★スタニスワフ・レム『ソラリス』(沼野充義訳、国書刊行会、2004/09、amazon.co.jp)
Stanisław Lem, Solaris
待望の「スタニスワフ・レム・コレクション」(全6巻、国書刊行会)の第一回配本は、『ソラリス』の新訳。
ソラリスという星に在る、人智では「海」としかいいようのない理解を絶する存在を前に人間はなにをなしえたか/なしえなかったのか。
ポーランド語原典からの訳出ということで、ロシア語訳版からの和訳(ハヤカワ文庫版)では削除されていた箇所(訳者の沼野氏によると原稿用紙にして40枚分ほどとのこと)も訳出されている。
⇒国書刊行会 > レム・コレクション
http://www.kokusho.co.jp/series/lemcol.html
⇒スタニスワフ・レム公式サイト
http://www.cyberiad.info/english/main.htm
★サミュエル・ベケット『初恋/メルシエとカミエ』(安堂信也訳、白水社、2004/09、amazon.co.jp)
Samuel Beckett, Premier amour (1945) / Mercier et Camier (1946)
白水社の海外小説新装復刊2004の一冊。今回の書目は本書を含めて次の六冊。
・クロード・シモン『フランドルへの道』
・イヴ・ベルジェ『南』
・モニック・ウィティッグ『子供の領分』
・モーリス・ブランショ『最後の人/期待 忘却』
・ウィリアム・フォークナー『サートリス』
全部読みたいわ。
★ウィリアム・フォークナー『サートリス』(林信行訳、白水社、2004/09、amazon.co.jp)
William Faulkner, Sartoris (1929)
フォークナー(1897-1962)の第三作品。本書の元版は1965年の訳本。
★モーリス・ブランショ『最後の人/期待 忘却』(豊崎光一訳、白水社、2004/09、amazon.co.jp)
Maurice Blanchot, Le dernier homme (1957) / L'attente L'oubli (1962)
★ボリース・パステルナーク『早朝列車で 1936-1944』(工藤正廣訳・解説、未知谷、2004/10、amazon.co.jp)
スターリンによる粛清の嵐が吹き荒れた30年代の詩篇。工藤氏によるパステルナーク詩集は、『初期 1912-1914』『バリエール越え 1914-1916』『わが妹人生 1917夏』『晴れよう時 1956-1959』の四冊が既刊。
★みすず書房編集部編『神谷美恵子の世界』(みすず書房、2004/10、amazon.co.jp)
写真、講演録、加賀乙彦、鶴見俊輔ほかによる回想、年譜、詩を収録した一冊。みすず書房から刊行が開始された『神谷美恵子コレクション』との連動企画。
★神谷美恵子『神谷美恵子コレクション 生きがいについて』(みすず書房、2004/10、amazon.co.jp)
★テオクリトス『牧歌』(古澤ゆう子訳、西洋古典叢書G040、京都大学学術出版会、2004/10、amazon.co.jp)
★内山勝利『対話という思想――プラトンの方法叙説』(双書現代の哲学、岩波書店、2004/10、amazon.co.jp)
★『アーレント=ヤスパース往復書簡 1926-1969 1』(大島かおり訳、みすず書房、2004/10、amazon.co.jp)
Hanna Arendt / Karl Jaspers Briefwechsel 1926-1969 (Herausgegeben von Lotte Köhler und Hans Saner, 1985)
★甘利俊一+伊藤正男+利根川進『脳の中身が見えてきた』(岩波科学ライブラリー99、岩波書店、2004/10、amazon.co.jp)
大先生揃い踏みの一冊。
★栗原隆『ヘーゲル――生きてゆく力としての弁証法』(シリーズ・哲学のエッセンス、NHK出版、2004/10、amazon.co.jp)
シリーズ・哲学のエッセンス最新巻はヘーゲル。導入部で、編集者の要望に沿った原稿がうまく書けず煩悶した次第を弁証法的な過程として描いていたりする。本文はいかに?
★『植草甚一スクラップブック6――ぼくの読書法』(晶文社、2004/09、amazon.co.jp)
人が古本を買う話はどうしておもしろいのか(いや、おもしろくないと思う人もあるにちがいないが)。書店から書店へめぐり歩いてだんだん荷物が増えて重くなり疲れてゆく様子。思わぬ拾い物をしたときのうれしさ。本を手に喫茶店にしけこんで一冊ずつ見分するたのしみ。そんな機微がおもしろい。
★『植草甚一スクラップブック12――モダン・ジャズのたのしみ』(晶文社、2004/09、amazon.co.jp)
奈良美智がパンフレットに寄せている言葉がいい。「スクラップというには輝きすぎている玉手箱が、君の町にも届くそうだ。あの頃、お金がなくて買えなかった僕らのために、時を越えてやってきたプレゼントだね」。毎月三冊刊行の予定。
★Ed. Ian Cameron, THE FILMS OF ROBERT BRESSON (PRAEGER FILM LIBRARY, 1969)
ブレッソン論、作品ごとの論考を集めた一冊。寄稿者は、Amédée Ayfre, Raymond Durgnat, Daniel Millar, André Bazin, Leo Murray, Charles Barr, Phil Hardy
★『文學界』第58巻第11号 2004年11月号(文藝春秋社)
・柄谷行人+浅田彰+大澤真幸+岡崎乾二郎「絶えざる移動としての批評」
・亀山郁夫+島田雅彦+沼野充義「二枚舌のドストエフスキー」
★『早稲田文学』Vol.29-6 2004年11月号
・古井由吉+島田雅彦「神話である「私」」
・青山真治+浅田彰+柄谷行人+高澤秀治+津島佑子+マルゲリータ・ロング+渡部直己「中上健次と「近代文学の終り」」