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4月上旬につかだま書房から刊行予定の後藤明生『引揚小説三部作』に「解説」を寄稿しました。 同書は、植民地時代の朝鮮で生まれ、敗戦とともに日本へ引き揚げた経験をもつ後藤明生が、失われた故郷とその記憶を巡って書いた三つの小説「夢かたり」「行き帰…
拙著『文体の科学』(新潮社、2014)増刷の知らせが届きました。 同書は新潮社の季刊雑誌『考える人』に「文体百般」として連載したエッセイをもとにつくった本で、2014年11月に刊行したのでした。 それから3年と少しが過ぎたところで、このたび4刷となりま…
伊藤大さんの個展「innuendo」(六本木605画廊)に選書で参加しました。 同展は、ジョン・ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(1974)とレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』(1953)をテーマとして写真を中心に構成され…
赤坂にある書店「双子のライオン堂」から、文芸誌『しししし』が創刊されます。 特集は宮沢賢治。それ以外にも多様な文章が掲載されております。 昨年やはり双子のライオン堂から刊行された文芸誌『草獅子』で始まった荒木優太さんの連載「柄谷行人と埴谷雄…
『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の刊行から1カ月ほどが経ちました。 毎度のことながら、ナウなヤングにバカウケという類の本ではないので、ネット上にコメントが飛び交うということもない代わりに、いくつかのうれしい書評もいただいています。 一つは、Am…
『本の雑誌』通巻414号2017年12月号「特集=人生は「詩」である!」が出ました。 今月号は、いつものこわいうさぎおじさんのようなものが表紙ではないのですネ。 拙連載「マルジナリアでつかまえて」の第3回も掲載されております。 前回に続いて漱石先生のマ…
11月下旬刊行予定の『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の予約特典「メイキング・オブ『文学問題(F+f)+』」のデザインが決まりました。 本と同じく編集は中村健太郎さん、デザインは小沼宏之さんです。 全32ページにわたって『文学問題(F+f)+』執筆の過程…
★ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳、光文社古典真訳文庫KCシ1-1、光文社、2017/11) John Reed, Ten Days That Shook The World (1919) 序文はレーニン。 ★吉田忠編『ニュートン自然哲学の系譜――プリンキピアとオプティックスまで』(平…
★小倉紀蔵『朝鮮思想全史』(ちくま新書1292、2017/11) ★田中純『歴史の地震計――アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』(東京大学出版会、2017/07) ★イアン・ハッキング『数学はなぜ哲学の問題になるのか』(金子洋之+大西琢朗訳、森北出版…
★東浩紀監修+市川真人+大澤聡+福嶋亮大『現代日本の批評1975-2001』(講談社、2017/11) 『ゲンロン1』『ゲンロン2』に掲載された「現代日本の批評」前半を書籍化したもの。後半も同様に刊行予定とのこと。 ★ながべ『とつくにの少女』第4巻(マッグガーデ…
★植村和秀『折口信夫――日本の保守主義者』(中公新書2458、中央公論新社、2017/10) ★出村和彦『アウグスティヌス――「心」の哲学者』(岩波新書1682、岩波書店、2017/10) ★ジル=ガストン・グランジェ『科学の本質と多様性』(松田克進+三宅岳史+中村大介…
★ハン・ガン『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、韓国文学のオクリモノ、晶文社、2017/10) 韓江『희랍어 시간』(2011) 晶文社の新シリーズ「韓国文学のオクリモノ」の第1回配本。すべて受け取りたい所存。 ★ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『カ…
国書刊行会の新刊を3冊。 ★グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜――マイリンク幻想小説集』(垂野創一郎訳、国書刊行会、2017/10) 「I 初期短篇」(5作品)、「II ワルプルギスの夜」、「III 白いドミニコ僧――見えないものの日記から」、「IV 後期短篇」…
★クリントン・ロメシャ『レッド・プラトーン――14時間の死闘』(伏見威蕃訳、早川書房、2017/10) Clinton Romesha, Red Platoon: A True Story of American Valor (2016) アフガニスタン戦争史上、最も苛酷な戦闘のひとつと言われる「カームデーシュの戦い」…
目の前の仕事にかまけていると、すぐ記録しそびれてしまいますが、久しぶりに蒐書録の投稿です。 ★『定本 漱石全集 第十一巻 明暗』(岩波書店、2017/10) 第11回配本は『明暗』。月報は高橋源一郎さん。次回はいよいよ第14巻『文学論』(11月刊行予定)。 ★…
『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)の校了が迫っている。もう少しだ。 となってくると、意識は勝手に次の仕事のほうへも向いてゆく。 文学論の直後は天文学論を少々(執筆・翻訳中の本のあいまに)。 文学の頭に「天」がつけば天文学である。 文学の頭に「人…
"New Online: A Digital Treasure Trove of Rare Books" (October 20, 2017 by Wendi Maloney, Library of Congress) アメリカ議会図書館のウェブサイトで、稀覯書のデジタル版公開。
上院外交委員会委員長ボブ・コーカー議員が、インタヴューで、大統領は「真実がとても苦手」だと述べたというニュースを目にする。 「真実がとても苦手」とはまた面白い表現。私はこの言葉の組み合わせをはじめて目にしたような気がした。 原語ではなんと言…
『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)にかんするお知らせです。 本日は「予約特典」についてお話ししとうございます。 同書を幻戯書房にご予約いただくと、漏れなく予約特典の小冊子をおつけいたします。 今回の小冊子は、映画でいうところのメイキング映像のよ…
先月から『本の雑誌』で始めた連載「マルジナリアでつかまえて」の第2回が、同誌2017年11月号に掲載されました。 今回は「読書とはツッコム事と見付けたり」と題して、具体的なマルジナリア(本の余白への書き込み)の例を眺めております。 登場するのは、マ…
★Rebecca L. Walkowitz, Born Translated: The Contemporary Novel in an Age of World Literature (Columbia University Press, 2017) かつてに比べて、ある言語で刊行された小説が、他の言語に翻訳されるまでの時間がぐっと短くなっている現在、文学(本書…
★『〆切本2』(左右社、2017/10) 恐ろしい本の続編。怖い物見たさでつい読んでしまう。締切は迫る。書けぬものは書けぬ、と苦しむ作家たちの姿。でもなぜだか、つらい話のはずなのに笑ってしまうことが多い。例えば、源氏鶏太が、あまりに原稿が書けないの…
★ジェームズ・C・スコット『実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方』(清水展+日下渉+中溝和弥訳、岩波書店、2017/09) James C. Scott, Two Cheers for Anarchism: Six Easy Pieces on Autonomy, Dignity, and Meaningful Work and Play …
『夏目漱石『文学論』論(仮題)』(幻戯書房、近刊)の作業に追われ、来る日も来る日も漱石関連文献の確認をつづけていると、終わりのない作業のように思われてきて、くらくらして参ります。 こういう日々を送っていると、漱石に関係のない本がすべて新鮮に…
★亀井俊介編『現代の比較文学』(講談社学術文庫1114、講談社、1994/02) 『現代比較文学の展望』(研究社、1972)として刊行された論集の文庫版。目次は以下の通り。 ・はしがき(原本) ・学術文庫版はしがき ・亀井俊介「比較文学の視野――ホイットマン的…
★ウラジーミル・ナボコフ『アーダ』(上下巻、若島正訳、早川書房、2017/09) Vladimir Nabokov, Ada or Ardor: A Family Chronicle (1969) 旧訳を手に入れられず図書館で借りて読んでおりましたが、ついに新訳登場。訳者は『ディフェンス』『ロリータ』『記…
★芥川龍之介+谷崎潤一郎『文芸的、余りに文芸的な|饒舌録ほか』(千葉俊二編、講談社文芸文庫、講談社、2017/09) 芥川と谷崎の論争にかんする文章を集めた本。こういう企画もありがたい。複数の人があちこちの雑誌などで意見を戦わせるような場合、これを…
★安田登『能――650年続いた仕掛けとは』(新潮新書732、新潮社、2017/09) 冒頭に能の効能が五つ書かれているのだけれど、長続きする組織作りのヒントになる、健康長寿の秘訣、心を穏やかにする、政治統治のマネジメントに有効というあたりまでは「ふむふむ」…
★アントワーヌ・メイエ『ヨーロッパの言語』(西山教行訳、岩波文庫青699-1、岩波書店、2017/09) Antoine Meillet, Les langues dans l'Europe nouvelle (1928) ★江戸川乱歩『怪人二十面相・青銅の魔人』(岩波文庫緑181-2、岩波書店、2017/09) ★大岡信『…
マルジナリアのあるニュートン『光学』(英語版) Opticks: or, A treatise of the reflexions, refractions, inflexions and colours of light. Also two treatises of the species and magnitude of curvilinear figures (1704) "Parker, Theodore, 1810-1…