOOKS SHIBUYA、10月10日)

 19. 川山竜二+三宅陽一郎「AIとコミュニケーションの未来」(「宣伝会議サミット2018」、11月14日)

 20. 安田登+大島淑夫+ヲノサトル+玉川奈々福「『イナンナの冥界下り』アフター・トーク」(晴れたら空に豆まいて、12月10日)

 21. 斎藤哲也+吉川浩満「「人文的、あまりに人文的」な、2018年人文書めった斬り!」(ゲンロンカフェ、12月28日)

 

★インタヴュー

 01. 「漱石の理論、その先は」(聞き手=小佐野慧太、「東京新聞」、02月18日)

 02. 「漱石が示した文学の可能性」(聞き手=高久潤、「朝日新聞」夕刊、04月25日) 

 03. 「現代ノンフィクション入門――その変容を捉えるための20冊」(聞き手=山本ぽてと、『STUDIO VOICE』)

 04. 「これなら書ける!山本貴光先生に聞いた、読書感想文のコツ」(聞き手=近藤智子、スタディサプリ、08月08日)

 05. 「読書感想文が書きたくなる?高校生の夏休みに読みたいオススメ本16選」(聞き手=近藤智子、スタディサプリ、08月15日)

 06. 「科学はいかに生まれたか」(聞き手=石戸諭、『日経サイエンス』2018年10月号、日経サイエンス社、08月25日)

 07. 「在野に学問あり」第2回(吉川浩満とともに、聞き手=山本ぽてと、「B面の岩波新書」、11月25日)

 08. 「理系読書99」(聞き手=神田桂一、『BRUTUS』特集「危険な読書」)