★『オーシャンズ12』()
ブラッド・ピットのやんちゃな魅力とそもそも二時間枠に11人もメンバーはいらないだろう? という疑問(もひとつ言えばジュリア・ロバーツの歩く姿勢の悪さ)が印象に残った『オーシャンズ11』の、第二弾『オーシャンズ12』を観る。
やっぱりなぜ11人もメンバーが要る/居るのかが依然としてわからない(たぶん、4人くらいで充分だろう)。11人というメンバー数は、あきらかにテレヴィ・ドラマ向けの仕様だと思う。『11』ではまだメンバーそれぞれのプロフェッショナルな技と見せ場を用意しようという意志が見えていたが、本作ではキャラクターに「俺たちはプロだぜ!」と言わせながらも、各人がなんのプロなのかはよくわからない(プロ感に乏しい)。立たないキャラが多すぎて気の毒なほどだ。
プロットは、そこここでそつなく辻褄あわせをしている。しかし、どんでん返しで観客を驚かせることを優先した、あとだしじゃんけんのオンパレードにも見えた。というのも、達成したい目的(お宝を盗み出すこと)に対する手段の選び方が、ともかく燃費の悪い方へと傾いてゆくのだ。競争相手を化かすというよりは、観客を化かすためにメンバーたちが行動しているように見えてしまう憾みがある。
――と文句ばかりを並べたうえで言うのだけれど、作品の外見からコン・ゲームを期待してしまいすぎるから点が辛くなるのかもしれない。コン・ゲームではなく、華やかなスターが競演するゴージャスでスタイリッシュなおたのしみ映画だと思えば上記はないものねだりに過ぎない。
また、ジュリア・ロバーツ演じるテス・オーシャンがジュリア・ロバーツを演じるはめになり、そこに旧知のブルース・ウィリス(as ブルース・ウィリス)があらわれる場面など、お莫迦映画愛好家として観た場合、それなりに見所のある作品であったことは否めない。