ヴィデオで浜野佐知監督の『第七官界彷徨――尾崎翠を探して』を観る。
映画は主に三つの部分から成っている。第一は、尾崎翠(おさき・みどり, 1896-1971)の小説「第七官界彷徨」を原作とする小説の部。第二は、尾崎翠の生涯をたどる――映画内の時間的には死の床からさかのぼってゆく――伝記の部。第三は、TVモニターを通して以上の二つの部分を眺める現代の部。ここに、非常に短いものだけれど、第四の部として、矢川澄子、加藤幸子による尾崎翠に関するコメントが加えられている。
映画の内容以前におもしろいのは、三つの部分それぞれにあらわれる俳優の演技の質のちがいが相互に生み出すギャップ。小説の部では、小野町子を演じる柳愛里の言葉すくななぼんやりとした表情を中心に、
#つづく
⇒旦々舎
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