加藤周一+ノーマ・フィールド+徐京植『教養の再生のために 危機の時代の想像力』影書房、2005/02、amazon.co.jp)#0169


東京経済大学21世紀教養プログラム発足記念講演会と関連記事を集成した本。

1 徐京植「いまなぜ「教養」か」
2 「「教養」の再生のために」
 ・加藤周一「教養とは何か」
 ・ノーマ・フィールド「戦争と教養」
3 加藤周一徐京植「教養に何ができるか」
4 徐京植「現代の教養とは何か」


1と4は、東京経済大学特別企画講義「現代の《教養》とは何か」の第一回目、最終回の講義録。2は、雑誌『世界』2003年10月号(岩波書店)所収の講演録。3は「NHKカルチャーアワー」(NHKラジオ第二放送)の番組「明日を切りひらく 教養教育を考える」の全4回中の3、4回放送分を編集したもの。


ここでは、印象に残ったノーマ・フィールド氏の言葉を引用しておきたい。

では、いま、どういう目的のために教養を活性化すべきでしょうか。私たち一人一人が有意義な生涯を送ることができるような社会を目指すことが教養本来の意味ではないかと思います。その前提としてまずは戦争、それから貧困をなくさなければならない。それを全うできるとは誰も思わないでしょう。しかし、そういう理想に対する執念を作り出すことがそもそも教養の役割でもあるはずです。

(pp.51-52)


東京経済大学21世紀教養プログラム
 http://www.tku.ac.jp/~koho/department/21th_century/21th_century.html

21世紀教養プログラムは、自分が本当に学びたいことは何なのか、さまざまな視点から考えながら発見し、学部・学科、キャンパス、国境といった枠組みを越えて4年間自由に学ぶことのできる、まったく新しい大学教育プログラムです。定員16名という徹底した少人数教育で、教員が学生一人ひとりをしっかり個別サポートし、学生自身が設定した学習テーマにもとづいて、4学部の授業科目を組み合わせた4年間の学習計画を立てていきます。学部・学科に所属して学ぶことが、スケジュールや目的地の決まったパック旅行だとすれば、21世紀教養プログラムは一人旅。教員は、そのガイドとなる地図のような存在と言えるでしょう。

(同プログラムの紹介文より)