堀口大學『月下の一群』講談社文芸文庫ほC1、講談社、1996/02、amazon.co.jp


1926年(大正14年)に第一書房から刊行された訳詩集。フランス詩人66人の340篇の作品を集めてある。


1952年(昭和27年)に白水社から訳に手を加えた版が、1954年(昭和29年)には新潮文庫版が刊行されている。講談社文芸文庫版は、白水社版を定本としているとのこと。

最初私はこの集を見本帖と云う表題で世に問うつもりであった。と云う理由は、たまたま此集が仏蘭西近代詩の好箇の見本帖であったからである。即ち仏国に於ける近代詩の黎明とも云うべき、ボオドレエルから、ヴェルレエヌ、マラルメを経て近く大戦後の今日に至る最近半世紀の仏蘭西詩歌の大道に現れた詩人及びその作品を、私の詩眼で評価し選択して作られたのがこの集である。


(中略)


後世或は、語に明に詩に厚き、高雅な閑人があって、原作と対比してこの集を読んで呉れるかも知れぬ。彼の温情ある賞讃の微笑を、私は地下に感ずるであろうか?


千九百二十五年四月

(「序」より抜粋)


閑人だが高雅ではなく、「語に明に詩に厚」くもないけれど、原作と対比して読んでみたいと思う。といっても本書と同じ構成の仏語版詩集があるではなかろうから、それぞれの詩人について順次ペーパーバックス版でも入手して読むべし。