(写真は版元ドットコムの同書紹介ページへのリンク)
つかだま書房から、後藤明生『引揚小説三部作』が刊行されました。
同書は、植民地時代の朝鮮で生まれ、敗戦とともに日本へ引き揚げた経験をもつ後藤明生が、失われた故郷とその記憶を巡って書いた三つの小説「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」を一冊にしたものです。
私は解説として「帰る場所のない人類学者」を寄稿しました。
8500字ほどを使って、三部作に共通する文体の面白さを論じています。特に人間の記憶の働きについて、後藤明生は実に鋭い観察をしていることが分かります。
本編とあわせてお楽しみいただければ幸いです。
ブックデザインは、ミルキィ・イソベさん。
なお、4月29日には「ミルキィ・イソベのブックデザイン術――つかだま書房刊の「後藤明生シリーズ」の謎」というイヴェントも予定されています。つかだま書房の塚田眞周博さんが聞き手となって、ミルキィ・イソベさんに話を伺います。
ついでながら、これまで解説を寄せた本には以下のものがあります。
・ピーター・メンデルサンド『本を読むときに何が起きているのか――ことばとビジュアルの間、目と頭の間』(細谷由依子訳、フィルムアート社、2015)