2011-01-01から1年間の記事一覧
自然科学における文章の文体(スタイル)は、どのようにして現在のようになったのか。このことを考えるために、目下、王立協会に注目しています。17世紀半ばのイギリスでつくられた学術集団です。 ロンドン王立協会(Royal Society of London)について知る…
『Journal of the History of Ideas』誌2011年10月号(October 2011 Vol. 72.4)の目次。 ・Lodi Nauta, Philology As Philosophy: Giovanni Pontano On Language, Meaning, And Grammar ・Carl Philipp Emanuel Nothaft, From Sukkot To Saturnalia: The At…
目下は、もっぱら二つのテーマを追跡しています。一つは、ロンドン王立協会について。もう一つは字典・辞典・事典の歴史。備忘録を兼ねて、手にした本などのことを記してゆこうと思います。 ★杉本つとむ『日本語講座3 辞典・事典の世界』(桜楓社、1979/06、…
ウェブサイト、blog、twitter、Facebook、mixi等々、ネット上でものを書くサーヴィスがあれこれ増えて、新しく登場したものを使ってみるつど、それまで使っていたサーヴィスの見え方が少しずつ変わります。 2011年前半まではtwitterをよく使い、目下はFacebo…
ご無沙汰しております。 この夏に取り組んでいた原稿が形になりましたので、お知らせします。河出書房新社の「道の手帖」シリーズ最新刊『寺田寅彦――いまを照らす科学者のことば』(池内了責任編集、2011/11)に寄稿しました。 「知を結ぶ――寺田寅彦 学術連…
この夏は、寺田寅彦の全集とScientific Papersをひたすら読むということをしておりました。 読みながら、一種の索引データベースをつくり、寅彦が言及したもの、読んだもの、見たもの、聞いたものを、ひとまとめに総覧できるようにしようという目論見です。 …
宣伝で恐縮です。2011年10月22日(土)に、朝日カルチャーセンター横浜にて、講座を担当させていただきます。 「哲学カフェI 「しあわせ」の条件を考える」というタイトルです。 幸福やしあわせは、いつの世も問題であり続けてきました。古来哲学における大…
新潮社の季刊誌『考える人』2011年秋号、「特集=考える料理」が発売となりました。 「川上弘美さんのもてなし料理」(カラー10ページ)を筆頭に、70ページ近い特集です。料理の発想やコツや考察など、面白くてためになる内容満載なのはよいのですが、一つだ…
その部屋に入ると、壁に何枚かの紙が貼られている。また、部屋に置かれた二つの台にもそれぞれ紙片が置かれている。 壁に近づくと、貼られた紙が、手紙だと判る。事前に案内を読んでいるせいもある。しかし、そうした知識がなかったとしても、おそらくその紙…
(承前)ディオニュシオスが古代弁論家として最初に取り上げるのは、リュシアス(紀元前5世紀から4世紀に活動)です。 ディオニュシオスは、リュシアスが書き残した弁論の文体について、次のような美点を数え上げています。 ・純正なギリシア語 ・標準的で一…
いとも賢いアンマイオスよ、われわれは今のこの時代におおいに感謝せねばなりません。というのも、他のさまざまな研究分野が以前よりも改善されたうえに、とくに市民弁論への関心がおおいに高まったのですから。じっさいわれわれに先立つ時代には、古くから…
当人以外の人類にとっては、ほぼどうでもよいことではありますが、当ブログのプロフィール欄に、最近の仕事と予定を追記しました。 主に『考える人』での連載次回分と、寺田寅彦に関する原稿2点についてです。寺田寅彦については、一夏を使って少し大きめの…
2008年に刊行した『ゲームの教科書』(馬場保仁との共著、ちくまプリマー新書98、筑摩書房、2008/12/10、ISBN:4480688021)の重版が決定しました。ご愛読に感謝します。ありがとうございます。 主にコンピュータゲームを念頭に、ゲームとはなんだろうか、あ…
5月末に第2回を寄稿してから、4カ月も間を空けてしまいました。「ブックガイド――書物の海のアルゴノート」の連載を再開させていただきます。 第3回は、前回に続いて「読書について」です。ブックガイドを始めるにあたって、まずは足下から見直してみようと、…
連載「「百学連環」を読む」第26回を寄稿しました。 当ブログでのお知らせを滞らせておりましたが、同連載は続いております。目下は、「学術技芸」について、その日本語、漢語としての原義を確認しているところ。 この連載、とりあえずは「百学連環」の総序…
少し前のことになりますが、2011年8月4日に発売された『考える人』(新潮社)No.37では、「追悼特殊 梅棹忠夫――「文明」を探検したひと」と題した特集を組んでいます。 同特集に、ブックガイド「世界をデッサンする――梅棹忠夫の10冊」を寄稿しました。 梅棹…
『早稲田文学』第4号の小特集「the century of McLuhan: 1911-2011」に、「物質と記憶の未来」というエッセイを寄稿しました。 マクルーハンが提示した「メディア(ものとものの間にあって両者を媒するもの)は人間の知覚やものの考え方をどう変えるか、変え…
「いつかこの人物について、その全体をしっかり見渡してみたい」と思う相手が何人かいます。三枝博音(1892-1963)は、私にとってそんな人物の一人です。 今回は、ヘーゲル先生の「エンチクロペディー(Enzyklopädie)」という講義、あるいは書物についてあ…
スタジオジブリの映画を観ると、「もっと丁寧に生活しよう」という気持ちをそそられます(全部が全部というわけではありませんが)。 といっても、ジブリのアニメーションを観て、なにか道徳的なメッセージを読み取ったとか、そういうことではありません。 …
ここのところ、法律文書の文体について調べています。現在私たちが目にする法律の文章は、どのような経緯で、いかにしてそのような文章になったのか。一方では、穂積陳重やヤーコプ・グリムの法律論を覗きつつ、昨今の法学領域ではどうなっているかというこ…
連載「「百学連環」を読む」第16回を寄稿しました。 ここのところ、三省堂ワードワイズ・ウェブで連載中の「「百学連環」を読む」のために、「エンチクロペディー(Enzyklopädie)」というドイツ語を追跡しています。 これを「百科全書」や「百科事典」と訳…
ご無沙汰しております。 先日、一橋大学での講義「映像文化論」の最終回を終えました。これにて、足かけ3年にわたる一橋大学/大学院における非常勤講師のお仕事は、一区切りとなります。 2009年の冬学期から4学期、院生向けの講義「新たなる百学連環」を2回…
連載「「百学連環」を読む」第9回を寄稿しました。 冒頭で「百學連環」という言葉の由来を述べているくだりを検討しています。特にそこで示されているギリシア語が、三通りの綴り方で記されていることを見比べてみました。 この綴りは、なんの因果か、別の書…
「形」あるいは「無形」という言葉や概念について、それはなにを表しているのか、どのように使われるものなのか、ということを検討しているところでした。参照しようとしている書物は、ここに書影を掲げた二冊です。 さて、目下は『アンフォルム』の冒頭に置…
朝日出版社第二編集部ブログに「ブックガイド――書物の海のアルゴノート」の第2回を寄稿しました。 前回は前口上でした。今回から、ブックガイドを始めます。 最初のテーマは、「読書について」です。読書や書物を巡る環境が多様化している昨今、いまいちど「…
★『吾輩は猫である』を学術バトル小説として読む これまた明治期の文章ですが、漱石の『吾輩は猫である』をじっくり読み解くということを、そのうちこの場所でやってみたいと思っています。そのつもりで読んでみると、あの小説は一種の「学術バトル小説」と…
一冊の書物なり文書に向き合って、じっくり腰を据えて読む。これは、読書の楽しみの一つでもあります。 目下、西周の「百學連環」という講義の記録を座右に置いて、週に一度のペースで少しずつ読み進めているところでした。 前回までのところ、文書の周囲の…
もうひとつ、似たようなお話を。 2011年06月09日、シリアスゲームの研究で知られる藤本徹さんが担当されているSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の講義にお邪魔します。 ゲームデザインについてお話をさせていただき、参加者の皆さんにもゲーム制作を実…
来る2011年06月05日(日)10時半より、一橋大学内兼松講堂にて、映像作家の山本寛(やまもと・ゆたか)氏をお迎えしての講演会が開催されます。 山本寛(ヤマカン)氏といえば、『らき☆すた』(2007)、『かんなぎ』(2008-2009)、『フラクタル』(2011)を…
「科学のアンソロジーを構想する」という空想企画について、つらつらと考えています。 ここで「科学のアンソロジー」と言う場合の「科学」には、もっぱら二つのものが含まれています。 第一は、近代以降「科学」と呼ばれるようになって独立した学術の領域で…