2023年12月29日(金)の夜、ゲンロンカフェで恒例の「「人文的、あまりに人文的」な、2023年人文書めった斬り!」で、斎藤哲也さん、吉川浩満くんとお話しします。
その年に刊行された本を振り返りながら、印象に残ったものについておしゃべりするイヴェントです。
気がつけば8回目となりました。ご視聴くださったみなさんのおかげです。
詳しくは下記のリンク先でご覧くださいませ。
2023年12月29日(金)の夜、ゲンロンカフェで恒例の「「人文的、あまりに人文的」な、2023年人文書めった斬り!」で、斎藤哲也さん、吉川浩満くんとお話しします。
その年に刊行された本を振り返りながら、印象に残ったものについておしゃべりするイヴェントです。
気がつけば8回目となりました。ご視聴くださったみなさんのおかげです。
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来たる2023年12月12日に『西洋古典名句名言集』(西洋古典叢書編集部編、京都大学学術出版会)が刊行予定とのこと。
「西洋古典叢書」といえば、1997年に創刊された叢書で、「西洋の「知」の源泉であるギリシア・ラテンの主要な著作・作品を可能な限り網羅し,諸外国のこの種の叢書に匹敵する,西洋古典の一大書林の形成」を目指すと謳われています。
その言葉に違わず、現在160冊以上を刊行しているところ。その全貌は版元のページをぜひご覧あれ。
私はこの叢書を創刊時から毎巻購入して読んでいるところです。
このたび刊行される『西洋古典名句名言集』は、そんな一大叢書を編集し、世に送り出してきた「西洋古典叢書」の編集部によるもので、これまで刊行した「160冊から、選りすぐりの名言名句1000余りを掲載」と予告されています。
内容見本を見ると、古代ギリシア語・ラテン語の原文と日本語訳が併記されているようで、これはとてもうれしい仕様。項目ごとに解説やコラムも掲載されている様子が特設ページで見られます。
また、刊行記念キャンペーンもあるようですよ。
詳しくは下記リンク先でどうぞ。
スタニスワフ・レムの小説『インヴィンシブル』を原作としたアドヴェンチャーゲーム『The Invincible』(Starward Industries / 11 bit studios, 2023/11/06)がリリースされたようです。
同作は、近年、国書刊行会から刊行中の「スタニスワフ・レム・コレクション」第2期の1冊として刊行されたところでした(関口時正訳、2021/09/27)。
惑星レギスIIIで消息を絶ったコンドル号捜索のために同惑星を訪れたインヴィンシブル号の乗組員たちは、そこでなにを見たのか。各種専門家たちが知識をもちよって、遭遇する事態を捉えようとする様子から、学術小説(Sciences Fiction)の醍醐味を味わえます。
以前、こんなふうにTwitterに投稿しておりました
スタニスワフ・レム『インヴィンシブル』(関口時正訳、国書刊行会)
— 山本貴光 (@yakumoizuru) 2021年10月4日
異星を舞台に未知の環境と存在を、人間の科学と技術でどこまで理解できるかという学術小説の楽しみが満載。各方面の専門家たちと、たとえ状況が不明でも決断・行動しなければならない艦長との対比もいい。https://t.co/FLfsZgl6yV pic.twitter.com/SlQFTPWMTd
ゲーム版は、SteamでWindows用を購入しようと思います。残念ながら日本語対応はないようです。
幻戯書房が刊行している海外文学の翻訳シリーズ「ルリユール叢書」が50巻に達した機に「〈ルリユール叢書〉の楽しみ」という文章を書きました。
2019年の創刊当時からこの叢書を読んでいる一読者として、その概要や魅力についてあれこれ述べております。
文中に添えている写真は、私の家の書棚に収まる「ルリユール叢書」をはじめ、蔵書している本たちです。
書棚の写真を見るのが好きな方も、ちょっとお楽しみいただけるかもしれません。
掲載先は、朝日新聞社と出版各社が運営している「じんぶん堂」というウェブサイトです。
単に仕事の量が増えているのか、夏に罹患した新型コロナウイルス感染症の後遺症(long-covid)なのか分からないのだけれど、このところ複数の仕事の予定を調整してこなすということが、以前にもまして苦手になっているような気がしている。
一つには、仕事の予定を決める際、空いていそうに思えるとわりとホイホイ引き受けてしまうことにありそうだ。
というので、スケジューラーに仕事の予定を記入する際、それぞれの仕事内容に応じて必要なAP(アクションポイント)を設定してみてはどうかと空想している。
これはゲームでよくある仕組みだ。APには上限があり、なにか行動するつど、その行動に必要なAPを使う。だから、なにかするたびAPは減ってゆき、これがゼロになったり、やりたい行動に必要な量に足りない場合、行動できないというわけである。要するに、一定時間内にとれる行動を制限する仕組み。APは「寝る」とか一定期間が過ぎると回復するようになっている。
現実の仕事は、そんなふうに一律に必要なAPを数値化できるものではない。
とはいえ、なにも目安がないまま、空いている時間に仕事を詰め込んでいてはどうにもならない。単なるモノサシみたいなものとして、APシステムを導入してみたらどうなるか。
例えば、大学の講義1コマは100AP、自宅から大学までの移動は10AP、4千字の原稿は50AP、2時間の講演会は120APとかいって、適当に割り振る。
そして、スケジュールに仕事を入れるたび、APを併記する。1日あたりのAP上限を例えば200とする(ただし前夜に十分な睡眠をとった場合)。仕事の予定を入れるたび、当日のAPが減っていき、0を割るような仕事はそれ以上入れられないようにする。
こうしておくと、何月何日の何時から打ち合わせとか、いついつ締切の何文字の原稿とか、予定を入れるたび、当日の残りAPが分かり、「それ以上は無理っすね」という状態を検出しやすくなる。
また、試していくうちに「やっぱり大学の講義1コマは300APにしよう」とか「難易度の高い原稿は150APとしよう」といった調整も必要になるだろう。
いやいや、そんなことはAPなんて設定せずとも自分で管理しなさいよ、とおっしゃる向きもあるかもしれない。もちろんそうできる人はそうするのが早い。
冒頭でも触れたように私はなんだかそういうことがしづらく感じているところ。そこで機械的でもよいので目安を設けてはどうかしら、と思うのだった。
ものは試しにやってみようと思う。
そして吉田健一といえば、すごい本が出ましたね。
川本直・樫原辰郎・武田将明編『吉田健一に就て』(国書刊行会、2023/10/24)です。
外ならぬ吉田健一の著作に『英国に就て』がありますが、これを当人に差し向けたわけですね。目次は以下の通り。
川本直「序文」
I. 文明
伊達聖伸「宗教と世俗の歴史から見た人新世の吉田健一」
佐藤亜紀「ヨオロッパの世紀末」II. 言葉
大野露井「Quuely Nativeーー奇妙にぺらぺら」
高遠弘美「静寂と響きーー吉田健一に教へられた詩の世界」III. 近代
渡邊利道「吉田健一と近代」
樫原辰郎「モダニズムの忘れもの」IV. 酒肴酒
堀田隆大「吉田健一と「飲む場所」ーー現実と夢幻を巡って」
山﨑修平「淡いを愛する」V. 文学
武田将明「〈芸術家としての批評家〉の誕生ーー『英国の文学』と『英国の近代文学』を読む」
小川公代「吉田健一と「社交」ーーG・L・ディキンソン、ヴァージニア・ウルフ、E・M・フォースター」
小山太一「大海蛇のうねり」
川本直「小説家としての吉田健一」VI. 文学的交友録
渡邊利道「石川淳と吉田健一ーー酒の友であり文学の友」
渡辺裕真「小林秀雄と吉田健一ーー正面から来る近代と己に内在する近代」
浜崎洋介「福田恆存と吉田健一ーー『日本に就て』を肴に」
山中剛史「三島由紀夫と吉田健一ーー「絶好」物語再考」
中西恭子「澁澤龍彦と吉田健一ーーそれぞれの島宇宙で」VII. 吉田健一頌
大塚健太郎「ソネット」
磯崎純一「英国人の見た吉田健一」
富士川義之「回想の中の吉田健一」武田将明「あとがき」
編者のお一人である川本直さんの「序文」によれば、「本書のコンセプトは、野暮を承知で、偶像崇拝的な従来の吉田健一像を打ち壊し、吉田健一の新たな可能性とその限界をも提示することによって、現時点での吉田健一をめぐる書物としての決定版を目指した」(同書、p. 6)とのこと。
私にとっての吉田健一は、ご本人が書いたものはいずれかといえば苦手だけど読むと面白さを感じるという対象で、付かず離れずという付きあいをしてきました(翻訳はまた別です)。その審美の感覚には必ずしも賛成できないけど、その手つきには興味を惹かれるという感じでしょうか。そこで、各種文庫などをはじめ、吉田健一の本が出るとそのたび買って読むということはしてきた次第です。いわゆる気になる存在というやつかもしれません。
本書で多方面からの読み方を教えてもらおうと思います。
2023年11月の平凡社ライブラリーは次の2冊です。発行日は2023年11月2日。
・西川祐子『[増補]借家と持ち家の文学史 「私」のうつわの物語』(平凡社ライブラリー956、に12-1)
・吉田健一『余生の文学』(平凡社ライブラリー957、よ12-4)
西川祐子『[増補]借家と持ち家の文学史』は、1998年11月に三省堂から刊行された『借家と持ち家の文学史』に第4章「文学は、大河から海へ向かう」(書き下ろし)を増補したものとのこと。
解説は、戸邉秀明「民衆史の革新者としての西川史学」。
本のはじめに
続きの、続きの、続きーー増補版のはじめに
第1章 借家の文学史
第2章 生きられた家・描かれた家
第1部 家族の家の時代
第2部 部屋の時代
第3部 離合集散の時代第3章 持ち家と部屋の文学史
第4章 文学は、大河から海へ向かう
日本の近現代の小説に描かれてきた「家」と人を追跡した本。
吉田健一『余生の文学』は、1969年10月に新潮社から刊行された本のライブラリー化。
解説は、宮崎智之「生きている言葉の文学」。
平凡社ライブラリーに入っている吉田健一の本は以下の4冊があります。
・吉田健一『シェイクスピア シェイクスピア詩集』(615、2007/07/10)
・中村光夫編『吉田健一随筆集』(921、2021/08/10)
・吉田健一『本が語ってくれること』(936、2022/11/10)
・吉田健一『余生の文学』(957、2023/11/02)