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「これが示したいことだった」最終回(『数学セミナー』)

1年の予定で書いてきた『数学セミナー』(日本評論社)の連載「これが示したいことだった」最終回(第12回)を3月号に書きました。 この連載は、読書日記のように、折々に読んでいる数学や自然科学の本について書いたエッセイです。 完結を記念して、全12回…

マイクロノヴェルとしての『伊勢物語』

久しぶりに『伊勢物語』を通して読んでみた。 「むかし、をとこありけり」といって始まる恋物語。 むかしは全然そういうことが気になっていなかったけれど、いま読むと、断章形式の構造で、なんだかゲームAIにいろいろなパターンの恋愛行動をとらせた結果を…

「市民の立場で語る任命拒否問題」

人文社会系学協会連合連絡会編『私たちは学術会議の任命拒否問題に抗議する』(論創ノンフィクション8、論創社、2021/02/05)に、吉川浩満くんとの対談「市民の立場で語る任命拒否問題」(企画・構成・司会は「週刊読書人」の野村ななみさんで、「週刊読書人…

Instagramで本を記録

以前は、手にした本をこのブログに掲載する、ということをしていた時期もありました。 最近は、より手軽に処理できるという理由から、もっぱらInstagramに掲載しています。 InstagramはInstagramで、わざとそうしているのか分からないけれども、操作が必ずし…

マルジナリア書店で1日店長

今年は、もうちょっと備忘録がてら、あれこれブログに書いておこうと思いながら、はやくも1月が終わってしまった(むむむ)。 先日、1月30日(土)に、マルジナリア書店byよはく舎で、吉川浩満くんとともに、1日店長を務めてきました。 マルジナリア書店とは…

マーカス・デュ・ソートイ『レンブラントの身震い』の書評

「日本経済新聞」の2021年1月23日書評欄に、マーカス・デュ・ソートイ『レンブラントの身震い』(冨永星訳、新潮クレスト・ブックス、新潮社、2020)の書評を書きました。 原題をCreativity Code(創造性のコード)といって、人間における創造の規則(コード…

フィリップ・ウィルキンソンほか『世界の神話大図鑑』を推薦

フィリップ・ウィルキンソンほか著『世界の神話大図鑑』(林啓恵+飯原裕美訳、三省堂書店、2021.01.22)に推薦文を書きました。もうお一方は、里中満智子さん。 1行目の「はじめに神話があった。」をキャッチコピー風にちょっと大きく表示してはどうかと考…

2020年に刊行した本

2020年に刊行した本は、以下の4冊でした。 ★『わたしの外国語漂流記』(共著、河出書房新社) ★『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』(吉川浩満との共著、筑摩書房) ★『マルジナリアでつかまえて』(本の雑誌社) ★『記憶のデザイン』(筑摩選書01…

コメニウス・セレクション(東信堂)

東信堂から刊行中の「コメニウスセレクション」、2020年12月現在の既刊は以下の通り。書名から、版元の当該ページへリンクを貼ってあります。 1:『地上の迷宮と心の楽園』(藤田輝夫訳、相馬伸一監訳、2006年8月) 2:『パンパイデイア――生涯にわたる教育の…

新連載「世界の文芸誌から」

「WEB本の雑誌」で連載を始めます。 題して「世界の文芸誌から」(また大風呂敷を広げてしまった……)。 看板倒れにならぬよう、楽しみつつゆるやかめに進めて参ります。 どうぞよろしくお願い申しあげます。 www.webdoku.jp

『世界文學』創刊号(1946)

『世界文學』(世界文學社)という雑誌の創刊号から第37号までを手に入れた。 どうやら第38号が終刊号のようだ。 発行したのは、世界文學社という京都の版元。 整理がてら、書誌をここに記していこう。 今回は、創刊号について。 目次は以下の通り。 ・アン…

角田真弓『明治期建築学史』

気になる本のクリップ。 角田真弓『明治期建築学史』(中央公論美術出版社、2019) 現在の「建築学」はいかに形成されたのか。明治期の西洋建築の移入と西洋技術・情報の受容過程を、一次資料の丹念な分析から跡付ける。近代工学教育における建築教育の特性…

新刊『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』

3月14日に、吉川浩満くんとの共著『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。――古代ローマの大賢人の教え』(筑摩書房)が刊行されます。 2017年から18年にかけて、「webちくま」で連載した「賢人エピクテトスに学ぶ人生哲学――人生がときめく知の技法」(全…

ポール・ド・マン『ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿』

去年末、ポール・ド・マンの『ロマン主義と現代批評――ガウス・セミナーとその他の論稿』(中山徹+鈴木英明+木谷厳訳、彩流社、2019)が刊行された。 編者の序文によれば、批評家のポール・ド・マン(Paul de Man, 1919-1983)が書いたもののうち、これまで…

『ハイデッガー全集』の引き継ぎ

創文社が刊行してきた邦訳版『ハイデッガー全集』(全103巻予定)は、2020年5月の同社閉業にともない、東京大学出版会が引き継ぐとのことです。 読者としてもうれしいニュース。 www.utp.or.jp

文庫ブックフェア「恋も宇宙も密室も」

青山ブックセンター本店の文庫棚で、連続ブックフェア第4弾が始まりました。 今回は「恋も宇宙も密室もーーアンソロジーに花束を」と題して、各方面のアンソロジーを集めてみました。 よく編まれたアンソロジーは、雑誌にも似て、いろいろな作家と出会える場…

モリー・バング『絵には何が描かれているのか』(フィルムアート社)

モリー・バング『絵には何が描かれているのか――絵本から学ぶイメージとデザインの基本原則』(細谷由依子訳、フィルムアート社、2019.11.26)に「魔法の秘密を明かす本」と題して解説を書きました。 絵本作家の著者が、絵本の画面構成を題材として、ヴィジュ…

『つげ義春大全』

『つげ義春大全』(全22巻、講談社、2020/04) この全集は、つげ自らが「大全」と謳い、著者全面協力のもと編纂された決定版の全集です。/収録作品は1954年発表の幻のデビュー作から1987年の断筆までの作品、そして随筆家としても知られる著者の文章、イラ…

京谷裕彰編『薔薇色のアパリシオン――冨士原清一詩文集成』(共和国、2019)

このたび共和国から刊行された、京谷裕彰編『薔薇色のアパリシオン――冨士原清一詩文集成』(共和国、2019)は、生前一冊の詩集も出さないまま、1944年に36歳で戦没した詩人、冨士原清一(1908-1944)の(ほぼ)全作品集です。 生前刊行されたのは、二冊の翻…

本の雑誌編集部『働くわたし』(本の雑誌社)

本の雑誌編集部『働くわたし』(本の雑誌社、2019年8月28日刊行予定)に、ブックガイドを書きました。 さまざまな職業に従事する女性たちへのインタヴュー集です。 公式サイトから目次を引用します。 ・福本奈津子(十勝ばんえいクリニック) 獣医 ・田口玲…

★073/1021:カール・クラウス『黒魔術による世界の没落』(山口裕之+河野英二訳、現代思潮新社、2008)

★073/1021:カール・クラウス『黒魔術による世界の没落』(山口裕之+河野英二訳、エートル叢書18、現代思潮新社、2008) *手元に来た本を記録するシリーズです。 Karl Kraus, Untergang der Welt durch schwarze Magie. (Kösel-Verlag, 1960)の抄訳。 原書…

Instagramからちょっと離れて

先日、Instagramの不具合について書いた。 このところ、画像を投稿する際、コメントを入力しても反映されないという症状と、他の人に「いいね」をつけると、ブロックされたアクションなので駄目ですと言われる症状に見舞われていた。 直ったりぶりかえしたり…

ケイティ・サレン&エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ』第4分冊の発売日が決まりました

遊んで楽しめるゲーム(意味のある遊び)をつくるには、どんなことを検討すればよいか。この点を多角的に考えさせてくれるゲームデザインの教科書、ケイティ・サレン&エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎』(全4分冊、拙訳…

フェルナンド・ペソア研究誌『複数のペソア(Pessoa Plural - A Journal of Fernando Pessoa)』

フェルナンド・ペソアの研究誌『複数のペソア(Pessoa Plural - A Journal of Fernando Pessoa)』がAcademia.eduで公開されています。PDFをダウンロードできます。以下は、創刊号から第15号までのリンクです。 第15号(2019年春号) (PDF) Pessoa Plural - …

★072/1020:『ナイトランド・クォータリー』第17号(アトリエサード、2019/05/31)

★072/1020:『ナイトランド・クォータリー』第17号(アトリエサード、2019/05/31) 第17号の特集は「ケルト幻想――昏い森への誘い」。 チーフエディターをお務めの岡和田晃さん、インタヴュー、翻訳、評論、ブックガイドと大活躍。 目次 ・表紙作品:戸田和子…

★071/1019:池内紀『カール・クラウス――闇に一つの炬火あり』(講談社学術文庫2331、講談社、2015/11/10)

★071/1019:池内紀『カール・クラウス――闇に一つの炬火あり』(講談社学術文庫2331、講談社、2015/11/10) というわけで、Instagramに投稿していた手元に来た本の記録を、今日からこのブログにつけることにします。当人以外にとっては意味のないものですが、…

荒木優太編著『在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活』(明石書店)

荒木優太編著『在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活』(明石書店、2019年9月1日刊行予定)という本に、吉川浩満くん(id: clinmn)とともに随筆を寄稿しました。 こういう本です。 「在野研究者」とは、大学に属さない、民間の研究者のことだ。卒業…

『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)

田中佳祐著、竹田信弥構成『街灯りとしての本屋』(雷鳥社、2019)にコラムを寄稿しました。 この本は、ライターの田中さんが、11の本屋の店主に取材をして書いたものです。それぞれの人がどうやって本屋を始めたのか、どうやって続けているのか。町から本屋…

青山ブックセンター「この夏おすすめする一冊」

青山ブックセンター本店で、「160人がこの夏おすすめする一冊 2019」が始まりました。2000円以上の購入で、160人が選んだ本とコメントを掲載したタブロイドがもらえるようです。 私も2017、2018年に続いて1冊を選びました。 2017年 ★ルスタム・カーツ『ソヴ…

Instagramからblogへ

ここしばらく、Instagramに本の写真を投稿していた。 iPadで撮影した写真を手軽に投稿できるのは便利だと感じて使っていたのだけれど、このところ不具合が頻発するようになった。 こうしたことは、しばらくすれば自分でも忘れてしまうので、記録も兼ねて症状…