2006-01-01から1年間の記事一覧
古典ギリシアの碩学アリストテレスの伝存する作品を集成した『アリストテレス全集』(岩波書店)は、どこを開いても興味の尽きない書物だが、とりわけ愉快なのが『問題集』(προβληματα)と題された一冊だ。 この、成立過程がはっきりしていない書物には、お…
【追記】2006/12/18 22:20 慶應MMCメールマガジンへのリンクを修正しました。 ご無沙汰しております。2006年の後半は、春から教えに行っている専門学校で、ゲーム・デザイン(企画方法)に加えてプログラムの概論講義を担当しています。 プログラムなどと言…
相棒・吉川浩満(id:clinamen)とともに、ソフトバンククリエイティブの第2書籍編集部が発行するメールマガジン「週刊ビジスタニュース」2006年10月04日号に「極上翻訳エッセイ——読書へのアペリティフ」寄稿しました。 同号には、速水健朗さん(id:gotanda6…
★サルヴァトーレ・セッティス『ラオコーン——名声と様式』(芳賀京子+日向太郎訳、三元社、2006/08、ISBN:4883031551) Salvatore Settis, LAOCOONTE: Fame e stile(Donzelli Editore, 1999) 美術史上もっともよく知られた彫刻作品のひとつ、ラオコーンが…
★『ユリイカ』第38巻第11号 2006年9月臨時増刊号 総特集 稲垣足穂(青土社、2006/09、ISBN:4791701526) 同号に「計算論的、足穂的——タルホ・エンジン仕様書」を寄稿しました。 足穂の作品を読んでいるとプログラムやその挙動に触れているような気がするのだ…
★鈴木忠『クマムシ?!——小さな怪物』(岩波科学ライブラリー122、岩波書店、2006/09、ISBN:4000074628) 世界について人間が知らないことが山ほどあるということを思い出させられるきっかけには事欠かないが、或る生物の生態を知るときにはいっそうその思いを…
★ヴィルヘルム・フォン・フンボルト『双数について』(村岡晋一訳、新書館、2006/09、ISBN:4403120180) 非母語を学ぶなかで、母語には見受けられない文法要素に出くわすと、奇異な感じを受けるということがしばしばある。 サンスクリット、アラビア語、ギリ…
★アーザル・ナフィーシー『テヘランでロリータを読む』(市川恵里訳、白水社、2006/09、ISBN:4560027544) Azar Nafisi, Reading Lolita in Tehran: A Memoir in Books 以下の文章は、アーザル・ナフィーシーによる回想録『テヘランでロリータを読む』(市川…
★『ユリイカ』第38巻第10号 2006年9月号 特集*理想の教科書(青土社、2006/08、ISBN:4791701518) 同誌9月号に「作る・遊ぶ・語る——叢書「All about Video Games」について」を寄稿しました。 もしもヴィデオ・ゲームに教科書があるとしたら、それはどのよ…
世の中には驚くべき多読家というものがいて、同じ1日24時間を過ごしているのに、いったいいつの間にそれほどの書物を読んでいるのかと舌を巻くことがある。よく知られた名前で言えば、松岡正剛氏、立花隆氏、福田和也氏などだ。 たとえば、立花氏の『ぼくが…
こちらも開店休業状態だったウェブサイト「哲学の劇場」の更新を再開しました。今回は新規追加ではなく既存ファイルの更新です。掲示板は一度閉じようかと検討中。 ⇒作家の肖像 > 小泉義之 http://www.logico-philosophicus.net/profile/KoizumiYoshiyuki.ht…
★『怪盗ジゴマと活動写真の時代』(新潮新書172、新潮社、2006/06/20、ISBN:4106101726) 明治・大正期(について)の文献を読んでいると、ときおり「ジゴマ」という名前に出くわすことがある。たとえば、こんなくだり。 大正四年の頃、私が二十円拾って、一…
上記とは打って変わって、『ユリイカ』2006年09月号「特集*理想の教科書」(青土社、2006年08月27日発売予定)に、ヴィデオ・ゲームの理想の教科書について書きました。 これについては、また刊行後にお知らせしたいと思います。 (上記とは別の企画ですが…
★『バックラッシュ!——なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』(双風舎、2006/06/26、ISBN:4902465094) 相棒・吉川浩満(id:clinamen)とともに、「脳と科学と男と女——心脳問題 男女脳編」を寄稿しました。『心脳問題——「脳の世紀」を生き抜く』(朝日出版…
ご無沙汰しています。ウェブサイト「哲学の劇場」ともども、3ヶ月ぶりに再開したいと思います。どうぞよしなに。 まずは、ここのところの書籍・雑誌関連の仕事のご紹介から。
拙訳書『MiND――心の哲学』(山本貴光+吉川浩満訳、朝日出版社、2006/03、ISBN:4255003254)について、山形浩生さんと茂木健一郎さんが書評を書いてくださいました。ありがとうございます。 ★山形浩生「今月の一冊」(『Cut』2006年5月号、vol.196、rockin'o…
『ユリイカ』2006年6月号(青土社)は、「特集*任天堂」を予定しています。同特集号に「ゲームへの寄与――任天堂のスピリット・オブ・ワンダー」という文章を寄稿しました。 同誌は「詩と批評」の雑誌として三十余年の歴史をもつ雑誌ですが、ヴィデオ・ゲー…
紙ベースの仕事の仕込み他に追われて、すっかりウェブから遠ざかっておりました。その一端をご案内します。 相棒・吉川浩満(id:clinamen)とともに、季刊『InterCommunication』の次号(No.57)「特集=読書のマトリクス」に、「媒介者としての哲学」を寄稿…
★亀山郁夫『大審問官スターリン』(小学館、2006/02/20、ISBN:4093875278) 仮に、これまで地上に生まれて死んでいった人びと、生きている人びとの経験の総体というものを想像できるとしてみよう。そこには無数の「藪の中」のような状況がある。「藪の中」と…
拙ウェブサイト「哲学の劇場」を更新しました。 今回は、サイト・リニューアルの一環として、トップページのデザインを変え、「プレゼント企画」や「ニュース」など、新しい要素を追加しました。 まだ全面リニューアルにはいたりませんが、引き続きサイト全…
2006年04月06日より、三省堂書店神田本店5階(科学書コーナー)にて、「心脳問題ブックフェア」を開催しています。 三省堂書店と朝日出版社のご協力を得て、相棒・吉川浩満(id:clinamen)と私が選ばせていただいた「心脳問題(Mind-Body Problem)」関連書…
★フランツ・カフカ『変身』(池内紀訳、カフカ・コレクション、白水社uブックス、白水社、2006/03、ISBN:4560071527) 2000年から2002年にかけて池内紀氏の個人全訳で刊行された『カフカ小説全集』(全6巻、白水社)が、白水社uブックスから刊行開始。第1…
★マルセル・プルースト『失われた時を求めて1 第一篇 スワン家の方へI』(鈴木道彦訳、集英社文庫ヘリテージシリーズ、集英社、2006/03、ISBN:4087610209) Marcel Proust, À la recherche du temps perdu マルセル・プルースト(Marcel Proust, 1871-1922)…
人文書を中心とした書籍情報を満載したメールマガジン「[本]のメルマガ」に、相棒・吉川浩満とともに寄稿させていただきました(いきがかり上、『MiND』の書影掲載の頻度が高く失礼します :-)。 今回の原稿では、『MiND——心の哲学』の魅力と、同書が書店の…
ことのついでに近刊のミース関連書より。 ★フランツ・シュルツ『評伝ミース・ファン・デル・ローエ』(澤村明訳、鹿島出版会、2006/04、amazon.co.jp) Franz Schulze, MIES VAN DER ROHE: A Critical Biography しばらく品切れになっていたフランツ・シュル…
★高山正實『ミース・ファン・デル・ローエ——真理を求めて』(鹿島出版会、2006/03、amazon.co.jp) 近代建築をリードし、20世紀の巨匠として活躍したミース。ミースはいかなる思想のもとに建築をつくってきたのか。著者は、ミースの生涯を丹念に辿りながら、…
ミース・ファン・デル・ローエといえば、建築会館ギャラリーで「ミース・ファン・デル・ローエ生誕120年展——モダニズムの原点」が03月25日からはじまった。会場を下記のように7部で構成しているとのこと。 1.ヨーロッパ時代 2.ターニングポイント 3.新…
★ジョセフ・ヒレル監督『ミース・ファン・デル・ローエ』(ESCOLA、2005/12、REDV-00333、amazon.co.jp) ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe, 1886-1969)のアメリカ移住後の作品を中心に紹介するドキュメンタリー映像。門弟たちやレ…
ゲーム開発の現場にいると、ゲーム・デザイナー(企画者)は「にわか×××」になることがある。たとえばにわかシナリオ・ライター。ゲームのシナリオが必要だとなると、ゲーム・デザイナーがにわかシナリオ・ライターとなってこしらえる。もちろんほとんどの場…
このたびサールの『MiND——心の哲学』(朝日出版社、2006/03、amazon.co.jp)を翻訳してみて、あらためて哲学用語の訳語について考えさせられた。特に今回の本は「心の哲学書」の入門書ということもあって、読み手が用語につまづいてしまうのは避けたい。され…