2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

因果の網状図

この夏は、寺田寅彦の全集とScientific Papersをひたすら読むということをしておりました。 読みながら、一種の索引データベースをつくり、寅彦が言及したもの、読んだもの、見たもの、聞いたものを、ひとまとめに総覧できるようにしようという目論見です。 …

「しあわせ」の条件を考える

宣伝で恐縮です。2011年10月22日(土)に、朝日カルチャーセンター横浜にて、講座を担当させていただきます。 「哲学カフェI 「しあわせ」の条件を考える」というタイトルです。 幸福やしあわせは、いつの世も問題であり続けてきました。古来哲学における大…

天網恢恢疎にして漏らさず

新潮社の季刊誌『考える人』2011年秋号、「特集=考える料理」が発売となりました。 「川上弘美さんのもてなし料理」(カラー10ページ)を筆頭に、70ページ近い特集です。料理の発想やコツや考察など、面白くてためになる内容満載なのはよいのですが、一つだ…

筆跡に宿るもの

その部屋に入ると、壁に何枚かの紙が貼られている。また、部屋に置かれた二つの台にもそれぞれ紙片が置かれている。 壁に近づくと、貼られた紙が、手紙だと判る。事前に案内を読んでいるせいもある。しかし、そうした知識がなかったとしても、おそらくその紙…

ディオニュシオスの弁論術2

(承前)ディオニュシオスが古代弁論家として最初に取り上げるのは、リュシアス(紀元前5世紀から4世紀に活動)です。 ディオニュシオスは、リュシアスが書き残した弁論の文体について、次のような美点を数え上げています。 ・純正なギリシア語 ・標準的で一…

ディオニュシオスの弁論術

いとも賢いアンマイオスよ、われわれは今のこの時代におおいに感謝せねばなりません。というのも、他のさまざまな研究分野が以前よりも改善されたうえに、とくに市民弁論への関心がおおいに高まったのですから。じっさいわれわれに先立つ時代には、古くから…