★ちくま学芸文庫
4月の新刊もまた絶好調。
・大槻文彦『言海』
最近の英語辞書シリーズもありがたいが、『言海』まで文庫化するとはあなどりがたし(ってあなどっていませんが)。
・N.Y.デーヴィス『ズニ族の謎』
・A.シャステル『グロテスクの系譜』
・M.エリアーデ『シャーマニズム――古代的エクスタシー技術』
★キネティック・エリート
瀧口範子の『行動主義――レム・コールハース・ドキュメント』(TOTO出版、2004/03、Amazon.co.jp)は、タイトルそのままに、オランダ生まれの建築家レム・コールハース(1944- )の仕事を、その言動や彼の関係者の証言から、それこそ「行動主義」的に記述した記録。
本書の半分近くを占める「ドキュメント」は、文字通り移動しつづけるコールハースをフォロウする困難そのものを記録したもので、どこに仕事とそれ以外の境界があるのかも不明なほど動き考えつづけるコールハースのことはもちろんだが、それを追いかける著者の運動(動き・考え)そのものが記されている。
そのコールハース、そのつど次の移動先がぎりぎりまで未定のために、つねに三種類の航空券を用意している、というあたり、なみの運動神経ではないわね、と腰が重いわたくしなぞは舌を巻きっぱなしでした。コールハース、文章を読むと思考の運動神経も抜群みたいですね。
ところでこの本、「行動主義」というタイトルも伊達ではなくって、へんに内面を忖度しないところもいいと思う。
コールハースの知人・仕事仲間11人へのインタヴュー、ほかならぬコールハースへのインタヴューも併録されている。
★別れる理由が気になって
西原理恵子の『毎日かあさん――カニ母編』(毎日新聞社、2004/03)の帯文句「家庭円満マンガを描いていたら、連載中に離婚してしまいました(笑)」がおもしろ哀しくてステキ。