2005

ディアスポラ/コードのあわいから創発する出来事

*「2006年の印象に残った書物」に追記したものと同じ内容です。同エントリーがやたらと長くなって更新箇所が埋もれがちなので、追記分を別途掲載する次第。 ★グレッグ・イーガン『ディアスポラ』(山岸真訳、ハヤカワ文庫SF1531、早川書房、2005/09、ISBN:4…

★ジョセフ・ヒレル監督『ミース・ファン・デル・ローエ』(ESCOLA、2005/12、REDV-00333、amazon.co.jp) ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe, 1886-1969)のアメリカ移住後の作品を中心に紹介するドキュメンタリー映像。門弟たちやレ…

★C. G. PradoSearle and Foucault on Truth(Cambridge University Press, 2005, amazon.co.jp) 私は未読ですが、こんな本が刊行されていました。目次は以下のとおり。 1 Polar Opposites 2 Searle 3 Foucault 4 Truth, Reality, and Confermation 5 Truth …

★中谷礼仁『セヴェラルネス——事物連鎖と人間』(鹿島出版会、2005/12、amazon.co.jp) 事物は時間を抹消し一気に私たちの眼前に現れる。 この当たり前の事実に、どのように驚くことができるかによって人はさまざまな方向に思考や創造の道を見出してきた。う…

★有坪民雄+守屋淳『最強! 戦略書徹底ガイド』(SoftBankCreative、2005/12、amazon.co.jp) ブックガイドとは、大袈裟に言えば現存する全ての書物の集合から、限られた数の書物を選び出し、並べ、解説を加えたメタ・ブックだ。 もちろん実際に「現存する全…

★伊達得夫『詩人たち ユリイカ抄』(平凡社ライブラリー558、平凡社、2005/11/10、amazon.co.jp) 『詩人たち ユリイカ抄』がこのたび平凡社ライブラリーから再刊された。本書は、1948年(昭和23年)に書肆ユリイカを興した伊達得夫(だて・とくお, 1920-196…

★荒井晴彦『争議あり——脚本家荒井晴彦全映画論集』(青土社、2005/10、amazon.co.jp) 複数の人間の協働によってつくられる作品では、最終的に出来上がった作品から、個々の参加者の貢献度合いを推し量るのはむつかしい。 私はかつてゲームの開発に携わって…

(承前)今回の特集号にあらわれる、アカデミー(学問)、文学、エクスプロイテーション映画、おかんアート、バンド、女子オタ、アキバ系ガジェット、アニメ、ゲーム、お笑い、ジャニオタ、メガネ男子萌えといった対象は、ファッション、化粧品、ダイエット…

★『ドゥルーズ——没後10年、入門のために』(KAWADE道の手帖、河出書房新社、2005/10、amazon.co.jp) 河出書房新社のシリーズ「KAWADE道の手帖」の最新刊は、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)を取り上げている。 副題に「入門」を謳っているも…

ちなみに平凡社ライブラリーの2005年10月の新刊書目のもう一冊は、 ★工藤雅樹『古代蝦夷の英雄時代』(平凡社ライブラリー、平凡社、2005/10、amazon.co.jp) 古代蝦夷は、日本民族の成立とアイヌ民族の成立の谷間の存在で、英雄たちが主導する高度に発達し…

★荒木経惟『写真ノ話』(白水社、2005/10、amazon.co.jp) 写真ついでに最近眼にした写真書から。 荒木経惟の主著にして写真家志望者の教科書! ロンドンでの大回顧展にあわせ、これまでの制作秘話を一挙公開! デビューから現在までの自作を説明しながら、…

★飯沢耕太郎『[増補]都市の視線——日本の写真 1920-30年代』(平凡社ライブラリー555、平凡社、2005/10、amazon.co.jp) 1989年8月に創元社から刊行された親本を改訂・増補した一冊。日本の1920年代から30年代の写真を論じた表題作「都市の視線」のほか、野島…

★「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第4部 [混沌]」(東京都写真美術館) 写真の誕生を概観する第1部、19世紀末から1930年代のモダニズムの時代を検証する第2部、日本の1930年代から1960年代における写真史の紆余曲折を12名の写真家の仕事で辿った…

★ジェイムズ・ストレイチー『フロイト全著作解説』(北山修監訳、人文書院、2005/08、amazon.co.jp) 本書は、イギリスの精神分析家ジェイムズ・ストレイチー(James Strachey, 1887-1967)が編集した「標準版フロイト全集(The Standard Edition of the Com…

ここのところ立て続けに興味深い映画書が刊行されている。順にメモランダムを作成していこう(もちろん、映画書以外も)。 ★カレル・チャペック『チャペック映画術』(田才益夫訳、青土社、2005/10、amazon.co.jp) チェコの多才な作家カレル・チャペック(K…

★飯田隆編著『知の教科書 論理の哲学』(講談社選書メチエ341、講談社、2005/09、amazon.co.jp) 『言語哲学大全』(全4巻、勁草書房、1987-2002、4326153652)などの仕事で知られる飯田隆(いいだ・たかし, 1948- )氏の編集による論理の哲学入門書。フレー…

★伊奈信男『伊奈信男写真論集——写真に帰れ』(平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 写真に関心のある向きには見過ごせない一冊。伊奈信男(いな・のぶお, 1898-1978)の評論を集成したもの。 1932年、『光画』に発表された「写真に帰れ」は、日本における写真論…

★海野弘『陰謀と幻想の大アジア』(平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 海野弘(うんの・ひろし, 1939- )氏の最新刊。上記の『満鉄調査部』とも絡んでくる一冊。今月の平凡社は、個人的に必読書が目白押しでうれしい悲鳴。 日本の近代史の「満州」から「大東…

★小林英夫『満鉄調査部——「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』(平凡社新書289、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 戦時中は国策調査を手がけ、満鉄の一機関に収まらなかった調査部の40年の軌跡を辿る。さらに昭和17年の満鉄調査部事件に関して、新史料をもと…

★林信吾+葛岡智恭『昔、革命的だったお父さんたちへ——「団塊世代」の登場と終焉』(平凡社新書288、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) いよいよ大量定年を迎える団塊世代。“年金持ち逃げ”で去るのか、有終の美を飾るのか? 戦後史をたどりつつ、かつては理想…

★井上太郎『モーツァルトと日本人』(平凡社新書290、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 「モーツァルトを愛してやまない」井上太郎(いのうえ・たろう, 1925- )氏の新著。これは何冊目のモーツァルト書になるのかわからないが、 明治時代の西洋音楽の受容に…

★津堅信之『アニメーション学入門』(平凡社新書291、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) アニメーションの定義からはじまって、その定義にそった歴史、作品の分類、アニメ研究とその歴史、作品各論——と、新書のヴォリュームとはいえ体系的にアニメーションを…

★編著=小山騰+写真=臼井秀三郎『ケンブリッジ大学秘蔵明治古写真——マーケーザ号の日本旅行』(平凡社、2004/09、amazon.co.jp) 平凡社の新刊書より、明治関連の写真集。 ケンブリッジ大学図書館が所蔵する明治の古写真を初公開。マーケーザ号で日本を訪…

★柳田泉『随筆 明治文学2——文学篇・人物篇』(東洋文庫742、平凡社、2004/09、amazon.co.jp) 全3巻の予定で刊行中の柳田泉随筆集。 明治の文学・文化研究の先駆者・柳田泉の仕事の精髄を3巻に分かって刊行する。第2巻は、資料を博捜して語る明治文学の諸…

★フランツ・フェルディナント『オーストリア皇太子の日本日記 明治二十六年夏の記録』(安藤勉訳、講談社学術文庫1725、講談社、2005/09、amazon.co.jp) Franz Ferdinand, TAGEBUCH MEINER REISE UM DIE ERDE 1892-1893 オーストリア皇太子フランツ・フェル…

★渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー552、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 渡辺京二(わたなべ・きょうじ, 1930- )氏が1998年に葦書房より刊行した『逝きし世の面影 日本近代素描1』の文庫化。 近代化によって滅んだ日本の「逝きし」文明を、…

★寺山修司『寺山修司幻想劇集』(平凡社ライブラリー548、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) 生誕70周年を迎えた寺山修司の1970〜80年代を代表する戯曲を収録。「疫病流行記」「奴婢訓」など、比類ない幻想的な劇宇宙で世界の演劇シーンを震撼させた寺山演劇…

★細野晴臣『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』(平凡社ライブラリー550、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) はっぴいえんど、キャラメル・ママ、ティン・パン・アレー、YMO、FOE……。つねにポップでアヴァンギャルドな細野ワールドの核心に迫る。30…

★ホルヘ・ルイス・ボルヘス『エル・アレフ』(木村榮一訳、平凡社ライブラリー549、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) Jorge Luis Borges, EL ALEPH アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges, 1899-1986)の短編集『エル・アレフ』の…

★F.W.ニーチェ『ニーチェ・セレクション』(編=渡邊二郎、平凡社ライブラリー551、平凡社、2005/09、amazon.co.jp) その渡邊二郎氏が編訳をつとめた『ニーチェ・セレクション』。 今なおその衝撃力を失わない過激にして深遠なニーチェの思想。そのニーチェ…