ところで、ストローブ=ユイレの映画に関しては、たいへんに便利でよく出来た本がある。
★細川晋編『ストローブ=ユイレの映画』(アテネフランセ文化センター+神戸ファッション美術館監修、1997/12、amazon.co.jp)
1997年にストローブ=ユイレ映画祭が開催されたさいに刊行されたプログラム。作家の略歴を記した「ストローブ=ユイレ紹介」からはじまって、最初期の作品『マホルカ=ムフ』(1962)から、『今日から明日へ』(1996)までの各作品についての作品データと解説(当該作品についてのストローブ=ユイレによる言及の引用などを含む)、(作品によっては)台詞が掲載されている。巻末の「ストローブ=ユイレ書誌」もありがたい*1。彼/彼女の映画に関心を持つ方は必携の一冊(これで2667円+税は安すぎるくらい)。
本書刊行後に製作・公開された『シチリア!』(1998)と『労働者たち、農民たち』(2000)については、前掲書と同様の体裁でつくられた冊子(細川晋編、アテネフランセ文化センター発行)が作成されている。いつでも在庫しているのかどうかは不明だが、私はアテネフランセ文化センターの受付で入手した。
ストローブ=ユイレの最新作は『ルーヴル訪問』(Une visite au Louvre)。2004年にフランスで公開されたという。
⇒Ciné-blub: Jean-Marie Straub et Danièle Huillet > Une visite au Louvre
http://site.voila.fr/cineclub/realisat/straub/unevisiteaulouvre.htm
私が知っている範囲で日本語でストローブ=ユイレ関連のテキストをまとめて読めるのは――
★『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』【映画の21世紀】VI「ゴダールとストローブ=ユイレによる映画」(勁草書房、1997/11、amazon.co.jp)
で、以下の諸論考を収録している。
・パスカル・ボニゼール「J-M.SとJ-L.G.」(梅本洋一訳)
・ジャン=マリー・ストローブ「カール・ドライヤーについて」(坂本安美訳)
・セルジュ・ダネー「眼のための墓場(J=M.ストローブ『アーノルト・シェーンベルクの「ある映画シーンの伴奏音楽」序説』の余白に)」(彦江智弘訳)
・廣瀬純「石が叫ぶ――ストローブ夫妻と「カイエ・デュ・シネマ」」
・ティエリー・ルナス「あなたの微笑みはどこに埋められてしまったの?!――ストローブ=ユイレ『今日から明日へ』を撮る」(鈴木博子訳)
*1:この書誌を見ると、日本語による文献がほとんどないことがわかる。