『ゲオルク・ビューヒナー全集』(全1巻、手塚富雄千田是也+岩淵達治監修、5月下旬刊行予定)


創業120周年記念出版プロジェクトの第二弾は『ゲオルク・ビューヒナー全集』(全1巻、手塚富雄千田是也+岩淵達治監修)の復刊。


ビューヒナー(Georg Büchner, 1813-1837)は、ドイツの劇作家、科学者。革命運動に身を投じ、挫折ののち『ダントンの死(Dantons Tod)』(1835)を発表。これが生前唯一の発表作。1836年にチューリヒ大学で解剖学の教鞭をとる。1937年チフスで死去。残された作品に、『レンツ(Lenz)』(1836)、『レオンスとレーナ(Leonce und Lena)』(1836)、『ヴォイツェク(Woyzeck)』(1936、未完)がある。



『ヴォイツェク』は、のちにアルバン・ベルクヴォツェック(Wozzeck)』(1925初演)としてオペラ化している(写真は、指揮ブルーノ・マデルナ、演奏ハンブルクフィルハーモニー管弦楽団、監督ヨアヒム・ヘス、1967年収録@ハンブルク国立歌劇場のDVD)


1970年に刊行された旧版の内容は以下のとおり。


・「ダントンの死」
・「レオンスとレーナ」
・「ヴォイツェク」
・「狂ってゆくレンツ」
・「ヘッセンの急使 第1信」
・「ヘッセンの急使 記録」
・「詩作のはじまり」
・「ビューヒナーの手紙」
・「ビューヒナーへの手紙」
・「ニゴイの神経系に関する覚書」
・「頭蓋神経について」
・ハンス・マイヤー「ゲオルク・ビューヒナーの美学観」
パウル・ツェラン「子午線」
・ハンス・E.ノサック「ただなんとなく……」
・W.イエンス「憂愁と叛乱——ゲオルク・ビューヒナー
・W.ヒルデスハイマー「ゲオルク・ビューヒナーについて」
・ゴーロ・マン「ゲオルク・ビューヒナーと革命」
ジークフリート・メルヒンガー「真のリアリズム」
・中村英雄「ゲオルク・ビューヒナー小伝」
・岩淵達治「ビューヒナーの作品について」
・中村英雄編「年譜」



ことのついででしかないけれど、ドゥルーズガタリ千のプラトー宇野邦一+小沢秋広+田中敏彦+豊崎光一+宮林寛+守中高明訳、河出書房新社、1994)のなかに、ビューヒナーに触れたこんな一節がある。

どこへ行くのか、どこから出発するのか、結局のところ何が言いたいのか、といった問いは無用である。すべてをご破算にすること、ゼロから出発あるいは再出発すること、一つの始まり、あるいは基盤を求めるということは、旅と運動についての誤った考え方(方法的、教育的、秘儀伝授的、象徴的……等の)を含んでいる。クライスト、レンツあるいはビュヒナーは、旅することについても運動することについても別の仕方を示している。中間で、中間から出発して、入ったり出たりするのであって、始めることも終えることもない。

(「序——リゾーム」より、同訳書、p.38)


⇒Projekt Gutenberg-DE > Georg Büchner(独語)
 http://gutenberg.spiegel.de/autoren/buechner.htm
 プロジェクト・グーテンベルクのビューヒーナー作品。


⇒日本ゲオルク・ビューヒナー協会
 http://www1.kcn.ne.jp/~yhonda/