2012-01-01から1年間の記事一覧
2012年は、例年にもまして本を読めない年でした。かろうじて目を通すことのできたものから、特に印象に残った書物を並べてみます。なんの役に立つでもありませんが、こうしたリストを眺めるのが愉しい向きに。 ■2012年新刊書から まずは、2012年に刊行された…
2012年の文筆は、『ユリイカ』誌2012年2月号(青土社)の「特集=辞書の世界」に、「この辞書を見よ!20――言葉のアーカイヴ形成史」という筆者お奨めの辞書を紹介する書誌的エッセイを掲載していただくところから始まりました*1 それを除くと、あとはもっぱ…
どこかの窓から外を見ている。よく晴れた日だ。 目の前には草地が広がり左手に木の枝が風にそよいでいる。その向こう、水平方向に道が延びている。その奥にはたぶん河川があって、さらにその先の対岸に道が、やはり水平に走る。その奥には木々と住宅が並ぶ。…
★ジョルジョ・アガンベン『到来する共同体』(上村忠男訳、叢書・エクリチュールの冒険、月曜社、2012/08、ISBN:4901477970) これから読むところですが、内容をご紹介。 バタイユ、ブランショ、ナンシーが投げかけた共同体の(不)可能性への問いを、アガン…
OEDのscientistの項目にも、用例として引用されているMrs. Somervilleによる"On the Connexion of the Physical Sciences."で、サマーヴィル夫人が、「サイエンティスト(scientist)」という言葉の提案について紹介しているのは、次のようなくだり。 And th…
本日は、ゲームプログラマー向け「数学」講義(東京ネットウエイブ)の第2回でした。 まず、前回積み残していた「数学」という言葉の来歴について話すところから。例によって、明治期にmathematicsの翻訳語として造られた(借用された)この語は、本来どうい…
子どもの頃から図鑑が好きだった。特に『宇宙』と題された箱入りの図鑑は、飽かず眺めていた。(右図:学習研究社から刊行されていた図鑑シリーズ) といっても、半分は怖いもの見たさだったと思う。 いまでもそうだけれど、そもそも自分がいる地球とは遠く離…
東京ネットウエイブでの「数学」の講義では、教科書を使います。今回教科書としたのは次の本。 ・ウェンディ・スターラー『ゲーム開発のための数学・物理学入門 改訂版』(山下恵美子訳、ソフトバンク クリエイティブ、ISBN:4797356774) 本日は第1回目の講…
*伊藤博明、加藤哲弘、田中純『ヴァールブルク著作集別巻1 ムネモシュネ・アトラス』(ありな書房、2012/03)に登場する図像を、ネット上や文献で探し集めてみています。 パネルB-3 獣帯人間、 ジャン・ランブールとポール・ランブール、 『ベリー公のいと…
Mary Settegast, Plato, Prehistorian(The Rotenberg Press, 1987)〔PPと略称〕の参考文献に関する覚書です。見出しに記す「#345」という番号は、同書巻末の文献一覧の番号に対応しています。 『ヘルメス(Hermes)』は、1866年に創刊されたドイツの古典文献…
パネルB-2 世界の支配者としてのヘラクレス、獣帯に割り当てられた、彼の身体の部分、 15世紀の写本、 パリ、国立図書館(Ms. gr. 2419, fol. 1r.)。 (『ムネモシュネ・アトラス』、p.20) ■メモランダム ・「獣帯人間(zodiac man; l'homme zodiaque)」…
今年度も東京ネットウエイブにて、非常勤講師を務めさせていただくことになりました。 これでかれこれ7年目となりましょうか。人前で話をするのが不得手な人間としては、驚くほど長続きしております。これも、毎年学校で出会う学生のみなさんとのやりとりや…
ここしばらく逐一の報告をしておりませんでしたが、三省堂ワードワイズ・ウェブに寄稿させていただいている「「百学連環」を読む」も、連載開始から1年を経て53回を数えております。 目下は、西先生が「学術」や「知行」という言葉について、それまでの欧文…
パネルA-1 星座の描かれたオランダの天球図、 彩色銅版画、1684年。 上部に「星図または天球図(Sterre Kaert of Hemels Pleyn)」とある。この天球図は18世紀にたびたび複製・出版されている。 (『ムネモシュネ・アトラス』、p.14) Mercator style projec…
*最終更新:2012/04/13 AM 01:20 『ムネモシュネ・アトラス』(ありな書房)を読みながら、登場する図像をネットや書物でも探してみています。同書に印刷されたものよりさらに大きなものや、色つきのものも並べて見比べようという趣旨です。一幅一幅の図像…
伊藤博明、加藤哲弘、田中純『ヴァールブルク著作集別巻1 ムネモシュネ・アトラス』(ありな書房、2012/03)が刊行されました。 アビ・ヴァールブルクが取り組んだプロジェクト「ムネモシュネ・アトラス」を3人の著者が、詳細に読み解いてゆくという試みです…
新潮社の季刊誌『考える人』2012年春号に、連載「文体百般――ことばのスタイルこそ思考のスタイルである」の第6回を寄稿しました。 今回は、「科学――知を交通させるために」と題して、科学の文体に迫ります。題材として取り上げたのは、英国王立協会が350年の…
『ユリイカ』(青土社)の2012年3月号「特集*辞書の世界」に 「この辞書を見よ!20――ことばのアーカイヴ形成史」 という題で辞書のブックガイドを寄稿しました(タイトルは編集部につけていただきました)。 現代の日本語について考える上で視野に入れると…