「Web河出」で連載中の今野真二さんとの往復書簡「知識の沼――ことばで巨人の肩にのる」の第6回が公開されました。
今野さんが、『現代思想』(青土社)の和算特集号に寄せた私の文章を読んでくださり、そこで触れている『廣益諸家人名録』(実物)を購入したと書いておられて、モニターの前で「ふええ」と声が出ました。
お楽しみいただければ幸いです。
この往復書簡は、今野さんの『日本語の教養100』(河出新書)の刊行を記念する企画です。
「Web河出」で連載中の今野真二さんとの往復書簡「知識の沼――ことばで巨人の肩にのる」の第6回が公開されました。
今野さんが、『現代思想』(青土社)の和算特集号に寄せた私の文章を読んでくださり、そこで触れている『廣益諸家人名録』(実物)を購入したと書いておられて、モニターの前で「ふええ」と声が出ました。
お楽しみいただければ幸いです。
この往復書簡は、今野さんの『日本語の教養100』(河出新書)の刊行を記念する企画です。
叢書・全集メモ
山本がチェックしている叢書や全集類のウェブページのリンクをまとめるエントリーです。
★The MIT Press Essential Knowledge series (MIT Press, 2011- )
https://mitpress.mit.edu/books/series/mit-press-essential-knowledge-series?page=0
MIT出版の「エッセンシャル・ナレッジ」シリーズ。コンピューティングやクラウドソーシング、技術的特異点、心身問題、マクロ経済、AI倫理、アルゴリズム、ヘイトスピーチ、機械学習など、1テーマ1冊でコンパクトに解説した入門書のシリーズ。
★The Very Short Introduction (Oxford University Press, 1995- )
岩波書店のチーム「なみのおと」が運営するnoteの連載「岩波文庫で読む「感染症」」の第5回を書きました。
今回は、「環境のなかで人間と病をみる」と題して、ヒポクラテス『古い医術について 他八篇』について書いています。
ヒポクラテスは、病気を環境と人間の組み合わせで見ており、なかでも空気を重視していました。経験に基づいて患者をよく観察する彼(ら)は、感染症をどのように捉えていたのか。ということを念頭に置いて書いてみました。
『図書新聞』第3505号、2021年7月24日号の「2021年上半期読書アンケート」に回答しました。3冊を選んでコメントを添えています。
今年もよい本がたくさん出ているので、そこから3冊を選ぶのはたいへん難しいですね。
★図書新聞 > 同号目次
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3505
ついでながら、山本が手にしている本について、Instagramに投稿している写真でご覧いただけます。
こちらも投稿が全然追いついておりませんが、2021年に入ってから1683冊の書影を投稿しております。
★Instragram > yamamototakamitsu
https://www.instagram.com/yamamototakamitsu/
本が届く。
開封して「?」となる。
表紙を眺めているうちに、「ああ」と思い出す。少し前にTwitterで誰かが紹介しているのを見て注文したのだった。海外から届くのにちょっと時間がかかったわけだ。たしかに注文しましたよ。
本を注文してから届くまでの3週間、そのあいだも日々を暮らしながら、あれこれを耳目にしたりして、少しだけ体は年をとり、記憶もいろいろ変わっている。それを別人といえば言い過ぎかもしれないけれど、本を注文したときの私とぴったり同じかといえばそうではない。やっぱり変わっている。
それで、場合によってはせっかく届いた本を棚のしかるべき場所に置いてしばらくそれきりということにもなる。
*
パソコンが、ユーザーの使い方や好みを機械学習できるとする。
ある時点でのユーザーの操作がデータとしてPCに保存され、それまでの操作の記録とあわせてその特徴が抽出される。そうして生成されたデータに基づいて、PCは次回またユーザーである私がそのPCを使うとき、いろいろなサポートをしてくれる。そんな仕組みがあるとする。
いま、私が2021年7月10日と13日にそのPCを使ったとする。7月10日の使用を終えた時点で、PCは私の操作履歴を学習して、次回の利用に備える。
7月13日に私はそのPCを使う。でも、なんだかしっくりこない。PCからのサジェストが、自分の好みとはずれているような気がする。
なぜそんなことになるのか。PCは7月10日の時点でのユーザーの操作に基づいてサポートを提供する。だが、その後、7月13日にいたるまで、私はさまざまな経験を経て、考え方や記憶の状態が変化している。もはや7月10日の時点の私とはちょっと違っている。でも、PCはそんな変化を検知しようもない。
そんなふうにして、変化し続ける私とPCとのあいだには、いつもギャップが生じる。
インターネットの広告では、いま述べたようなことが、もっと粗雑な状態で生じているのだと思う。
「WEB本の雑誌」に、連載「世界の文芸誌から」の第2回を書きました。
第1回を公開したのが2020年8月31日でしたので、10カ月ぶりくらいに続きを書いた計算になります。
どうしてそんなに間が空いたのかについては、いろいろあるといえばあるのですが、一つ自覚していることがあります。
ウェブ連載は雑誌連載とちがって、明確に締切が設定されていない場合も少なくないのです。雑誌なら印刷の予定がありますから、なにがどうあってもそれに間に合わせる必要があります。ウェブはその点、よくも悪しくも融通が利くのですね。
と、締切のせいにしてもいけませんが、仮に雑誌の締切を「強い締切」、ウェブの締切を「弱い締切」と呼ぶとしたら、目の前に迫る強い締切に気を取られがちなのでした。
これは別の機会に改めて書きますが、このたびは執筆にかんして或る方法を試したところ、以前と比べて計画的に書き進められるようになってきたのでした。
「世界の文芸誌から」第2回では、『世界文學』という戦後間もなくの1946年4月に京都で創刊された文芸誌をまずは眺めてみています。表紙の写真なども掲載しています。
次回はまた10カ月後ということにならぬよう、書き進めて参りますので、よろしくお願い申しあげます。
★「世界の文芸誌から」第2回(WEB本の雑誌)
https://www.webdoku.jp/column/yamamoto/2021/07/13/115706.html
岩波書店のnote「コロナの時代の想像力」に、連載「岩波文庫で読む「感染症」」の第4回を書きました。
今回は、古代ギリシアの歴史家トゥキュディデスの『戦史』に記述されたアテナイの疫病について眺めております。当人も感染したという疫病の実態について、こまやかな観察に基づき、憶測を交えず記す姿勢には改めて驚かされます。
『戦史』(上中下、久保正彰訳、岩波文庫青406-1, 2, 3)は重版されて手に入ります。
ここまでの連載をまとめておきます。
・第1回:古典の小宇宙に問いかける
・第2回:パンデミック・シミュレーター――カレル・チャペック『白い病』
・第3回:現実がゆらぐとき、物語は世界を照らす灯となる――ボッカチオ『デカメロン』