新刊『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』

3月14日に、吉川浩満くんとの共著『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。――古代ローマの大賢人の教え』(筑摩書房)が刊行されます。

2017年から18年にかけて、「webちくま」で連載した「賢人エピクテトスに学ぶ人生哲学――人生がときめく知の技法」(全30回)を加筆・修正して本にしたものです。

吉川くんと私が、学生時代から私淑して、実際にこれまでの人生で、どれだけ支えとなり、助けられたか、というエピクテトス先生の考え方を、対談形式で解説しています。

装幀は、寄藤文平さんと古屋郁美さん、挿画は、花松あゆみさんによるもので、自分たちで言うのもなんですが、しみじみといい本になりました。

ご覧いただければ幸いです。

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(写真は筑摩書房のTwitter投稿より)

 吉川くんとの共著は、『心脳問題』(朝日出版社、2004)、『問題がモンダイなのだ』(ちくまプリマー新書、2006)、『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版、2016/『心脳問題』の増補改訂版)に続く4冊目。存外共著は少ないのでした。

このあと、何冊かの共著を予定しています。

ポール・ド・マン『ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿』

去年末、ポール・ド・マンの『ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿』(中山徹+鈴木英明+木谷厳訳、彩流社、2019)が刊行された。

編者の序文によれば、批評家のポール・ド・マン(Paul de Man, 1919-1983)が書いたもののうち、これまで一度も出版されなかった文書をまとめたもの。

原書は、Paul de Man, Romanticism and contemporary Criticism: The Gauss seminar and Other Papars (eds. E. S. Burt, Kevin Newmark, and Andrzej Warminski,Johns Hopkins University Press, 1993)。

ド・マンの文章といえば、読むのに少々骨が折れるという印象を持っていたのだけれど、この本は訳文のおかげもあってか、セミナーという性格もあってか、論旨を追いやすい。

全3部のうち、第1部は1967年に行われたガウス・セミナー「ロマン主義と現代批評」のための原稿を収めている。

ガウスと聴くと、反射的に数学者が思い浮かんでしまうところ、実際には、詩人で批評家でプリンストン大学の教授だったリチャード・パーマー・ブラックマー(Richard Palmer Blackmur, 1904-1965)が、1949年に文学研究者で批評家のクリスチャン・ガウス(Christian Gauss, 1878-1951)を記念して創設した講座とのこと。

開設以来今日までの講義担当者のリストは、プリンストン大学の人文学カウンシルのページに掲示されている。

本書について、詳しくは下記彩流社のページをどうぞ。

humanities.princeton.edu

www.sairyusha.co.jp

YouTubeチャンネル「哲学の劇場」、始めました

吉川浩満くんと、YouTubeにチャンネルを開設しました。

「哲学の劇場」といって、1997年に2人でつくったウェブサイトの名前に因んでいます。

しばらく前から、ことあるごとに「動画もやりたいね」という話をしていたのですが、目の前の仕事にかまけてできないまま何年かが経っておりました。

このたびは、少し大きめの仕事に区切りもついたところで、よしやるかというので始めた次第です。

 

現在、2本の動画を配信しています。

一つめは「チャンネル開設のご挨拶」。

www.youtube.com

もう一つは、ここからが本編で、「人文的、あまりに人文的」と題した書評対談です。

www.youtube.com

まずは月に一度の配信を目安にやってみようと話しあっているところでした。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

文庫ブックフェア「恋も宇宙も密室も」

青山ブックセンター本店の文庫棚で、連続ブックフェア第4弾が始まりました。

 

今回は「恋も宇宙も密室もーーアンソロジーに花束を」と題して、各方面のアンソロジーを集めてみました。

 

よく編まれたアンソロジーは、雑誌にも似て、いろいろな作家と出会える場にもなるものです。

 

もちろん、お気に入りの作家の作品が入っているものを選ぶもよし、アンソロジーのテーマから選ぶもよし、選者(アンソロジスト)で選ぶもよし。お楽しみいただければ幸いです。

 

配布用のリーフレットは、目下執筆中です。

 

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「「人文的、あまりに人文的」な、2019年人文書めった斬り!」

12月16日は、少しはやめの忘年会。ではなく、「「人文的、あまりに人文的」な、2019年人文書めった斬り!」というイヴェントでした。

斎藤哲也さん、吉川浩満くんとゲンロンカフェでこの鼎談をはじめて今回で4回目。最初にやってみたら、たいそう楽しかったので、3人でまたやりたいねえと言っていたところ、そんなこんなで回を重ねています。

このイヴェントでは、3人がそれぞれ2019年に刊行された人文書から印象に残ったものをリストにしてみなさんと共有するというやり方をとっています。回を追うごとに冊数が増えており、そんなにたくさんにしなくてもいいのでは、と事前に話しあっていたのでしたが、蓋を開けてみたらどうでしょう、3人で都合千冊を超えるリストができてしまったのでした。

ただし、各人がそこからさらにベスト20も選んでいるので、その点はご安心を。

事前にリストをつくりながら、あんな本もあった、こんな本もあったと、あれこれの話題や材料をピックアップしていくと、すぐに30、40となるのですが、毎回いざ話し始めてみると、事前には思ってもみなかった話題が展開するのが醍醐味です(事前の台本なしでしゃべっております)。

さて、今年はどんな話になったでしょうか。12月23日くらいまで、ニコニコ生放送のタイムシフトでご覧いただけます。会場で配布したリストのファイルも、放送中に示されるリンクからダウンロードできますヨ。

お楽しみいただければ幸いです。

 

live2.nicovideo.jp

モリー・バング『絵には何が描かれているのか』(フィルムアート社)

モリー・バング『絵には何が描かれているのか――絵本から学ぶイメージとデザインの基本原則』(細谷由依子訳、フィルムアート社、2019.11.26)に「魔法の秘密を明かす本」と題して解説を書きました。

絵本作家の著者が、絵本の画面構成を題材として、ヴィジュアルとそれを目にする人の心の動きの関係を探る本です。絵の上手下手ではなくて、色と形を使って、あくまで画面をどう構成するかという点に集中しているのもポイントです。絵心と関係なくヴィジュアルデザインを学べます。

また、同書の刊行記念ブックフェア「心を動かす絵のひみつ」をいくつかの書店で開催中です。選書は、松田行正さん、名久井直子さん、大原大次郎さん、細馬宏通さん、平倉圭さん、菅俊一さんというメンバー。わたくしも参加しております。

 

 

filmart.co.jp