DK社編『哲学ってなんだろう?』(拙訳、東京書籍)

2024年3月8日に、DK社編『哲学ってなんだろう? 哲学の基本がわかる図鑑』(拙訳、東京書籍)が発売予定です。

DK社から刊行されているWhat's the Point of シリーズの1冊で、What's the Point of Philosophy? (2022/08/04)を訳したものです。

目次はこんな具合です。

「存在」ってなんだろう
・一番小さいものはあるのか/無はあるの?
・現実ってなに?
・同じ川に二度足を入れられるか
・新品? それとも新品同様?
・私はなにからできている?
・私って?
・時間を旅できるだろうか
・どうして自分はここにいるの?
・神は存在するの?
・なぜ苦しみは存在するのだろう

「知識」ってなんだろう
・信じているのか、知っているのか
・私が確実に知っていることはなに?
・いま夢の中じゃないと、どうして分かる?
・水槽に浮かぶただの脳なのか
・イスがイスじゃなくなる場合
・人はどうやって学ぶのだろう?
・経験からなにが分かる?
・信念が正しい必要はあるだろうか
・科学はいつも正しいだろうか

「正しい」とか「間違っている」ってなんだろう
・正しいか、間違っているか、どうやって見分けられる?
・噓をつくのは正しいことか
・善良であるべき?
・目的は手段を正当化するだろうか
・幸せとはなんだろう
・不幸な人間か 幸せなブタか
・私は自由だろうか
・私は幸せな囚人か
・言いたいことはなんでも言っていいか

「平等」ってなんだろう
・他の人をどう扱うべきか
・誰が権力を持つべきか
・ものごとを公平にすべき?
・慈善活動に寄付すべきか
・動物を平等に扱うべきか
・どうして環境が問題になるのか

「考える」ってなんだろう
・心ってなに?
・心はどこにあるの?
・誰かが考えていることは分かるか
・機械は考えられるか
・言葉はなにを意味してる?
・よい議論をするにはなにが必要か

哲学の歴史/用語集/さくいん

問い(謎)を中心に編まれている様子がお分かりいただけるかもしれません。

そして、それぞれの問いを巡って、どんなふうに考えることができるかを、哲学者たちが提出した発想を参照しながら解説してあります。

イラストをふんだんに使って、それぞれの問いや考え方を表現してあり、理解を促されます。対象年齢は10歳以上とのこと。

といっても、著者たちはお茶を濁したり手加減している様子はありません。目次からも窺えるように、古代ギリシアから現代までの哲学の歴史で論じられてきた難問の数々が並んでおります。

一言でいえば、「哲学をしてみる」ことへと読者を誘う本です。

哲学とはなにをすることなのかが気になる大人のみなさんにも参考になると思います。

この頃、日本語でも関連書が少しずつ増えてきた「世界哲学」の発想や、人びとの多様性への配慮もあり、小学生の頃にこんな本で哲学に出会えたらいいなと思い、翻訳を引き受けたのでした。

私は普段、小中高校生に接するときには、相手を子供扱いするのではなく、対等な人間同士という姿勢で接するのですが、本書でもそのような目線で訳文の文体を選んでみました。

訳註などはなく、訳者が書いた唯一の文章は「訳者まえがき」です。以下のように書きました。

「哲学」は謎から出発します。なんの謎かといえば、この世界のさまざまなものについての謎です。宇宙ってどんな場所だろう、自分はずっと同じ人間なんだろうか、よいとか悪いってどう違うんだろうとか、いろんなものが謎だらけです。この本は、そうした謎について過去の哲学者たちが考えたことをヒントに、どんなふうに考えられるかを教えてくれます。そうそう、この本を手にしたばかりの君にとっては「哲学」だって謎かもしれません。分からないことを楽しみながら、何度も読むのがコツですよ。

書店に並びましたら、お手にとってご覧いただければ幸いです。

www.tokyo-shoseki.co.jp